みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

フォールガイズ アルティメット ノックアウト(PS4)

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フォールガイズ アルティメット ノックアウト
メディアトニック
2020年8月4日
PlayStation 4Microsoft Windows

 

『フォールガイズ アルティメット ノックアウト』はイギリスのインディーゲーム。

最大60人でのオンラインプレイのバトロワ形式のゲームで、PS4では今月(2020年8月)のフリープレイとして無料で遊ぶことが出来ますが、今後無料化する予定はないとの事。

とりあえず優勝するまで3~4時間程やってみた感想です。

 

60人参加のバトルロイヤル

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60名の『ヒューマンフォールフラット』的なぐにゃぐにゃとしたキャラクターがズッコケて団子状になっていく光景を見て一気に心を掴まれました。

本作のリードデザイナーを務めたジョー・ワルシュ氏の「ハチャメチャでクレイジー」というコンセプトが見事に具現化されていて、そこに参加しているという興奮がしばらく醒めなかったほど。

20種類以上あるミニゲームを勝ち進んで最後の一人になるまで戦います。

全部で5つのランダムに選ばれたステージを進んでいくのですが、中には2~3チームに振り分けられた中で勝敗を競うものもあるため、個人的な力量に加えて運も味方に付けなければ優勝できないようになっています。

今後のバージョンアップでは固定チーム戦などの追加も示唆されていますが、今バージョンにおけるソロプレイによるバランスもなかなか良いと思いました。

人数の多い序盤では、どんなにステージ攻略を覚えても他のプレイヤーに押し出されて思わぬミスをしてしまったりすることが多いのですが、そういったアクシデントを楽しめるかどうかで今作の評価は変わってくるでしょう。

 

キャラクターの魅力

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上の写真では自分のキャラが両手を口に当てて足をバタバタさせているのですが、負けた後の仕草として可愛すぎるでしょ!

 

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一回戦目で負けても報酬が貰え、それを貯めていくとショップでコスチュームを買うことが出来ます。ショップのアイテムは時間が経つと更新されますが、アカウントによって品ぞろえが異なるので序盤から個性が出しやすいのも◎

 

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バトロワ系はとにかくギスギスしやすく、何度も同じステージを繰り返さなければならないので、負け方やトラブルを前提としたキャラクターのバカバカしくも可愛いモーションが映える今作のデザインは秀逸。

モノをつかむときなどに使う「つかんでひっぱる」系のアクションを他のキャラクターに使って進路を阻むことも出来ますが、簡単に振りほどけるし、今作の世界観によって相手への腹立たしさも軽減されているように思いました。

 

風雲たけし城

リードデザイナーのジョー・ワルシュ氏は今作に影響を与えたゲームに『Gang Beasts』『マリオパーティー』『ロケットリーグ』などの名前を挙げながらも、自身が子供の頃に好きだった「『風雲!たけし城』からの贈り物」と公言しています。

風雲!たけし城』は80年代に人気を博した日本のTVバラエティ番組。89年の番組終了後も世界159カ国・地域で放送され、輸出された日本のバラエティ番組のコンテンツでは最も成功した部類に入ります。

『フォールガイズ』にあるミニゲームの中には『風雲!たけし城』とほぼ同じようなセットも多く見られますし、なんといっても『風雲!たけし城』の持つバカバカしさやマヌケさまでも再現しようとしていることが見て取れます。

番組の参加者を募る時の謳い文句が「体力あって、暇があって、金のない人、どんどん来てください!」というもので、実際の参加者を見るとパンチパーマのどうみても堅気じゃないような人もいて、そういういかついおっさんが一回戦で負けて舌をペロッと出してはにかみながら帰っていく感じとか最高なんですけど、そういった空気を世界観によってゲーム内に作り出そうとしているのが今作で、その試みはある程度成功しているのではないかと。

 

今作を楽しむための素養として『風雲!たけし城』、或いはそれに類似する素人参加型番組に馴染んでいるかどうかは重要なポイント。

日本では演出過多のリアリティショーを除いた純粋な素人参加型番組のレギュラー放送は『TVチャンピオン』(2006年終了)『クイズ$ミリオネア』(2007年終了)以降はヒット作に恵まれず、年に1~2回放送されている『SASUKE』や『全国高等学校クイズ選手権』のような特番も近年では視聴率の低迷に喘いでいます。

現在残っているのは『NHKのど自慢』と『パネルクイズ アタック25』のみ。

老若男女問わずテレビの中の素人に自分を重ね合わせて見られるような番組がなくなって10年以上が経過しているという現状。

アメリカでは新人発掘オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』(NBC)を筆頭に素人参加型というジャンルが定着し、韓国やその他の国もそれらを模倣した番組が現在でも数多く存在します。

画面の向こうの参加者と自分を重ねることで小さなドラマを発見したり、そのシーンをみんなで作っているという意識は生まれやすくなります。

これは別に「負けても面白い」とか「勝ち負けにこだわらない」などと言いたいわけではなくて、その場の空気を共有できるかどうかで楽しさの度合いが変わるという事。

『フォールガイズ』では最初の2戦はある程度勝ち方があって、ミスさえしなければまず突破できるのですが、3戦目に運要素の強いチーム戦になり自分がいくら頑張っても負けてしまうことが多くあります。バトロワというゲーム性を踏まえて、これを演出と取れるかどうかで評価は割れるでしょう。

ゲーム内で他のプレイヤーを邪魔してくる人を「悪役」という演出の一部と捉えられるかどうかでストレスの負荷も変われば、チーム戦という運要素をある種のお祭り的なイベントとして楽しめるかどうかも大きなポイント。

言ってしまえば『フォールガイズ』というゲームは、『風雲!たけし城』という世界的に有名な番組のコンセンサスの上でのみ成り立っているゲームであり、ゲームそのものの評価というのはあまり重要ではありません。実際に参加して、その場の空気を皆で作りながら楽しめる能力が備わっていないと全然面白くないと思います。

 

 

まとめ

今作『フォールガイズ』は「正しく『風雲!たけし城』」しながらバトロワ系の新しい方向性を示した傑作だと思います。

参加することを前提として(素人参加型番組的)見るゲーム実況も楽しいし、報酬とアイテム価格のバランスも良く、ビジュアルとゲーム性の相性も良い。

マッチングの速さによる気軽さと世界観、それと60人という大人数によりギスギスした雰囲気やストレスも感じずに遊ぶことが出来ます。

現在はソロプレイしかないので、何度か優勝したら飽きがくるのは避けられないとは思いますが今後のバージョンアップにも大いに期待してよいゲームだと思います。

 

 

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