2012年8月2日にサービス開始
最近また少し遊んでみたりするドラクエ10。
しかし数年前に1年間くらいドハマりしてやばかった時期があって、今回は私の個人的なネトゲ体験を書いてみようと思います。
ネトゲ1年目
私はこの 『ドラゴンクエストX オンライン』が初めてのオンラインゲーム(ネトゲ)だったのですが、サービスが始まってから2年目でリアルの友人も数名遊んでいたのでネトゲの予備知識を得るために『ネトゲ廃人』などの書籍も読んではいたのですが「自分には関係ないだろう」という割と軽い気持ちでスタートしました。
このゲームも今はサービスも6年目で、初期からやってる人の中では「昔はよかった」的な話も聞くのですが、私はけっこう最初から醒めてたっていうか、「ネトゲ」の初体験としてはいろいろと驚くようなこともあり新鮮で楽しかったのですがゲームとしてはなんだかなぁ・・・といった感想でした。
正直、一週間くらいでちょっと飽きてました。
普通に仕事に出かけて飲み屋で呑んで帰ってきたら22時とか23時ですよね。
深夜2時くらいまでやる日もあればやらない日もある。それまでの趣味として遊んでたオフラインのゲームの感覚だとオンラインのゲームって全然進まないようにできてるんですよ。
サービス開始当時はそこまで酷くはなかったのですが、現在では毎週こなさなければ損をするノルマのようなものがあったりスマホのツールを使ってやることが増えたりと、そんなゲームの中の忙しさがピークに達したのが私がこのゲームをやめたサービス3年目あたりだと思います。
その話は後述するとして、とにかく普通のネトゲ以前の生活をキープしたまま楽しむことが難しい。
どんどん他人に抜かされて独りぼっちでも楽しめる方はよいのですが、それではオンラインゲームの意味ないじゃん!!・・・とか思ってしまうんですよね。
連合赤軍の「共産主義化」じゃないけど、本当に自分の全身を「ネトゲ化」していく作業っていうのをゲームを続けていくと無意識にしてるんですよ。
ネトゲにハマっている人のブログやツイッターを見ていると「このゲームでは〇〇はこうあるべき!」みたいな議論だかなんだかよくわからないようなものが多くて、廃人同士で洗脳しあってて同調圧力もすごいんですよ。
普通のゲームではごく少数のコミュニティの中でしか行われないようなことが数千数万人単位で起っているように感じるんです。
私自身もそういう話し合いを人とよくしていたし、何かそこに連帯感のようなものも生まれて外部の人の声なんかが全く耳に入ってこなくなるんですよね。
1年後に自分がそんな状態になることも知らずにゲームを始めて1か月後にはだんだんネトゲに体が慣れてきて1日4~5時間プレイし、ブックマークもドラクエ10関係でいっぱいになりゲームの中に仲の良いフレンドも出来て「ようやく慣れてきた」状態になってきました。
でもその頃にはリアルの友人たちは皆飽きてやめていました。
初の大型アップデート
ドラクエ10を始めて1年が過ぎようとしていました。
もうすっかりコツもつかんで私よりも1年早くから遊んでいるフレンドよりも強くなっていたし、ほとんどのコンテンツも遊び終えてあとはもう終わりの見えないハムスターと呼ばれる刑務作業くらいしかやることがなくなっていました。
ネトゲには何年かに一度「大型アップデート」というものがあり、追加で発売されるディスクを買ってインストールすると新しい世界や遊びが広がるんです。
おなじゲームですからそこまで何かが劇的に変わることはないのですが、前のバージョンを遊びつくして暇を持て余していたプレイヤーにとっては何であろうとすごくわくわくするしモチベーションも上がるみたいですよ。
全身をネトゲ化することに半分くらい成功していた私ですが、元来の飽きっぽい性格のため上記した「暇な時期」にかなり醒めてしまっていました。
追加ディスクにも魅力を感じませんでした。
それまでのストーリーも一個もおもしろくなかったし、みんなでわいわい戦闘するのもマンネリに感じていました。
