カリコ
Peachy Keen Games
2021年6月3日
Nintendo Switch,PlayStation 4,Microsoft Windows,Xbox One,Mac OS,Xbox Series X/S
『カリコ』は2020年12月15日にSteamで初配信されたインディーゲームで、ワシントン州シアトルを拠点とする2人組の開発チーム「Peachy Keen Games」のデビュー作。
動物カフェ経営シム
ゲームの概要に「動物カフェ経営シム」とあるように、開発者がシアトルの猫カフェから着想を得た動物カフェがプレイヤーの自宅であり、この物語の軸となります。
庭付き2階建てのカフェは家具の設置が可能で、フィールドに点在する動物を最大10匹住まわせることが出来ます。
動物は、抱っこしたり自分の頭の上に乗せて移動出来るほか、魔法で巨大化させて乗りこなせば走るよりも早く移動できます。
マップではシームレスな移動により、ローディングでストレスをためる心配がありません。流れるBGMは場所によって女性の優しい歌声が現れては消え、この不思議なゲームの世界観を見事に引き立てています。
序盤こそ行動範囲が狭いものの、この不思議な世界の変わった住人たちと交流を深め、様々なクエストを達成することで広がっていきます。
クエストの種類は主に「動物の捕獲」「カフェの改装」「カフェのメニュー追加」などがあり、その中でも「カフェのメニュー追加」は、まず指定された料理のレシピを探し、それを基に調理して店頭に並べるという3つの工程から成ります。
調理の方法が一風変わっていて、アリエッティサイズの小人になって材料をボウルに投げ込んでいくことで完成。
一度作ったものは再度作り直さなくて良いのが◎
猫を模したドーナッツやクッキーなど、作ったお菓子はどれも可愛いものばかり。
動物カフェ経営シムと謳ってはいるものの、探索の楽しさもきちんと作り込まれていて、フィールド上は多くの発見に満ちています。
ベッドで眠ったり、お店で買った服でオシャレをしたりと、ロールプレイを楽しめる要素もちゃんとあって、住人それぞれに個別のクエストも用意されています。
UIやメニュー画面もシンプルでわかりやすく、携帯機との相性も良い。
ゲームとしてのボリュームは決して多いとは言えませんが、無駄な要素がなく、気軽にプレイするには十分すぎる内容。
感想
DSやWiiのゲームを彷彿とさせるビジュアルが持つある種のチープさが不思議な魅力を醸し出しているのが新鮮。
動物をメインにしたゲームは数あれど、本作は萩原朔太郎の『猫町』を想起させるような妖しい異世界感が表出していて、想像力が刺激されます。
そんな奥深さを感じさせながらも、ゲームとしては直感的で、小さい子供でも楽しく遊べるように出来ている所が素晴らしい。
開発者インタビューによると『どうぶつの森』や『大神』など、日本のゲームからの影響も語っており、本作中にもいくつかの日本的な要素が見られます。
キャラクターデザインこそ日本人には多少とっつきにくい面があるにせよ、この独特でぶっとんだ不思議な世界は、きっと全てのプレイヤーに特別な体験を与えてくれるでしょう。
(C)Whitethorn Games & Peachy Keen Games, 2021