バイオハザード RE:4
カプコン
2023年3月24日
PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X/S、Microsoft Windows
本作『バイオハザード RE:4』は、2005年に発売された『バイオハザード4』のリメイクであり、REシリーズの三作目にあたるもの。
原作との変更点
これまでのREシリーズにあった弾薬のクラフト、ケースに装着することで効果を発揮するチャームの存在などの追加要素に加え、アクション面において特筆すべきはナイフの強化。敵の近接攻撃に対してパリィではじき返すことができ、これを覚えるだけで戦闘がかなり有利になります。強化された反面、耐久度が設けられ、頼りすぎているとあっけなく破損してしまう。とはいえ、武器商人にお金を払えば耐久度は強化できるし、複数本のナイフを所持することができるのでゲームバランスとしてはよく考えられているなと感じました。
複数の敵に囲まれている時にナイフに頼りすぎると詰んでしまったり、かと思えばボス戦などの思わぬシーンで命を救われたりと、もはやナイフ無しでは成り立たないくらい本作にとって重要な役割を果たしています。
ストーリーに関しては、原作では語りきれなかった部分が補完され、キャラクターの掘り下げもかなりされています。ファミ通(※)の開発者インタビューによると、2010年に発売されたWii専用ガンシューティング『バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ』の設定が生かされているとのことで、REシリーズが1~6までのバイオハザードのストーリーを総括することを視野に入れているのがわかります。
実際、本作をプレイしてみると、キャラクターの個性は原作の設定を踏襲しつつ、ストーリーの軸は明確に伝わるような配慮が施されていて、非常にわかりやすいものになっていました。
ひとつ難点を上げるなら、原作にあった「QTE」がなくなったかと思いきや、「〇ボタン 避ける」のような回避行動がQTE並にシビアであったり、即死ギミックも健在。ここらへん、今の時代にそぐわない「ほぼほぼQTE」と言えるものなので、そこから受けるストレスは原作以上でした。
難易度
ノーマル(STANDARD)モードでクリアしましたが、かなり難しいと感じました。何度も死んだり、ボス戦で苦戦したわけではないのですが、これまでのREシリーズと比べて「しんどい」と感じる時間が多かった。原作と一緒で、基本的には大量のガナード(村人)との戦闘とボス戦を繰り返しながらパズルを解いていくというものなのですが、それに加えて罠と、上記した「QTEもどき」が加わり休まる時間が少ないのが疲れる原因ではないかと。RE2~3でも同様のギミックや構成が見られましたが、それらはほどよい緊張感を保ち、ホラーアクションの演出として許容できるものでした。本作は若干その許容範囲を越えているように感じられ、緊張感より忙しさが勝り、寄り道などを楽しむ余裕がありませんでした。
ただ、難易度を上げて2周目をプレイしたのですが、そこで初めてこのゲームのバランスの良さを実感できて、辛さよりも楽しさが勝りました。謎解きはいいとして、戦闘と戦闘の間の遊びのなさはギミックをある程度熟知することで克服できることがわかります。これはおそらくQTEが多用されている『バイオハザード6』を好きかどうかで評価が分かれるところでしょう。
個人的にはバイオのQTEっぽいものにアレルギーがあるので本作の一週目が特別しんどかったというのがあるのですが、発売前にRE2~3を続けて遊んだ感想としても難易度は高いと感じました。
感想
原作のリメイクとしては素晴らしい出来ですが、REシリーズとしての新機軸はあまり感じられず、これまであった一貫性が若干失われてしまったように感じられました。個人的な好みの問題だとしても、この先5~6のリメイクをするとして、本作の方向性を見るかぎりではかなりの不安が残ります。
とはいえ、名作とされる原作のファンを納得させるクオリティに仕上がっているのは流石。アクションゲームとしてやり込みがいのある作りと、フィギュアやアートなど、おまけ要素も充実。至れり尽くせりの内容ですが、少しでも難しいと感じた方には難易度を下げて楽しむことをお勧めします。
※週刊ファミ通 2023年4月6日号
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