みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

オープンワールドのゲーム【1】

今回オープンワールドについて簡単に説明しようと、今まで私がプレイしてきた幾つかのオープンワールドの歴史上重要だと思われる作品を並べてみた。
オープンワールドは具体的なゲームシステムの特徴を指すものというよりは、その時代時代による「ゲームの自由度」の解釈であると考える。
時代によってそれらはリニア式ゲームに対するカウンターとして、或いは疑似3Dゲームが横行する中での批評的な立場としての役割を果たしてきた。
ハードの性能が向上し、大手のゲームメーカーの作品がシームレスに広大なマップ移動を実現することがさほど珍しくなくなった現在では、そういった特徴を持つゲーム群を指して「オープンワールド」と呼ぶことに異論はない。
ただ一方で、90年代末から始まったオープンワールドの歴史を踏まえ、オープンワールドの遺伝子を概念として受け継いだ2Dゲームがインディを中心に現れ始めてもいる。
それらを単純に3Dやシームレスという条件を満たしていないからといって、非オープンワールドだと弾いてしまうことには異論を唱えたい。
結論から言えば、オープンワールドとは「シェンムーGTAⅢの流れを汲み、尚且つそれらの解釈・批評として成立している」ゲームの事を指す。
もちろん、それらの流れの一つの大きな要素として発展してきたシームレスに広大なマップを移動できる作品群を指してもよい。ただし3Dゲームが台頭してきた90年代後半から前の作品に関しては別のジャンルに分類した方がいいだろう。
2018年に発売された『モンスターハンターワールド』は、それまでのシリーズになかった環境生物の充実や、モンスター同士の弱肉強食を箱庭世界の中に実現させたという意味ではオープンワールドゲームと言って良い作品であった。
しかし個別に用意されたマップ間の移動がシームレスでないというだけの理由でオープンワールドを標榜することにユーザーから激しく批判されて撤回している。
オープンワールドゲームとは、限定された条件の中に閉じ込められた狭い範囲のジャンルではなく、あらゆるジャンルのゲームに適用することが可能な概念であると考えている。
もっと自由に、柔軟にゲームを楽しむため、こうした誤解を少しでも解きたい。

 

【黎明期】

スーパーマリオ64任天堂 1996年6月23日
天誅アクワイア 1998年2月26日
ゼルダの伝説 時のオカリナ任天堂 1998年11月21日
シェンムー 一章 横須賀』セガ 1999年12月29日
シムピープルMaxis 2000年2月4日
どうぶつの森任天堂 2001年4月14日
グランド・セフト・オートIII』R☆ 2001年10月22日
『侍』スパイク 2002年2月7日
『フェイブル』MS 2004年9月14日
『The Urbz:Sims in the City』Maxis2004年11月9日

 

・1994年に初代プレイステーションセガサターン、その2年後の96年にNINTENDO64が発売されゲームは3D時代に突入。しかし作り込まれた3Dの箱庭世界を自由に歩き回れるゲームとして完成されたものは『スーパーマリオ64』まであまり見られないものであった。97年発売の『FFⅦ』(スクウェア)はキャラクターこそ3Dだが基本的にリニア式で背景は一枚絵のハリボテだったことから一部のゲーマーからは疑似3Dであると揶揄された。

 

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スーパーマリオ64任天堂 1996年6月23日

 

・『スーパーマリオ64』『天誅』は自由度の高いアクションに特化した完成度の高い箱庭を実現し、その後続く3Dアクションゲームの多くに多大な影響を与えた。同様に『ゼルダの伝説 時のオカリナ』も凄まじい完成度を誇るゲームであり、もしもオープンワールドという概念が存在せず、ただ単に「3D箱庭アクションゲーム」というくくりで考えた場合にこの作品を越えるゲームはないだろう。オープンワールドという言葉が普及する以前に『スーパーマリオ64』『ゼルダの伝説 時のオカリナ』という3Dゲームの金字塔を打ち立てた任天堂だが、この流れを正当に進化させた作品は2017年の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』まで待たなければならない。