何よりもこのドラクエ10というゲームはボスと戦うにもゲーム内のお金(ゴールド)を払わなければならないのですが、その金策が非常に鬼門となっていてほとんどのプレイヤーは金欠でカツカツの状態で遊んでいます。
やはり数年単位で遊ぶとなれば他人より強くなりたいと思うのが普通だと思うし、この先もずっと金欠の状態で遊ぶくらいなら未来は暗いですよね。
実際金策に関する批判はサービス開始当初は山ほどありましたし、ネットではそんな貧乏人を煽る「一日中ゲームできる身分の人」たちの罵詈雑言で溢れ、RMTという「リアルの現金でゲーム内通貨を買う」という違反行為に手を出す人も後を絶たず、ここら辺は今でもドラクエ10の闇の部分を担っています。
そんなこんなで「大型アップデートと同時にこのゲームをやめよう」と思いました。
実際そう決めてからドラクエ10をやる時間も減っていきました。
大型アプデの2週間くらい前になって「あ、そうだ。仲の良かったフレンドにやめる前に挨拶しておこう」と思ったのですが、これが失敗でした。
ゲームにしてもSNSにしても、ネット上のコミュニティを抜けるときはよっぽど揺るぎのない強い意志がない限り挨拶なんていらないのです。
必ず引き留められます。
むしろ引き留められたくてたまらないかまってちゃん行為だと取られても仕方のないくらいのNG行為ですよ挨拶なんて。
実際私も「今やめるなんてもったいないよ!」「一緒にチーム作ろうと準備してたからそれだけちょっとやってみようよ!」などと言われ、しばらく考えた後に「そこまで急いでやめなくていいかな」などと思ってしまい、「あんまりインしないかもしれないけど、それでもいいなら」みたいな感じで続けることになりました。
ネトゲ2年目~依存の章
2年目は少しやり方を変えて効率的にやればプレイ時間を短縮出来るのではないかと考えてノートをつけるようにしました。
このバージョン2からは例の日課・週課(毎日・毎週やらなきゃ損)というものが追加されて一般のプレイヤーでもかなり忙しくなっていきました。
しかしそれをすべてこなしても金策にはならないので、お金のないプレイヤーはお金のないまま多忙なノルマをこなしていくことになります。
このゲームの金策は、素材を買って武器や防具を作りバザーに流すというのが一連の作業なのですが、失敗すると大きな赤字になるため進んで乗り込むプレイヤーは多くありません。バザーに出品しても自分の後に出品した人が値下げするので張り付いて1ゴールドでも値下げして売りさばいていかなければなりません。
正直、ゴミみたいなゲームだと思いました。
ですがそれ以上に、なぜこんなゲームをみんな続けるのかという疑問というかイライラ。
普段優しい人がオンラインゲームを1年以上続けていて突然他プレイヤーに対して不満を漏らすようになったらもうそれは病気だと思います。マジで。
私はドラクエ10をやる前にもレースゲームや格闘ゲームのオンライン対戦はやっていたのですが、後にも先にも他プレイヤーに悪意や不満を持っていたのはこの時期だけです。別に何かされたってわけでもないのにです。完全におかしかったです。
私がもし友人からゲーム内のそんな不満を言われたら「もうそのゲームやめなよ」って言うと思います。
でも絶対やめないと思うんです。おかしくなってるから。
「このゲームはゴミ。だからやってる奴らもゴミ。でも自分だけは結果を出せるはず。」・・・たぶんこんな思考だったと思います。
今思い出だすと狂っていますが、周りの人たちのあまりにも代わり映えしないゲームの奴隷のような無駄な行動を目にしてこの思考に至るまで時間はそうかからなかったかと思います。
とにかく全てを効率化するためにノートに細かくスケジュールを書きこんでチームメンバーのイン時間も把握して進める。
それ以外の時間はすべて金策に使う。
朝早く起きて電卓たたいて装備を作成しバザーに出品してから出かける。
帰ってきたらまた電卓、バザー出品して商品が売れるまで日課・週課。
フレンド数人で固定パーティーを組んで毎週決まった曜日・時間にボス戦。
お金がない人の分は私が出すから、そのかわり時間は守ってもらって待ち時間ゼロで効率的にこなしていく。
こんなことを約1年間続けていました。
