STAY
Appnormals Team
2019年12月12日
Xbox One、 Microsoft Windows、 iOS、 Nintendo Switch、 PlayStation 4、 macOS、 Classic Mac OS、 PlayStation Vita
『STAY』の初出は2018年5月16日、switchでの日本語版が2019年12月12日に配信。
アートディレクターを務めるIñaki Díaz氏の出身地はスペインのバルセロナ。
独特のピクセルアート(ドット絵)による謎解きアドベンチャーゲームです。
以下、ゲームの紹介とクリア後の感想です。
※ストーリー部分のネタバレなし
ストーリー
ゲーム内主人公であるクイーンがある日目覚めると、そこは見知らぬ家の見知らぬ部屋。
置かれていたPCからゲームの外のプレイヤーとだけチャットすることが出来、お互いに推理しながら助け合って部屋からの脱出を図ります。
一体誰が何のためにクイーンを閉じ込めたのかが、ストーリーを進めていくとクイーンの出自と共に徐々に解き明かされていきます。
システム
プレイヤーがゲームを中断している間もクイーンの時間はリアルタイムで進行していて、久々にゲームを再開すると空けていた時間に応じた反応が返ってきます。数週間放って置くと上の写真のように死んでしまいますが、手前のチャプターから再開できるので大丈夫。
クイーンとのチャットでは頻繁に2択の選択肢が示され、それにより結末が分岐しますが、重要な場面では正解が1つしかなく、特に何のヒントもないので何度も理不尽な死を迎えるでしょう。
何気ない選択もクイーンの心証に影響を与え、最終的な友好度によりエンディングに多少の変化が加わります。
クイーンが閉じ込められている屋敷には数々の謎が仕掛けられていて、パズルの画面になるとクイーンに指示を与えたりヒントをもらうことも出来ず、基本的な操作方法すらわからない状態で解かなければなりません。
クイーンは何故この屋敷に閉じ込められているのか?いったい誰が何のために?
数々の謎を解き、最後に待ち受けているものとは?
感想
誤字が多いです。でもそれは全然良くて、むしろチャットで打ち間違いをしたと思い込むことが出来れば没入感すら得られます。
問題は謎解き部分で、これは全く納得がいきません。
それまでプレイヤーが誘導を少し間違えただけで死んだり、グッドエンディングを目指してクイーンとの相互理解に尽力してきたのにパズルは丸投げ。
チャットやリアルタイムシステムなどの没入感を高めるシステムを軸にしたゲームデザインと断絶しています。
開発者のプレイヤーに対する挑戦的な態度が強すぎるのか、トライアスロンの途中で数学のテストをやらされているような理不尽さに気が滅入りました。
この「理不尽パズル問題」は特に今作に限った話ではなく、多くのゲームが抱えている問題で、本当にやめた方がいいと常々思う所であります。
例えば泥棒になって民家に入るミッションを作る際には、侵入口を増やすとかピッキングなどで難易度を調整すればよいのであって、「動物をかたどった7つのスイッチがある」とか、そういうのもうやめてほしいんですよね。
ネズミみたいなモンスターしかいない洞窟に複雑な仕掛けが施されていたりとか、ウンザリなんですよ。
『STAY』のパズルも直前まではクイーンが焦って「何か出て来たぞ、どうすればいいんだ⁉」とか言っているのに、パズル画面になったらダンマリ決め込むんで「なんでこんな奴を助けなきゃならないんだ」という気持ちになります。
せめてこちらが頑張っている間もあたふたして無駄に話しかけてくるなどの演出が欲しかったです。このパズルによって今作の個性的なシステムがストーリー上では逆に不自然さを際立たせてしまっています。
あと、switchがスリープ状態になっただけでスタート画面に戻るというのも断絶を感じ、詰めが甘いなと。
これでストーリーが面白ければまだ救いがあったのですが、映画『SAW』(2004年)以降に山ほど作られた「SAWインスパイア系」みたいなB級ホラーの域を出ないものでした。
題材が悪いとは思いませんし、むしろ好物ですらありますが、ゲームにするなら少しでもいいからプレイヤーの干渉を演出に加えてほしかった。
プレイヤーはクイーンとチャットでコミュニケーションを取り、それによって謎多きストーリーが進行していくわけで、「プレイヤーである自分はいったい何者なのか」というのを考えるのがゲームならではの醍醐味だと思うのですが、結局クイーンの話だけで終わるので本当にガッカリしました。
こんなストーリーなら映画見たほうがいいですね。難しいパズルを作るならそれ相応の報酬(今作の場合シナリオ)がないと徒労感だけが残ります。
良い部分がたくさんあるだけに非常に残念です。
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