 

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シェンムー 一章 横須賀』セガ 1999年12月29日

 

・『シェンムー 一章 横須賀』は鈴木裕氏により「全く新しいタイプのゲーム」を目指して作られた連作の第一弾。オープンワールドという呼称はまだ存在せず「FREE」と呼んでいた。壮大なストーリーを軸に据えながら舞台となる街の建造物から人物までの細部に至る作り込み。目的を無視して自由に動き回ることが出来る画期的なシステム。
当時50億円ともいわれる莫大な制作費が宣伝された期待のゲームであったが、一作目が「主人公が地元横須賀から旅立つだけで終わる」ことが低評価へと繋がり国内では長らく「クソゲー」「バカゲー」扱いであった。
2001年にはスケールアップした続編が発売されるが、その後の展開は2019年の『シェンムーⅢ』までなかった。海外ではDC版の後に『シェンムーⅡ』がXBOXにも移植されコアなファンを獲得。
スティーヴン・スピルバーグ監督をはじめとするクリエーターのファンも多く、その影響は計り知れない。『GTAⅢ』の開発者が(GTAに対して直接とは明言してはいないが)影響を受けたゲームにシェンムーを挙げたことから「オープンワールドゲームの元祖」として評価されている。

 

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『The Urbz:Sims in the City』Maxis2004年11月9日

 

・『シムシティ』開発者のウィル・ライトによる『シムピープル』。『ポピュラス』開発者のピーター・モリニューによる『フェイブル』。俯瞰による人間観察シミュレーションの名作を世に送り出してきた両者がフォーカスをグッと縮めてきたことにより箱庭世界は多様化した。SIMSシリーズはストーリーのない完全自由型のサンドボックスゲーム。個々のキャラには様々な欲求や生理現象のパラメータが与えられており、プレイヤーはそれらを管理しつつ家や家具などで生活環境をビルドすることが出来る。派生作品である『The Urbz:Sims in the City』ではSIMSの要素を引き継ぎながらストーリーを軸にした設計になっており、オープンワールド的な箱庭世界を作り出した。
『The Urbz:Sims in the City』の前身であるGBA版『SIMS』の開発には任天堂も関わっている事から『どうぶつの森』との相互影響も考えられる。
『フェイブル』はストーリーを軸にしたRPGだが、キャラクターの行動によりゲーム内世界での評価が変化する。NPCがプレイヤーに対して取る発言・行動が細かく変わるのはもちろん、善い行いを続けていると主人公の顔も優しい顔つきになり、悪行を積むと鬼のような形相になり角まで生えてくる。

 

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グランド・セフト・オートIII』R☆ 2001年10月22日

 

・『GTAⅢ』はオープンワールドを語る上で最も重要な作品。広大なマップを走り回る無数の車。その全てが交通ルールを守り、中には人が乗っていてどれでも奪って運転することが出来る。人を轢けば救急車が駆けつけ、轢いた人間が警察車両に追われる。この徹底した車社会の構築により舞台であるリバティ・シティがまるで巨大な生き物のように感じられる。
この視点の斬新さ、「ゲームのリアリティ」に対するアイデアがなければ現在の3Dゲームの進化は大分遅れていたことだろう。『GTAⅢ』の後も同一のエンジンでシリーズを作り続け2004年の『サンアンドレアス』ではキャラメイクにSIMS~フェイブル的な要素も取り入れたが、独自開発のゲームエンジン「RAGE」を採用してからは、それらの要素は後退した。

 

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『侍』スパイク 2002年2月7日

 

