みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

奇天烈相談ダイヤル(PC)

奇天烈相談ダイヤル
法螺会
2024年2月10日
Microsoft WindowsMacintoshAndroidiOS

 

本作『奇天烈相談ダイヤル』は、日本を拠点とするゲームサークル「法螺会」によるインディゲーム。法螺会はホラーアドベンチャーゲームを得意とし、これまで3本のフリーゲームを配信しています。
以下、クリア後の感想。
※ネタバレなし

 

本作はルーカス・ポープ氏によるアドベンチャーゲーム『Papers, Please』(2013年)に影響を受けていると公式のコメントにありますが、『Papers, Please』が入国審査官となって書類審査を行うゲームなのに対して、本作は電話相談員となり相談の内容が「怪異のしわざか/そうでないか」を判定していきます。

 

プレイヤーは新人相談員「ミサコ」となって、資料を参照しながら相手の話に該当する怪異を特定したり、資料との違いを見つけていきます。
読み応えのある分厚いマニュアルに個性的な2人の同僚など、この施設のバックグラウンドがしっかりと描かれていて没入感が高い。時代設定が1994年で、現代視点から見るとチープなテレビ電話と黒電話のベル音が、レトロゲーム風のビジュアルとBGMにすごく合っていて、絶妙な雰囲気を醸し出しています。
本作に出てくる怪異の中には初出が2004年の「きさらぎ駅」など、時代に合わないものもいくつかありますが、これは英断だと思います。実際プレイしてみると、単純に種類がいっぱいあったほうが楽しいと感じました。

 

怪異の種類は100種類。それに比例して相談してくるキャラクターも多いのですが、どれも個性的でいい味出してます。相談者が全員ニックネームなのもキャラクターの魅力を引き立てていて素晴らしい。
それに加え、ゲームを周回すると相談してくる人物と怪異の種類がシャッフルされるので飽きさせない。
私は普段オカルト関連の本を読んだりゲームを遊ぶことが多いのですが、聞いたことのない怪異が多く収録されていて驚きました。ネット検索にも引っかからないものもあり、相当マニアックかつ、都市伝説系に寄せたチョイスも良い。そうした未知の怪異をゲーム内の資料で調べるのが本当に楽しい。

 

ゲーム自体の難易度は高め。特に最初は相談者に関係ない質問をしてしまいがちでハートを削られる。慣れてくると少ない質問である程度怪異の見当がつき、それに沿った質問をしていくことで成功率を上げられます。一日最大で5人の相談を受けられますが、家に帰って寝てもハートが回復しないので、自分のペースでやりつつ、こまめにセーブしておけば誰でもクリアできると思います。難易度設定が複数用意されているのも親切で良い。
相談者一人当たりにかかるプレイ時間が少なく、ストーリー的な連続性もないので気軽にサクッと遊べて中毒性が高い。


最終日までハートをゼロにすることなく過ごせればクリア。クリア後には画面にカラーバーが表示され、その後は…


藤子不二雄風オープニングからの、このエンディングの演出には痺れました。
さらに怪異を100集めると別の展開もあるので抜かりがない。

 

感想

ゲーム・オカルト系エンタメに必要な全ての要素が絶妙に調和しています。とにかく面白いし、世界観やキャラクターの魅力も申し分ない。
特に素晴らしいのが、ゲーム全体に流れるユーモア。
心霊系YouTubeチャンネルで「ゾゾゾ」が頭一つ抜けているのは、土台となる優秀なディレクションはもちろんとして、出演者たちの飄飄とした、そしてどこか可笑しみを感じさせるキャラクターによるところが大きいかと思いますが、その、多くのオカルト系エンタメが獲得できない絶妙なユーモアセンスを本作は内包しているわけで、ある意味最強。レトロ風のビジュアルやBGMに人を食ったようなユーモアが加わることで、どこか言い知れぬ不気味さを醸し出しているのもホラーゲームとして100点。アイデアがどれも素晴らしく、プレイ環境も丁寧に配慮されているので誰でも楽しめるものになっています。今後は是非Switchなどのコンシューマにも移植され、より多くの人に遊んでほしい傑作。

 

 

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