
NG
エクスペリエンス
2020年5月21日
PlayStation 4、Microsoft Windows、PlayStation Vita、Nintendo Switch
本作『NG』は、エクスペリエンス開発によるホラーアドベンチャーゲーム。2018年9月13日にソニーの携帯ゲーム機Vitaで発売され、その後CSに移植された。
『死印』(2017年)とは世界観の共通点が見られるが、海外版ではスピリットハンターというシリーズの第2弾としているので正当な続編と考えてよいだろう。
以下、クリア後の感想。
※ネタバレなし
ストーリー


主人公は名前と見た目のカスタマイズが出来る
舞台は東京の吉祥寺を思わせる「吉走寺」駅周辺。
主人公の鬼島空良(きじまあきら)は母を亡くし、伯母の那津美(なつみ)のもとで暮らしていた。那津美の娘の愛海(あみ)は鬼島を兄と慕っており、鬼島も愛海を妹のようにかわいがっていた。

1999年7月、いつものように自宅のアパートに帰ると「あそぼうよ」と書かれた黒い手紙が。
それをきっかけに鬼島の周りで不気味な出来事が起きはじめ、ある時ついに鬼島のアパートに来ていた愛海が忽然と姿を消してしまうという事態に発展する。

鬼島を怪異へと導く「かくや」という謎の少女。
そして鬼島の右手に突如宿ったブラッドメトリーという、血痕から記憶を読み取る異能力。
記憶の中の愛海が言う「NG」とは一体何を意味するのか?
果たして鬼島は愛海を無事助け出し、NGの謎を解くことができるのか?
キャラクター


前作『死印』と同様に、いくつかの怪異に挑んでいく中で多くの仲間の助けを借りることになる。
暴力団組長の一人息子である親友・天生目聖司(あまのめ せいじ)や、オカルト好きの少女・葉月薫(はづき かおる)は、鬼島と同世代の高校生仲間。
他にも週刊誌記者の番直政(ばん なおまさ)や、女性マジシャンのムーラン・ロゼ、警視庁捜査一課の大江麗奈(おおえ れいな)など、一癖も二癖もある大人たちとも協力していくこととなる。
どのキャラクターも個性的で面白く、前作よりも主人公とのコミュニケーションが多いので感情移入がしやすくなっている。

主人公の鬼島は二枚目のやさぐれキャラだが、仲間思いで義理堅い性格。
仲間との会話では5つの表情からコミュニケーションを取るシステムが採用されている。
怪異

こちらも前作同様、オリジナルの怪異が複数用意されているが、今作では「かくや」「うらしま女」「金時の首太郎」など、昔話からインスパイアされたものが多いのが特徴。
このシリーズの怪異の定義が人間の恨みつらみから生まれたものとなっているので、謎が解明されていくにつれ必然的に凄惨な犯罪と向き合うことになる。
エロ表現は鳴りを潜め、グロ表現に関しても集合体のような生理的嫌悪をもよおすようなものは控えられている。
しかし、ビジュアルが強化されたことにより前作よりも怖さが増しているのは喜ばしい進歩だ。
探索画面でのジャンプスケアも工夫が凝らされ、前作にあった陳腐さを感じさせないものになっていた。ちなみに不意にプレイヤーを驚かせるジャンプスケアは、ゲーム開始時の設定で恐怖頻度を調整することができる。苦手な人用にオフ設定も出来るので安心。
ゲームシステム


基本的には前作を踏襲しており、調査&探索、最後にボス戦という構成。
ボス戦の結果は分岐し、仲間を死なせてしまう事にもなるが、ストーリーはそのまま続き、エンディングの分岐に影響を与える。ここら辺は相変わらずシビアで、トゥルーエンドを目指す人にとって難易度は高めといえるだろう。

今作では調査の合間合間に駅から自分のアパートまで徒歩で帰るパートがあるのだが、これが前作にはない良い効果を生んでいる。
マップの見やすさが向上したこともあり、移動はかなり快適。
そうしたこともあって、自宅までの移動が日常パートのように感じられるのが緊張感のある本編と対比して、ほどよい休息の機能を果たしている。
他にも「Dメール」という謎のメールが送られてきて、その文をヒントにカードを探す収集要素も加わり、全て集めるとおまけの怪異としてストーリーが用意されているのも抜かりない。
飛躍的な深化

『死印』からわずか1年余りで、おなじVitaという土俵で発売された続編として、本作は飛躍的な深化・進化を遂げたといえる。
当時Vita版の出荷本数が30万本を超えていた『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』を意識したのか、UIをポップなものに変更し、主人公も異能力使いの高校生という設定に。
ビジュアルもより精緻に、枚数も大幅に増え、遊びやすさも格段に向上した。
にもかかわらずホラーとしての怖さが増しているというのが凄い。
つなぎとしての日常パートも決して緊張感を損ねることなく、魅力的な登場人物たちを引き立てる。
本編のシナリオは多少強引な所もあり、時間移動や怪異への執拗な物理攻撃は当時ニコニコ動画を中心に人気を博していた『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』を彷彿とさせる。
これだけの新要素がありながら、一本のホラー作品としてしっかりとまとまっているのは驚きである。
感想

前作『死印』も十分楽しめたのだが、ゲームシステムの向上によりシナリオへの解像度や没入感が格段に増し、ホラー作品として一気に数ランク上がった印象を受けた。
難易度は相変わらずだが、攻略を見ながらでも十分シナリオの面白さや怖さは伝わると思うので、ホラーファンなら是非手に取ってみることをおすすめする。
ここまで力の入ったテキストベースのホラー作品は近年では珍しいので、今後も是非末長くホラーファンを楽しませ続けてほしい。
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