明日2019年10月24日に大型アップデートであるバージョン5.0を控えたドラクエ10。今回は2019年6月26日に公開されたバージョン4.5【後期】の感想です。
エンドコンテンツもストーリーもなかったバージョン4.5【後期】ですが一応それなりに課金はしていました。いくつか楽しみにしていたコンテンツもありましたが、コロシアムやバトルトリニティなどのPVPの大会で間延びさせていたこともあり、バージョン4全体の中では最も勢いに欠けた期間と言えそうです。
このスケジュールを見てもらえるとわかりますが、ほとんどが既存のコンテンツで、唯一盛り上がりそうなのが新コインボスだと思ったのですが、全くといっていいほど盛り上がりませんでした。
新コインボス 帝国三将軍
新コインボス「帝国三将軍」はバージョン4の期間中に登場した三体のボスが同時に出現するという「悪霊の神々」や「伝説の三悪魔」と同じタイプのものですが、最近のコインボスは大分強さが緩和されているので、油断は禁物ですがリトライが必要な絶望感もなければ新装備の需要にも特に貢献しませんでした。
2017年11月16日に公開されたバージョン4での約2年間の間にコインボスが3体しか出ないというのは過去最低。
これら三体のコインボスの報酬アクセもやたらと合成効果を増やしており、今回のものも三体の内の一体であるギュメイ将軍(真ん中)が落とすアクセを伝承する「ガナン帝国の勲章」というもので、効果の異なるものを3個作る必要があります。
期間限定イベント
以前好評だったものに手を加えて再度出すのは良いのですが、やはり新しいイベントも欲しいです。この中では「真夏のトレジャーハント2」がストーリーと謎解きを一新していたので一番印象に残りました。「ドルボGP」はマップが変わっただけでしたが個人的に大好きなのでずっとやっていました。…が、参加者がとても少なかったです。以前広場で公開されていたマンガも今回はなし。ああいうの大事だと思います。
マイタウン
結構前からアナウンスされていた新住宅「マイタウン」。発売日に普通に買えましたが、思ったよりも良かったです。住宅が3つ設置出来て、外の空いた土地に庭具を置けます。土地はかなり広く、海やトンネルもあって天候や時刻も自由に変えることが出来ます。久々にハウジングにハマって夢中で遊んでいたのですが、庭具の上限が150個までなので、柵や植物などの小物にこだわるとあっという間に終わります。こういった制限の中で工夫して遊ぶにしても少なすぎます。マイタウン自体は2億ゴールドという値段にしては豪華で素晴らしいとは思いますが、ユーザーの不満は予測できるものであったはず。そういうところ、本当にどうかしてます。
ちなみにマイタウン購入者数は発売から一週間後の2019年7月31日時点で8686人で、その内初日に買った人が7000人ほどだったことが公式に発表されました。
キャラクターズファイル
前回のパクレ騒動(1月)を受けて急遽続編が配信されましたが、みんなもう忘れてしまったのかあまり話題になりませんでした。夢落ちみたいな感じで適当にやっつけた感が強かったパクレ続編でしたが、今回の新作「ジェニャの未来」も全体的に及び腰の無難な作り。いやむしろこれが運営の考える「無難さ」なのかと正直世間とのズレを感じられずにはいられませんでした。
ジェニャが関西弁ということでジェニャの故郷は架空の関西。ケチで金儲けの事ばかり考えている人だけが住むファンタジー関西が出てきます。パクレよりこちらの方が問題な気もしますが特に炎上はしませんでした。
ドラクエ10のストーリーは「ゲームのストーリー」としてはそこまで悪いものだとは思いませんが、そもそも肝心のゲーム部分が「○○を取って来てくれ」「○○を倒してくれ」のワンパターンで、バトルも特色がない使いまわしのものなのでユーザーの関心が報酬にしかありません。なのでストーリーこそ最も気を遣わなければならないのにバージョン1から一貫して質が悪い。もはや炎上するかしないかはユーザーの気分次第なのではないでしょうか。
ブログランキング問題
ドラクエ10にはライブドアのブログランキングを中心とした文化があり、そのランキングでの位置付けを気にしている人達が一定数存在します。バージョン4になってからランキング上位に位置するブロガーの多くがブログランキングを退会したり、ドラクエ10を引退するという事態が頻発。特に今年8月の「ハレサレポート」管理人のドラクエ10引退は感慨深いものでした。トドメと言ってよいかもしれません。
ドラクエ10プレイヤーである程度発言に影響力のある人の多くは何らかの形でスクエニや配信サイトからペナルティを受けていたり、炎上商法でフォロワーを稼ぐような「クリーンではない」人や行為が横行している中で、純粋に「ニッチな攻略をわかりやすく紹介」したり「オリジナルのイラストでストーリーを創作」「データを基に検証」「理論的な長文が書ける」などの技術を持つ人達が少なからずいたのですが、ハレサ氏の引退をもってそのような人材が枯渇してしまったように思います。
