Life Gallery
751Games
2020年4月3日
Android、iOS
『Life Gallery』は台湾のインディースタジオ「751Games」によるスマホアプリ。
開発者の皆さんは学生だそうで、今作のビジュアルは全て彼らによる50枚以上の手書きの絵画で構成されています。
ストーリー
双生児としてこの世に生を受け、サイクロプスのように目が一つしかない主人公の少年。
Life Galleryは彼の出生から少年時代、そして彼の家族を中心にストーリーが展開していきます。
双生児の治療法を模索する家族はやがてフィッシュヘッド教団というカルト宗教にのめり込み、怪しくグロテスクな儀式に手を染めていくことになります。
ストーリーは4つのパートから成り、一枚絵のパズルを解いていくごとに一行程度の主人公の独白のような形式で語られます。
パズル
パズルは線を指でなぞるだけの単純なものから規則性のある暗号のようなものまで様々ですが、難易度が絶妙で、ほぼストレスを感じることなく進めることが出来ました。
イラストはどれも丁寧に書きこまれており、それによって簡潔な文章が引き立てられていて素晴らしい効果を上げています。
絵の使いまわしがなく、次から次へとインパクトのあるステージがプレイヤーを飽きさせることなく、しっかりとパズルゲームとしての必然性を有していることに並ならぬセンスを感じました。
感想
ホラーゲームが陥りがちな「しつこさ」や「ループ感」、技術や絵を見せたいだけのアーティストが陥りがちな「非ゲーム性」が今作からはまるで感じられず、あくまでもパズルゲームという手法で伝えることを目的に用意された数十枚の手書きの絵画に圧倒されます。非常に贅沢な作り。
彼らの作風は個人的には日本の作家でいうと「西岡兄妹」や「日野日出志」などの、ざっくりと言えば青林堂の漫画雑誌『ガロ』系の漫画家の作風に近いものを感じました。
他の台湾製インディゲーム『返校』『螢幕判官』からも「つげ義春」や「太田螢一」などの、やはりガロ周辺のアングラな作家たちの描く世界観と共通したものを感じるので、これが直接的な影響なのかどうかが気になります。
今作をプレイしてみて、751Gamesという学生アーティスト集団のデビュー作がスマホゲームだという高い戦略性とセンス、インディーという環境を生かした表現にも非常に納得がいくし、恐らくゲーム以外のメディアでは中々手に取ってもらえないタイプの作品を丁寧に作り込むことで広く知らしめたという意味では大成功でしょう。彼らの今後の活躍に注目していきたいと思います。
© 2020 751Games Co,. Ltd.