みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

In Other Waters(Switch)

In Other Waters
Jump Over The Age
2020年11月26日
Nintendo Switch、Steam

 

『In Other Waters』はロンドンを拠点とするJump Over The Age開発のインディゲーム。海外での初配信は2020年4月3日。本作は実質的にGareth Damian Martin氏が一人で開発したデビュー作となります。

 

ゲーム概要

プレイヤーはAIとして、惑星「グリーゼ667Cc」の海底を調査する生物学者エラリー・ヴァスを手助けしていくことになります。AIなので画面には最低限の情報だけしか表示されず、登場人物や海底の景色がどういうビジュアルなのかは想像するしかない。とはいえ、提示されるインターフェイスと効果音は美しく洗練されていて、プレイヤーの想像力を掻き立てます。ちなみにインターフェイスのデザインに関しては日本のアニメ~『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』に影響を受けているそうです。

 

海底を探索して生物のサンプルをいくつか持ち帰る、という事を繰り返すことで惑星の生態系が明かされ、物語が進展します。持ち帰った生物は図鑑に登録され、次の探索へ持ち出すことが可能。所持できる生物にはそれぞれ特徴があり、海藻の森に道を作ったり毒を中和したりと、進みたいルートに合わせて携帯しておくと探索をスムーズに進められます。

 

操作に慣れて深い場所まで潜れるようになると、かつてエラリーのパートナーで現在行方不明中のミナエ・ノムラ博士の足取りと、この惑星で何が行われていたかの謎が解き明かされていきます。この「潜る」というインタラクティブな体験と、ストーリーの「真相に迫る」テキストとが見事にシンクロしていく構造は見事。シンプルながらも深いゲーム体験を実現させています。

 

感想
開発者によれば、夏休みに毎日海で泳いでいた時に本作のアイデアが浮かんだそうですが、私の感覚的にこのゲームの感触に最も近いと思ったのは「インターネットの海」でした。ちょっとした調べものから始まり、リンクや関連するワードを繋げていくうちに思いもしなかった真実に辿り着くあの感じ。最近では「思いもしなかった真実」の大半がつまらない陰謀論のような危険なものであることが多く、このゲームで感じられたような興奮は得られなくなってしまいました。本作は、かつてある一時期だけ共有されていたインターネット都市伝説などが持っていた興奮を思い出させてくれます。
思慮深いテキストと考え抜かれた海底マップ、シンプルなインターフェイスはこのゲームが持っているあらゆる要素を等価にまとめ上げ見事な一体感を見せる。

美しい傑作。

 


© 2020 Jump Over The Age. Published by Fellow Traveller®. Fellow Traveller is a registered trademark of Surprise Attack Proprietary Limited trading as Fellow Traveller Games.