これは最近のTwitterでもよく話題になっている問題ですが、「個人の意見を個人の意見として許容できない」読み手に対する「極論によって意見を二極化させて片方を味方につける」というN国的な戦略の成功が示すように、「賛成派」と「反対派」が分断された単純な世界では「極端な反論・煽り」だけが支持されます。こうした「汚物のキャッチボール」がコミュニケーションとして成立している世界では「個人の創作」は淘汰されて当然なわけで、残るは「漠然とした感想」や「ゲハ的なまとめブログ」のようなものばかりになります。「漠然とした感想」の中にももしかしたら面白いものもあるかもしれません。ですがランキング上位は到底望めないでしょう。
ニコニコ生放送のドラクエ10配信で4桁台の視聴者を集めていた配信者は数多くいましたが、誰一人まともなコンテンツを生み出せず消えていったというのも今回のブログランキング問題と似たものを感じます。ネトゲ的と言えばまあそうなんでしょうけど、ゲームそのものよりも周辺の動きを楽しんでいた私のような人間からすると少々寂しいものです。
ジェム山問題
先日のTGSで青白い顔をして腹を押さえながら歩いている青山Pを目撃しましたが、その日の『ドラクエ11s』の舞台では問題発言で炎上中の岡本Pが逃亡。
最近何かと問題ばかりのスクエニですが、ここ数年のスクエニは「ゲーム屋」というよりは「的屋」のように感じます。
的屋は別に悪いものでもありません。祭りには欠かせない存在ですし、実際ゲームショーなどでスクエニのブースがあるとキラキラと輝いてショーを盛り上げてくれています。
ドラクエやFFの絵が描かれた福袋に詰め込まれた夢。中には「炎上」「詐欺」「ゲームっぽいもの」「話題性の高い事件」「ハズレ」などが入っていて、スクエニのゲームで育った昔の子供たちはそれらに一喜一憂するわけです。
しかし今回のドラクエ10の問題はそんな「的屋幻想」の土台を揺るがすものでした。
バージョン4に入ってからのドラクエ10はスマホのツール『DQX冒険者のおでかけ超便利ツール』で出来ることを大幅に追加。以前からあるビンゴや福引きに加え、強ボス討伐やスゴロクもスマホで出来るようになりました。課金してジェムを消費すればそこそこの金策が可能に。忙しい現代人にとっては何ともありがたい話です。
そこで問題が。
スゴロクをツールで遊ぶとサイコロが回るのですが、どうやらその確率が6分の1ではなく、報酬が良い出目は確率が絞られていたようです。
これは最初あまり問題になりませんでした。多くのスクエニゲームのユーザー(いわゆる課金勢)にとって、このような詐欺行為は当たり前だと感じるように長年にわたって調教されてきたわけで、多くのプレイヤーにとっては「一部のアンチが騒いでいる」程度の認識でした。それまで親しみに欠けていた青山Pも「ジェム山」という愛称で呼ばれるようになり、アストルティアは平和に包まれていました。
ところがこの詐欺行為はアップルに見つかり、確率表記を怠ったとして対象年齢を17歳まで引き上げられてしまいました。これは一部の課金要素のあるコンテンツに限定されたものではなく、この『DQX冒険者のおでかけ超便利ツール』自体に年齢制限が設けられたというただならぬ事態に。
この事件は大手ゲームサイトやYahoo!ニュースでも取り上げられました。
ドラクエ10の歴史上最大規模の「やらかし」です。
元々国内限定人気のドラクエ。MMOであるドラクエ10は最近もっぱら新規プレイヤーを取り入れるため古参プレイヤーを置き去りにした企画ばかりを連発。そこで想定されている「新規プレイヤー」の中にはもちろん17歳以下の子供も含まれていたはず。
ところが彼らはツールによる恩恵を受けられなくなってしまいました。
こ…これでは祭りが続けられません!
先日配信されたDQXTVに出演した青山Pが死にそうな声で今回の事件について謝罪していましたが、今後はカジノ全般の課金をやめるそうです。理由は「なんか…カジノで課金は危ない気がする」からだそうです。
世界観をぶち壊す雑なストーリーを作れば熱心なファンに批判され、詐欺を働けば被害者から批判される……本当に同情します。
少し前に的屋のクジはアタリが入ってないんじゃないかと言って検証するユーチューバーがいて様々な議論が巻き起こりましたが、最近のドラクエ10ユーザーの多くにも似たものを感じてしまいます。そもそもドラクエ10に面白さを期待する方がどうかしています。面白いゲームなんて他にいくらでもあるのに敢えてこのゲームを遊ぶというのならば、ドラクエ10のこれまでの歴史全体を鑑みて覚悟をもって祭りに参加するべきです。
明日から始まるバージョン5も思いっきり楽しみましょう!
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