ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト
アトラス
2018年5月24日
PlayStation 4、 PlayStation Vita
『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』の原作となる『ペルソナ3』は2006年にPS2で発売されたRPGゲーム。個人的にはゲームはもちろん、サントラや設定資料集、マンガやアニメまで買いそろえているほど大好きな作品。
ただ、原作のゲーム本編はクリアまで100時間程かかるので、最も重宝しているのがサウンドトラック。特に主題歌の『バーン・マイ・ドレッド』がフルで入っているCDはあらゆる場所に持ち込んでは聴きまくっていました。
一時期あまりにもサントラを聴きすぎていたのと、続編の『ペルソナ4』が『ペルソナ3』を越えていないと感じたこともあり、ここ数年はペルソナシリーズへの興味を失っている状態です。
ただ今作『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』をプレイしてみて思ったのが「やっぱりペルソナ3の曲は最高だな」ということ。
しかも曲が流れている間に流れているアニメが所々ちゃんと当時のゲーム映像なのが素晴らしいし、もうそれだけで満足ですね。
なんか、ただの信者が持ち上げているだけの文章になってしまいましたが、「意外とちゃんと作られている」ということも書いておきます。
難易度
難易度は「EASY」「NORMAL」「HARD」と、特定の条件を満たすことで解放される最高難易度「ALL NIGHT」の4段階。
サウンドアクション
音ゲー部分ですが、楽曲数は全25曲。上にあるように左右に流れてくる☆をコントローラーのL側(十字)とR側(〇✖△)で合わせていくもので、慣れてくると難易度はそこまで高く感じませんでした。
ただこれ、大きなテレビでプレイすると画面から大分離れないと左右見難いですね。目と目が異常に離れている人は問題ないかとは思いますが、この作品はVITAでも発売されているので両機種とも全く同じ仕様なのでしょう。注意が必要です。
衣装
ステージやキャラクターごとに特定の条件が設定されていて、それらをクリアすると新しい衣装やストーリーが解放されます。
衣装が豊富なのが素晴らしい。あと、ゲームを進めると一緒に踊るメンバーも選べるようになるので、衣装と組み合わせて遊ぶのが楽しいですね。
ストーリー
眠っているキャラクター達がエリザベスさんによって集められ、夢の中でダンスパーティーを開催する、というようなもの。
『DOA Xtreme』シリーズみたいな感じです。ただ、あっち(DOA)のほうはビーチバレー部分に物凄く力を入れているのでバカな設定が合いますが、こちらは根幹の音ゲー部分もそこまで作り込まれていないので、ファンとしてはこういうストーリーを入れるくらいなら曲を増やしてくれた方が嬉しかったです。
人にもよりますが、私は原作を微塵も掘り下げていないストーリーにはあまり興味が持てません。キャラクター達はみんな好きですが、それは素晴らしい原作の上で輝くのであって、しょうもないボケとツッコミがいくら好きなキャラ同士で繰り広げられていても辛さしかないです。しかもやたらとテキスト量が多いので途中から飛ばしました。
一体なんなのでしょうかこれは。
VRモードでは好きなキャラに衣装を着せて眺めたり、キャラクターごとのストーリーを進めることで部屋を探索できるようになります。
これはあまり期待しない方がいいですね…
キャラ鑑賞ではゲームが遊べるわけでもないし、部屋の探索はまずそこまで辿り着くのに一苦労します。コミュニケーション要素もなし。完全におまけ程度のもの。
ただ、今作のキャラクターの等身に若干の違和感(特に女性キャラ)を感じていたのですが、VRで見ると自然に感じられました。
『閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH』(2017年)にもおまけ要素としてVRモードが存在するのですが、カグラの方は本編では違和感のなかったキャラがVRだと頭でっかちの気持ち悪い等身に見えてしまうという現象が起きていました。
まあでも、普通は長く遊ぶ本編の方に合わせますよね…
感想
原作の『ペルソナ3』を知らなくても音ゲー部分は十分楽しめる内容。ストーリーはシリーズファンでも人によっては退屈に感じることも。しかし難易度や衣装などの長く遊べる要素が多く入っていてストーリー抜きにしても良い部分は多いです。他のナンバリングは好きだけど3だけ未プレイだという人は今作でキャラや音楽の素晴らしさに触れてもらえるとファンとしては嬉しいです。
このゲーム、去年(2019年)500円で買ったんですけど、定価(8228円)と発売年(2018年)を知り驚きました。
スクエアエニックスのシアトリズムシリーズと同じ轍を踏んでいますね。
完全版こそないものの、大量の有料DLCを見ると製品版ではDLCを売るために曲や衣装を絞っているのだと思われても仕方ないでしょう。
店頭で今作を見つけた時に「アトラスはまだペルソナ3を大切にしてくれているんだ」と思いましたが、実際買い支えているのは熱心なファンなわけで、定価で買ったファンがAmazonに書いたレビューを読むと怒りを押し殺して(所々漏れてはいる)良い部分を血眼で見つけて「☆3.5」みたいな点数を付けていて胸が締め付けられます。
ペルソナは他のシリーズも音ゲー化されていて、土台が良ければファンも投資してくれるとは思いますが、私が見る限りではせいぜい居抜き物件といったところ。
結局、企業側がファンというものをどう捉えているかはこういったファングッズに如実に表れてしまうし、売り逃げ商品は速攻ワゴン行きなのでイメージも悪くなります。
完成度は仕方ないにしてもサービス面でもう少し頑張ってくれたら作品の評価は変わっていたのではないでしょうか。