みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

Bloodborne(PS4)

Bloodborne
SCEジャパンスタジオ,フロム・ソフトウェア
2015年3月26日
PlayStation 4

 

『Bloodborne』は所謂「フロムゲー」としては『DARK SOULS II』(2014年)と『DARK SOULS III』(2016年)の間隙を縫うようにして発売された。本作のディレクターは宮崎英高氏が務め、同時期に開発されていた『DARK SOULS II』ではスーパーバイザーとなっている。SCEジャパンスタジオとの共同開発ということで、現在(2022年)までプレイ可能な環境はPlayStation 4のみ。宮崎氏とSCEとのタッグは2018年にPSVR専用ゲーム『Déraciné』でも実現している。
尚、本作は2018年3月にPS Plusのフリープレイとして提供され、今回の感想はフリープレイ版でのもの。

 

宮崎氏によると、本作の世界観は「ゴシックの古い街並みにヴィクトリア時代のモチーフを重ねたもの」(※)で、独特のダークな雰囲気が古い街並みを包み込んでいる。主人公の装備も鎧などではなくロングコートのような庶民的なものが多く、街に自然と溶け込んでいる。それらは「シャーロック・ホームズ」や「切り裂きジャック」など、18世紀のロンドンを覆っていたであろう暗澹たる時代の空気感を想起させる。職人が出稼ぎの工場労働者に取って代わり、他者という存在が「得体の知れない何か」に侵食されていく不安定な時代。

 

診療所のベッドで目を覚ます主人公は異邦人として街を彷徨い、獣化する風土病に侵されたものたちを狩る。「病気」や「医療」は物語の重要なテーマとなっており、本作の舞台となる街では独特の古い医療が行われているという設定。
  タイトルにもある通り、経験値と通貨を兼ねるものに「血の遺志」という名前が付けられていたり、回復アイテムが「輸血液」であったりと、「血」へのこだわりが随所に見られる。防具が布製であることも、敵の返り血が染み込んでいく演出効果を狙ったものだろう。
序盤に装備することになる変形型のノコギリ鉈と水銀弾を発射する獣狩りの銃からも、本作の指向する暴力性が「出血」や「病み」という独自のものであることがわかる。

本作で特筆すべきゲームプレイが左手に装備することができる銃の存在だ。これまでのフロムゲーに見られた盾防御によるターンのコントロールから、常に動き回りながら銃による怯ませ・カウンターを狙う戦闘はこれまでのソウルシリーズにはないスピード感を獲得。

 

とはいえ、基本的なゲームシステムはソウルシリーズを踏襲したものになっている。ストーリーと探索パートは世界観とアクションが完全に一致しており新鮮で深い感触を与えてくれるが、ボス戦に関しては旧来のものとの差別化はそこまで感じられなかった。寄り道・やり込み要素として用意された「聖杯ダンジョン」という自動生成ダンジョンもパターンが少なくて飽きやすい。傑作ではあるものの、聖杯ダンジョンの要素をゲームの主軸に組み込めていたらと思うと実に惜しい。
発売当初から幾度の改善がなされ、ロード時間の短縮や仲間NPCの追加など、初心者にも優しい作りになっている。


※『Bloodborne(ブラッドボーン)』宮崎英高氏インタビュー。剣と盾のバトルは“銃”の採用でどのように進化する?【E3 2014】 電撃オンライン

 

(C)Sony Computer Entertainment Inc. Developed by FromSoftware, Inc.