アサシン クリード II
Ubisoft
2009年11月17日
PlayStation4,Xbox One,PlayStation 3,Xbox 360,Microsoft Windows,macOS,Classic Mac OS
『アサシン クリード II』は2009年のゲームですが、今回は2017年2月23日に発売された『アサシン クリード エツィオ コレクション』(PS4)内に収録されているものをプレイしました。
アサクリは初代しかプレイしていませんでしたが、まさかここまで長いシリーズになるとは思いませんでした。2007年から2021年までに本編だけで12作品、ほぼ毎年リリースされているといっても過言ではない制作体制が敷かれています。現在、PS4のダウンロード版はかなりの割引でシリーズの多くが遊べるという事で、とりあえず買いまくってみたので、できるだけ早く新作に追いつけるようシリーズの足跡を辿っていきたいと思います。
「観光」する都市
『アサシン クリード II』の舞台は15世紀のイタリア。フィレンツェやヴェネツィアなどの有名な都市をオープンワールドで再現。高低差のある都市をアサシンとなり自由自在に駆け巡ることが出来るマップは2世代前のゲームとしてはかなり贅沢。しかもステルス要素に合わせて潜入の難易度が異なるエリアの人員配置と動きは絶妙で、群衆の数も現在のオープンワールドゲームと比べて多いと感じます。
都市を支えるインフラ、それをゲームのコンセプトに合わせてどう表現、或いは存在しているように思わせることができているかの背景描写が、オープンワールドを生きた世界として構築する上では重要な要素です。それは時に、街を歩く人々個々の設定であったり、交通機関であったり店舗の営業時間であったりと様々ですが、アサクリの場合は群衆と多様なインタラクトによってそれを達成しています。
しかしプレイヤーの操作に呼応する細かい設計が独自の自由度を生んではいるものの、それがゲームとしての爽快感をある意味削いでしまっていたり、ストーリー展開のダイナミズムに制限をかけてしまっていることも確かで、全体的には地味な印象。
実際プレイ後に思い出せる楽しかった記憶は、ストーリーの内容よりも、高い建物に登って街を見下ろしたり、モニュメントを探していた時間のほうが圧倒的に多い。
しかしこうしたゲームデザインからは、後のUbi製オープンワールド『ザ クルー』『ウォッチドックス』シリーズにも共通する「観光」としての側面が窺えます。
『アサシン クリード II』の時点で、既にゲーム的な派手さよりも実在の都市を忠実に再現し、その街を観光するように楽しめる設計に大きく舵を切っていることは、オープンワールドの歴史を語る上でも重要な作品と言えるでしょう。
ゲーム内の人物やアイテムなどにも、わかりやすくて細かい説明が付き、まるで博物館を巡っているような楽しさがあります。
主人公エツィオの協力者として度々登場するのが画家のレオナルド・ダ・ヴィンチ。
実在の都市とフィクションで構成されるゲーム内世界で、こうした誰でも知っている人物が重要な役割を担って出てくることで、虚構と現実の間にある幅が狭まり、歴史に対する親近感をプレイヤーに抱かせてくれます。
シリーズ共通の要素
現代においても大きな力を持つ組織、テンプル騎士団。彼らが過去の歴史的な事件にも暗躍していたという記録を頼りに、装置を使って過去へダイブしテンプル騎士団を暗殺するという1作目の流れを継承。歴史上の様々な都市を舞台とするシリーズの性質上、非常に都合の良い設定だとは思うのですが、メインであるイタリアでのストーリーの合間合間に現代へ戻されるのは若干興醒め。現代編は今後も長く引っ張っていくため大した進展もなく、設定に付き合わされてる感は否めません。個人的に1作目のストーリーがあまり頭に入っていかなかったのも、この過去と現在の分断によるものなのですが、これからも長くこのシリーズを楽しみたいのならば覚悟を決めて付き合っていくしかないのでしょう…
その他の要素として、街の外で馬に乗れたり、自宅を改築して様々なサービスを受けられたりと遊びの幅は広いのですが、サブクエストがあまり充実していないのでストーリーをゆっくりと進めながら楽しむ感じですね。
感想
1作目をプレイした時にはステルスゲーとしての弱さに目がいってしまい、アサシンクリードという作品が持つ独自性が見えにくかったのですが、本作をプレイしてみて観光する楽しみを発見できたのは大きな収穫でした。ゲームとしてはストーリー含め、どうしても地味な印象があり後回しにしがちなシリーズですが、その地味さを別の楽しさに置き換える工夫が随所に施されており、オープンワールドの中のひとつのジャンルとしての個性を確立しています。現在プレイしても十分楽しめますし、シリーズの入門編としてもお薦めしたい作品です。
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