みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

アニメ『ハイスコアガール』の感想

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ハイスコアガール

2018年放映 全12話

 

アニメ版ハイスコアガールを全話見終わった後の感想です。

ちなみに私はネットフリックスで見ました。

 

このアニメ、最初(第一話)は全然面白いと思えなくて(ごめんなさい)ずっと放っておいたのですが、舞台がうちのすぐ近所だと知ってもう一度見たらすごくおもしろかったんですね(今年は何故か川崎が舞台のアニメが多い)。

最初はなんか『団地ともお』のゲーム版みたいな感じだと思って見てしまって、そう考えるとギャグもスベッてるように思えたし時代背景もちゃんとしてない感じがして「懐古厨向け」のように感じられて拒否感が…(誤解でした!)

 

ざっと説明すると、1990年代の川崎市溝口(みぞのくち)を舞台にしたラブコメで、最初は小学生だった登場人物が高校生までになるまでのお話なんですけど、主人公の矢口春雄(ハルオ君)は生粋のゲーマーで、ドラマ内の時代の変化がそのまま90年代のゲーム史にもなってるっていう。

このゲーム史の描き方が本当に良くて、今例えばゲームに興味を持って雑誌や書籍で勉強したとしてもこのアニメに出てくるような当時の子供たちの置かれたゲーム環境や、街のゲームセンターの雰囲気なんかはわかり辛いと思うんですよね。

今のゲームセンターと当時のでは全然ちがうわけで。

60~70年代の学生運動の時代の映画館とか80年代のライブハウスシーンとかって、作品そのものよりも「場」の醸し出していた空気とかが非常に重要だったわけで、それと同じようなことが90年代のゲームセンターでもあったわけです。

ウメハラはゲームセンターで腕を磨いた」みたいな情報を今の若い子が想像する時にこのアニメは非常に役立つ資料にもなっているんですね。

ハルオ君はセガ好きで洋ゲーなんかも分け隔てなくやるのでマニアックな印象ですが、当時の書籍なんかから察するにそこまで珍しい感じでもなかったようです。

モータルコンバットにショックを受けるところは笑ってしまいましたが。

 

あとハルオ君はゲーム雑誌なんかもすごく読み込んでいてドラマ内でゲーム知識を披露することがよくあるのですが、この情報も正確ですごくためになります。

たとえばFPSを説明する時に「このゲームは映画のエイリアンのような作りなんだ」みたいなことを言うのですが、これ実際FPSっていうのはキャメロン監督『エイリアン2』を参考にして発明されたジャンルで。こんなマニアックな情報を何の興味も持ってない女子にサラッと言うところがちょっとアレですけどね。

物語の終盤にハルオ君が言う「俺たち子どもが時代の最先端を体感する手段はゲームしかないんだ!」というセリフにはグッとくるものがありました。

よく考えたら他にもいっぱいあったと思いますけど(私も大人になってからゲーム始めたし)、でもハルオ君が言うと「お…おう」と納得させられてしまいます。

 

ゲーム的な側面だけでもすごく良くできた作品なんですけどラブコメとしても非常におもしろいです。

ハルオ君には大野晶(トップ絵右)という格ゲーのライバルがいるんですけど、この子に対する感情の揺れがとてもよく描かれていて、共通の趣味を持つライバルとしての大野と恋愛対象としての大野がぐちゃぐちゃになってうやむやになったままゲーム大会で対戦したりっていう、笑って泣ける話が多くて素晴らしいです。

もう一人のヒロインである日高小春(トップ絵左)はハルオ君に近づきたくて共通の趣味としてのゲームにハマっていくのですが、そもそもゲームキチガイのハルオ君とは動機の違いの温度差でうまく噛み合わなかったり。

10代のこの感じ。体と心のバランスがあんまり取れてない未熟さは懐かしくて胸が締め付けられます。

 

この作品、実は権利関係で揉めて一時は存在が危ぶまれていました。

ドラマ内にハルオ君のスタンド的な感じでいろんなゲームのキャラたちがゲーム画面から飛び出してきたような姿で登場するのですが、どうやら出版側(スクエニ)がその許可を取っていなかったらしく…。

この頃スクエニは他のゲームでもホームページのイラストを他企業の広告写真からトレースしていたりして問題を起こしていました。

何とか無事に和解して、こうして現在見ることが出来て本当に良かった。

ゲーム好きなら必見の作品だと思います。

 

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