・『侍』は後に続く侍道シリーズの一作目。プレイヤーの選択肢や行動によりストーリーが分岐する剣劇アクションアドベンチャーゲーム。2つの大きな勢力のどちらに付くかを迫られるが、途中で乗り替えたり、最後まで単独で行動出来たりと自由度が高い。主人公=プレイヤーで、土下座などのコミカルなアクションや衣装、選択肢などが用意されていて「バカゲー」要素が強い。後のアイレム作品に通じる部分も多い。町の人間や仲間はもちろん、ストーリーにおいて重要な役割を持ったキャラに至るまでいつでも斬り殺せる。周回プレイが前提となっているため箱庭世界が作り込まれており、当時の日本のゲーム雑誌では「GTAに対する日本の解答」と評される事もあった。

 

ここまでを黎明期とし10作品を取り上げてみたが、この時点でもうほとんどオープンワールドの土台は完成されているように見える。天才ゲームクリエーター達の3D作品に対する様々なアイデアはどれも斬新で、作り手たちの夢が実現していった、ゲームの歴史の中でも最も幸福な時期だったのかもしれない。
任天堂ゼルダとマリオに関しては技術的な水準が高すぎて容易に模倣出来ないことや、シリーズの長い歴史の中での独自の進化だという事を鑑みて、オープンワールドというジャンルからは解放してもよいとは思うが、あらゆるジャンルの3Dゲームに影響を与えたという意味でここに加えた。

 

GTAクローン】

ゲッタウェイSCEE 2002年12月11日
トゥルー・クライム:STREETS OF LA』アクティビジョン 2003年11月4日
『Driver3』アタリ 2004年6月21日
スパイダーマン2アタリ 2004年6月28日
マーセナリーズEA 2005年4月28日
ゴッドファーザーEA 2006年3月21日
セインツ・ロウTHQ 2006年8月28日
『ジャストコーズ』アイドス 2006年9月27日

 

FPSという言葉が普及する以前に「DOOM系」という呼称があったように、GTAシリーズの爆発的なヒットから多くの「GTAクローン」と呼ばれる模倣作が生まれた。まだオープンワールドという言葉や概念が一般的でない時期とはいえ「クローン」という言葉の響きは蔑称のような印象を受ける。当時のGTAファンには不評なものもあったが、オープンワールド黎明期の一つの側面と考えれば面白い。

 

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セインツ・ロウTHQ 2006年8月28日

 

・『セインツ・ロウ』は一作目こそギャングの抗争を描いた『グランド・セフト・オートサンアンドレアス』(2004年)のクローンであったが、シリーズを重ねるごとにSIMS的なおふざけ要素を強めていきバカゲーとして独自の方向性を確立したオープンワールド成功例の一つ。『サンアンドレアス』はストーリーを主軸に据えながら、マップ上には様々なギャングのカラーが示され、そこに乗り込んで抗争に勝つことによって自軍の陣地を広めていくという陣取りゲームが自由型ミッションとして含まれていた。この、広大なマップでの陣取りゲームという要素を推し進めたゲームが初期の『セインツ・ロウ』や『ジャストコーズ』で、そこからさらに発展させたものが現在のUBIの一連のオープンワールドゲームに採用されている。
ゴッドファーザー』も根幹は陣取りゲームだが、抗争ではなく「店に行って店員を脅す」ことでシマを拡大していくというユニークなものになっているが、この要素自体は『グランド・セフト・オートバイスシティ』(2002年)にもあった。

 

・『ゲッタウェイ』『トゥルー・クライム:STREETS OF LA』『Driver3』は正統派GTAクローンと呼ぶにふさわしいが、ストーリーはアクション映画を志向していてゲームとしての水準は高い。
スパイダーマン2』は一作目からシームレスなマップ移動を目指していたが二作目で
飛躍的に移動範囲が広がり自由度が増した。
マーセナリーズ』は北朝鮮を舞台に、敵軍の陣地を攻めて解放していくゲーム。
仲間に指示を与えたり、建造物の破壊が可能であったりとGTAクローンから一歩踏み込んだ作品といえるだろう。

 

・ここに挙げたものは日本版が発売されているものばかりなので、どれもそこそこ面白い。これらの多くは海外で好評を博しシリーズ化されたが、どれも短命で終わるか、大きな方向転換がなされている。

 

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