みやび通信

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フォーゴットン・アン(switch)

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フォーゴットン・アン
ThroughLine Games
2019年2月28日
PlayStation 4Nintendo SwitchAndroidXbox OneMicrosoft Windows、 Classic Mac OS

 

デンマークのスタジオThroughLine Games開発によるゲーム作品の一作目。

PCでの初配信日は2018年5月15日。

switch版では吹き替えはなく字幕のみ日本語対応。

クリア後の感想です。

※ネタバレなし

 

ストーリー

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舞台となるフォゴットンランドは人間に忘れられた「モノ」たちが行き着く場所。

彼ら「モノ」は「フォゴットリング」と呼ばれ、言葉をしゃべり、かつての持ち主の記憶を宿していて再び人間世界へ帰ることを望んでいます。

新旧の技術を寄せ集めたかのような独特な世界観が魅力。

 

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フォゴットンランドにそびえ立つ塔にはボンクという老人が住んでいますが、めったに人前には現れず、鏡を使って外部と連絡を取っています。

ボンクはフォゴットリングたちを人間世界へ送るイーサゲートという装置を開発しながらフォゴットンランドの秩序を守る役割をも果たす、この世界の中心的人物。

 

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主人公のアンはボンクを師とし、フォゴットンランドの治安を守る執行官として働いています。この世界に人間はボンクとアンしか存在せず、アンだけが使える腕輪型装置「アルカ」は、この世界の生命エネルギー(のようなもの)である「アニマ」を吸収・放出することができ、フォゴットリングからアニマを抜き取り殺すことが出来ます。

フォゴットリングの中にはイーサゲート開発に反対するものも多く、そういった反乱勢力が起こすテロ行為をアンが取り締まりに行く場面からこの物語は始まります。

 

ストーリーを進めていくことで、どうしてこの世界が存在するのか、反乱勢力の本当の狙い、アンの出生の秘密などが解き明かされていきます。

 

ゲームシステム

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会話の中には頻繁に選択肢が提示され、それにより展開に変化が加わりエンディングが分岐します。執行官として犯罪者や容疑者を処分するか見逃すかという選択がほとんどですが、時にはアンの心理を左右する場面も。

 

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会話以外では探索とパズルがメインとなっています。

装置にアニマを出し入れして仕掛けを解いていくタイプのパズルが全編にわたり用意されています。

あとはダッシュやジャンプを駆使して障害物を乗り越え、中盤では羽根型装置「ウイング」を使った大ジャンプも重要になります。

こちらに攻撃を仕掛けてくる敵が存在せずシンプルな仕掛けで統一されているからか、ヒントが少なく人によって理解する時間にバラつきがありそうですね。

 

開発

今作はデンマークの政府機関・デンマーク映画協会とスクエア・エニックスの支援を受けて制作されました。ThroughLine GamesのCEOであるアルフレッド・グエン氏はアニメーター業界出身で、インタビューでは宮崎駿監督や今敏監督など日本のアニメ監督に強い影響を受けていると公言しており、支援を受ける際のプレゼンでもジブリの名前を挙げています。

アニメーターのデビー・エクバーグ氏とセバスチャン・リュングダール氏はいずれもスウェーデン出身ですが、しばらく日本に住んでアニメーションを勉強していた経歴があり、やはり日本のスタジオジブリSTUDIO 4℃といったアニメスタジオの作品に注目しているとのこと。

『フォーゴットン・アン』がThroughLine Gamesという新スタジオの一作目でありながら豪華な印象を受けるのにはこういった開発者の経歴が関係しているのでしょう。

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今作の特徴である全編アニメーションという手法は大変素晴らしく、ゲーム画面からシームレスにムービーに移行する際の演出などはゲーム冒頭から遺憾なく発揮されていて、オープニングのタイトルバックの時点でそのクオリティと映像のセンスに感動し一気に心を掴まれました。

 

感想

高く掲げたコンセプトと、それを実現する技術は本物で、シナリオも良く序盤から目が離せないストーリーは最後まで一定の緊張感を保ち、次々と謎が解明されていく展開がとても楽しかったです。

ただ、ゲームとしてはテンポが悪く、何度も眠気に襲われ投げだしそうにもなりました。

敵を殺さない・ゲームオーバーがないという仕様はストーリーに沿ったコンセプトとしては良いのですが、単調なパズルと組み合わさることで全体的に平坦な印象をどうしても受けてしまいます。

主人公・アンの動きも非常にリアルで、アニメのキャラを自分で動かしているという感動があるのですが、階段を上ったり下りたりの試行錯誤で解いていくパズルではリアルな動きがもっさりとしたものとして感じます。

ゲームにおいて操作するキャラクターのリアルな挙動が足かせになるのは仕方のない事ですが、そこに何かしらのゲーム的な記号によって謎を解いた時の気持ち良さや達成感の演出を加えてほしかったです。地味なパズルを解いていく「もたもた感」は特に今作のリアリズムに貢献しているとは思えません。

多彩なキャラクターによる会話も楽しいのですが、Aが話し終えてからBが話し出すまでの間が割とたっぷりあって、これも今作のテンポの悪さを助長しているように思えました。

ほとんどの場合、アニメ的な長所がゲームとしての退屈さを招いているわけで、今作のような作品にパズルが適切だったのかは疑問に思います。

ストーリーのテーマもそこまで重いものではないし、もう少しゲームに寄せた作りにしていたらもっと素晴らしいものになったのではないかと思うと少し残念。

良くも悪くもインディーらしからぬプロ仕事とジブリインスパイアに多少の「レベルファイブ」感を感じたりもしますが、次作があればまた是非プレイしてみたいと思います。

 

 

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