まだこの頃はニコニコ生放送という配信サイトでドラクエ10を1日中プレイしている配信者が結構いたのですが、その人たちと比べても遜色ないくらい私の金策は順調でした。
当時1日18時間くらいドラクエ10をプレイしているち〇わ3という配信者がいたのですが、彼の全財産が3000万ゴールドだった時に私は2億ゴールドありました。
常に商品を作ってはバザーに流している状態で、私が寝ている時でも出かけている時でも私の経済が絶え間なく流動しているため止め時が全くない状態でしたし、むしろ商品が枯渇することを何よりも恐れていたので完全に中毒でした。
一緒に組むフレンドは効率を考えて自分と同じくらい強い人か自分より少し強い人としか組まないので初期に固定を組んでいたフレンドとは全く交流が途絶えていきました。
みんなチャットとかして楽しかった思い出しかありませんが、私のしていた行為は「使い捨て」以外の何物でもありません。
でも正直この部分だけは今でも自分が正しかったと思っています。
ゲームってそういうもんだし。
もしも人間関係にまで依存していたら今でもこのゲームを続けていたと思いぞっとします。淡白でよかった。
ネトゲ3年目突入~眩暈頭痛吐き気
ドラクエ10を始めて2年が経とうとしていました。
大型アップデートのバージョン3の発売を控えて心が躍っていました。
1年前にはやめると決めていたのに、もうそんな発想すらなくなって「次はどんな商材で稼ごうか」などど思案していました。
そうして迎えた大型アップデートのバージョン3。
ところがなんだか全身がだるい。
最初はちょっと体調が悪いだけかと思っていたのですが、どうやらドラクエ10にインしている時だけ具合が悪くなっているようでした。
自分でも気が付いていましたが、気が付いていないふりをして自分をだましてゲームをしているような状態でした。
そしてこのバージョン3というのが曲者でして。
かつてないほどプレイヤーから酷評されるような出来の悪さだったんです。
この1年全精力を注いでプレイしていた私の熱もどんどん冷めていきました。
3か月後には「もう限界なのかもしれない」と考えるようにまでなっていました。
そのころドラクエ10にはキラークリムゾンというとんでもなく強い強敵がいたのですが、参加するには専用の高価な装備やランダムでしか手に入らないアイテムが必須だったり、長時間付き合ってくれる人を8人集めなくては勝利できないようなハードルの高さに加えて報酬が何もないため挑戦する人がほとんどいない状態でした。
ネトゲというものには終わりがありません。サービスが続く限りゴールがないのです。このままあと10年続くかもしれないし突然終了するかもしれない。
もう、やるしかない。
こいつがボスだ。
こいつを倒したらこのゲームクリアだから、そこでやめる。
なんとかそう自分に言い聞かせることでゲームを終わらせようかと。
「キラクリ倒してキャラデリしようぜ!」とフレンドたちを誘ってみましたが無視されました。スベッたみたいな感じです。
しかしそこであきらめるわけにはいかない。
これまでにこのゲームで自分なりに学んできたノウハウを総動員してやってやろうと思いゲーム外でも呼び掛けて私主導のキラクリ討伐ルームを立ち上げました。
フレンドも2人だけつかまえました。
「ちょっと厳しすぎませんか」と言われながらも何が何でも最初に決めた期間中に終わらせるために地獄のスケジュールをこなし、予定の2週間の半分の1週間後にはクリアしていました。
前に誘ったときには無視されたフレンドたちも応援に駆けつけてくれて、完全に最終回の様相を呈していました。
ルームを解散し、深夜にコンビニへ行って買ったビールを飲みながら「終わった・・・もうこれで終わりだ」
とてつもない高揚感でした。全員が完全に初対面の人たちを1週間でひとつの目標に向けて仕上げていく。トラブルもゼロ。ルーム全体が興奮冷めやらぬ途中で空気をぶった切ってルーム解散して一人で爆笑。
最高・・・ドラクエ10最高!
とりあえず課金が切れるまでやろう。
やめるか続けるかはまだ決めなくていいでしょう!!
