みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている(switch)

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妖怪ウォッチ
レベルファイブ
2019年6月20日
Nintendo SwitchPlayStation 4

 

妖怪ウォッチシリーズは今作で初のプレイとなります。
序盤からとても面白く惹きつけられ、初期のアニメ版と『シャドウサイド』、映画4本を見て勉強。

※ネタバレなし

 

マップ

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マップは現在・未来・過去の「さくらニュータウン」が用意され、現在と過去のマップはそれほど広くはないのですが、同じ土地の別の時間軸を行き来できるのは奥行きが感じられて良かったです。

シリーズ初期から舞台としていた、どこにでもありそうな住宅街が今作ではデフォルメされずリアルな縮尺で描かれているのが素晴らしい。
日本の住宅街を舞台にしたオカルト関連のゲーム自体が割と珍しいものですが、非日常を描くために日常のマップを作り込むのは妖怪含むオカルト系題材の本質を描くのに必須であり、過去にはトワイライトシンドロームシリーズや『夕闇道り探検隊』(1999年)など、今なお傑作とされているHUMAN作品にも見られる特徴。
初期の妖怪ウォッチはギャグ要素が多く(特にアニメ)、3DSのデフォルメされたマップとの相性も良かったのですが、今作の日常パートではまだゲーム化されていない『シャドウサイド』という対象年齢の高いアニメ原作を軸としたストーリーが大半を占めている事はバランスとして最適だったと思います。

 

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中盤からは『シャドウサイド』と劇場版アニメ『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』のストーリーを織り交ぜながら展開していきますが、日常パートとメインシナリオのバランスも秀逸で、原作を知っていても楽しめるように各々のシリーズキャラが原作にはない会話を繰り広げます。

 

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オープンワールドのようにAIによる生きた世界はありませんが、街のあちらこちらにアイテムが隠されていたり、妖怪ウォッチによる探査で妖気汚染を発見出来るので探索の楽しさも◎。

 

キャラクター・バトル

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妖怪ウォッチ・シャドウサイド・ FOREVER FRIENDSに登場した6人のウォッチ使いを操作できます。
今作からはウォッチ使いも戦闘に加わることになり、それぞれ個別のスキルによる育成が可能。
一人のウォッチ使いと3匹の妖怪によるパーティーによる戦闘は、操作するウォッチ使いによって戦略やパーティー構成が大きく変わってきます。
シャドウサイドのように変身してパワーアップできる妖怪もいますが、ジバニャンをはじめとする初期妖怪は変身ができません。
私はどうしてもジバニャンを使いたかったので回復やバフ蒔きの出来る女子キャラをメインにしていましたが、積極的に攻撃に加わりたい人は好きな能力を持つ男子キャラで補助系の得意な妖怪を従えると良いでしょう。
妖怪の種類も豊富で、アタッカーやヒーラー、シューターにタンクなどの特性を組み合わせてスピード感のあるスリリングなバトルを楽しめます。

 

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リアルタイムで進行するバトルは早すぎてあまり戦略を考えている暇がないくらい忙しいのですが、ちょっとしたミスで戦況が変わるボス戦は熱いです。
FFやペルソナなど和製RPGの独自解釈が上手く出来ていてバランスも良いと思います。
ポケモンのパクリゲーかと思いきや成長も合成もないので時間のない大人には逆に有難い。
ただし仲間妖怪の収集は一日に回せる制限がありコインの入手も難しいガシャを回したり、戦闘中に昏睡状態の妖怪から魂を数種類集めなければならないので難易度は高いです。

 

世界観

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数えるのが馬鹿らしくなるくらい節操なく他作品からの設定や小ネタが放り込まれていています。
ゲームの一作目や日野晃博氏のインタビューを見る限り『ぼくのなつやすみ』に似たコンセプトで作られているっぽいのですが、アニメを併せて見ると余計に混乱します。
ケータの部屋にいるジバニャンとウィスパーの佇まいから藤子不二雄作品のテイストを盛り込んでいるのかなと思ったのですが、そういった要素は意外になかったり…。

 

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※女子中高生ファンから嫌われている『シャドウサイド』の妖怪「寸胴丸」


ジョジョ銀魂っぽさもありつつ子供の好きなコロコロコミック(というか『おはスタ』)っぽいネタを交えつつ、面白担当妖怪ミッチーのギャグはケロロ軍曹が散々こすったようなものばかり。

 

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ターミネーターのセリフが出てきたのでニチアサ的な、保護者を意識している作りかと思えば話は総じて軽く、かと思えば唐突に小ネタで『ねじ式』(↑写真。アニメ『シャドウサイド』より)が出てきたりと全く意図が読めません!
この、やりすぎだとしか思えないサンプリング感は劇場版と『シャドウサイド』では割と抑えられていて、そこら辺を軸に据えた今作はギリギリのバランスを保っていると言えるでしょう。
今作では初代の主人公であるケータの存在感が薄く、『シャドウサイド』のメンバーを中心に『FOREVER FRIENDS』のストーリーをメインに辿っていくので未来の「さくらニュータウン」のマップがいちばん広いです。
妖怪ウォッチはアニメを中心に爆発的なブームを巻き起こした作品ですが、アニメシリーズはそれぞれ対象年齢にムラがあるのでゲームから入るのが正解でしょう。
ゲームの方が自分で探索できる分「日常と非日常」が交差する世界をはっきりと感じられ、作品の持つコンセプトを自然に理解することが出来ます。

 

販売戦略
まず今作『妖怪ウォッチ4』に関しては、発売からたったの3か月後に完全版(『妖怪ウォッチ++』)の告知がされるという未クリア勢にはなんとも気持ちが萎える出来事が。
ただでさえブームが去り前作から大きく売り上げを下げているのに新作を買ったファンに何故このような仕打ちをするのか理解に苦しみます。
今作でシリーズのファンになり新作アニメ『妖怪学園Y』も見始めたのですが、1話目(傑作!)を見た後に2話目を見ると話が全く繋がっていなくて唖然としました。
調べてみると、どうやら1話目を見た後に現在公開中の劇場版を見ないと2話目以降が理解できない作りになっているらしく、何故そんなリスクの高い実験をするのか謎すぎます。
レベルファイブの販売戦略に関しては他にも山ほど(大体全部)理解に苦しむものがありますが、それぞれの作品を個別に見ていくと、どれもしっかり丁寧に作られており、今作のように完成度の高い作品が完全版商法によって評価を下げてしまっているのはあまりにももったいない!

 

まとめ
今作をドラクエポケモン、ペルソナのような大作RPGと比較すると世界観やストーリーのインパクトに欠け、ごちゃまぜのコラージュ&サンプリングによって構成されたオリジナリティがどうしても亜流感を醸し出してしまっています。
ただ、妖怪という題材を生かした住宅街マップの作りや洗練されたシステムの中には他のRPGを越える秀逸なものも多く、BGMや操作性含めゲームとしての完成度はとても高い。80年代からの子供向け文化を特に総括もリバイバルもせず雑多に巻き込みながらシリーズを重ねてきたことによる独特な個性が確立されていて、大人がプレイしても十分楽しめる作品になっています。
ドラクエポケモンを王道とするならば、亜流の傑作として『桃太郎伝説』『ケロロ軍曹RPG』『幻影異聞録♯FE』などもあるわけで、そういう意味で『妖怪ウォッチ4』という作品は亜流RPGの大傑作と言って良いと思います!

 

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あと、鬼太郎が出ます。
私は鬼太郎ゲームを蒐集しているので、精巧に作られた3D住宅街に鬼太郎が出るというだけで買う価値はありました。


今作で初めて妖怪ウォッチというシリーズに触れ、アニメ含め大好きになりました。
今後のシリーズも追っていきたいと思います!

 

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