それから1週間ほど楽しい時間を過ごしました。
もちろんインするとすこぶる体調が悪くなるのですが気にしない気にしない。
そうしてそれから数日が経って中型のバージョンアップ。
「不思議の魔塔」というコンテンツが実装されました。
これは月課といって、月に一度やらないと損をする作業です。
これがもう、決定的でした。
とにかくおもしろくない。
仲の良いフレンドを集めて行ったのに何にもおもしろくない。
「これをこの先毎月やるのか・・・」
ずっと体調の悪さをごまかしていたストッパーのようなものが外れたのをはっきりと実感できました。
それからはもうインして10~15分が限界でした。
襲い掛かる頭痛とめまいと吐き気。
3日くらいやってみて、もう無理だと完全にわかりました。
体がゲームに向かう思考を拒絶している。
私の意志に賛同してくれて先にドラクエ10をやめていったフレンドにだけ事情を話し、ゲームを続けているフレンド達には何も言わずにやめました。
ゲーム終了。
ネット上のドラクエ10の評価を見てみると「私にとって最高のゲーム!」という意見と、親の仇みたいな辛辣な批判の両極端が目につきます。
普通のゲームだと思います。
おもしろいのもあれば、そうじゃないのだってあるし、長くサービスを続けていればいろんなものがあるのが普通で、別にどっちでもいいじゃないですか。
依存してるときって思考が振り切るんですよ。レッドゾーン。
適度にやればそこそこ面白いゲームだと思いますけど、そういう構造になってないから。やらないと後れを取るからやらざるを得ない。
自分より強い人に嫉妬したり、自分より下手な人を憎んだり。
本当にろくなことがない。
1年以上やめてみて現在はたまに遊んだりするけど、他人のことなんて全く気になりません。
いっかいやめると後れとかも気にならなくなるので、フレンドとか見てても海外出張とかでしばらく遊べなくて戻ってきた人なんかは適度に遊べている感じがします。
自分の意志でやめるのって本当に難しいと思います。
私よりも時間にして2倍以上遊んでる人とかを見ていて安心していたのですが、2年目から3年目までの1年間は完全に依存症だったと思います。
今では良い勉強になったとは思っているのですが、もしも身内に依存していた頃の自分のような状態の人がいてもどうやって対応したらよいのかわかりません。
もしかしたら私が2年ちょっとでやめることができたのは偶然だったのかもしれないし。
私の場合は純粋にゲーム自体に依存していたのですが、ゲーム内の人間関係に依存している場合はさらに厄介な感じだとも思います。
何かに依存している方によく浴びせられる言葉として「意志が弱い」などがありますが、過去の自分自身にそういった心当たりがないわけではないのですが「とにかく普通の状態じゃなかった」ということは言っておきたいです。
上にも書いたように、ゲームの面白さと依存はあんまり関係ないし冷静に見れてないので評価も全くあてになりません。
いろいろ書きましたが、私が実際に当時思っていたことをそのまま書いているだけなので冷静なゲームの評価ではありません。
もしもネトゲ未体験でこれから手を出そうと思っている人がいたら、まわりにちゃんと意見を言ってくれる人を用意することをお勧めします。もちろんゲーム外でです。
私の場合もほとんどまともに聞いてなかったけれど、いつも言ってくれる人がいたから時々冷静になれて助かったんだと思います。
※追記
金策・・・ゲーム内でお金を稼ぐこと。いつものドラクエならば敵を倒して稼ぐのですがドラクエ10では敵を倒しても稼げないのでプレイヤー同士のバザーの流通を使って稼ぐしかない。
ルーム・・・最大で20人のプレイヤーの部屋が作れ、その中でチャットができる。
不思議の魔塔・・・ゲーム内のダンジョン。そこで月に一度手に入るアイテムは必須。実装当時は1周クリアするのに2時間近くかかった。
キラークリムゾン・・・ゲーム内のモンスター。
『ネトゲ廃人』・・・新潮社から2009年に出版された書籍。著者は芦崎治。
私はWiiu版のベータテストから始めたので実際文中にある「2年目」は正確に書くと「10か月後」であったり多少の時系列等の誤差があるかと思います。
主にバージョン2の頃の価値観で書いているので金策等のシステムは現在のドラクエ10とは変わっている場合があります。
ゲームや他プレイヤーに対する気持ちも「おかしかった当時思っていたまま」をなるべく思い出してそのまま書いていますので不快に感じる表現もあるかと思いますがお許しください。