みやび通信

好きなゲームを中心に、様々な文化・エンタメについて書いています。たま~に攻略記事あり。Amazon アソシエイト・プログラム参加者です。

死印(Switch)

死印
エクスペリエンス
2018年6月28日
PlayStation Vita、PlayStation 4Nintendo SwitchXbox One

本作『死印』は、エクスペリエンス開発によるホラーアドベンチャーゲーム。これまでRPGを作ってきたエクスペリエンスが新規IPとして立ち上げ、現在(2025年)までにシリーズとして『NG』(2018年)『死噛 〜シビトマギレ〜』(2022年)と、3作品が発売されている。

本作はその記念すべき第一作目となる(Vita版での初出は2017年6月1日)。

以下、クリア後の感想。
※ネタバレ・エログロ画像なし

 

ストーリー

舞台は東京都H市。
そこで広まる不穏な噂。それは怪異に魅入られた人間の身体に謎のあざが刻まれ、そのあざ(印)を持つ人は原因不明の死を遂げてしまうというものだった。
冒頭の場面では二人の女子高生によって噂が語られることから、都市伝説的な拡がりを予感させる。

 

主人公の八敷一男も腕に印が刻まれており、大部分の記憶を失い街を彷徨っていた。しかし、ひとつだけ強く憶えていたことがあった。
それは「九条サヤに会う」ということ。
しかし、八敷が九条サヤの住む九条館に着いた時、九条サヤは無残な姿となっていた。

 

館には人語を話す西洋人形メリイがいて、九条サヤの代わりに八敷の腕にある印を消す手伝いをしてくれることになったのだが、印を消すにはH市で起きている怪異を解明しなければならないという。

 

館には八敷と同じく、身体に印が刻まれた者たちが次々と訪ねてくるので、彼らと力を合わせて怪異の謎に挑もう。

 

本作における怪異の多くは、現実に起きた何かしらの事件の被害者の怨念によって引き起こされているため、そのきっかけとなる事件の背景に踏み込んで行かなければならない。
その多くは実際に起きた事件を参照しているため、元ネタを知っていると気分が悪くなることもあるだろう。ビジュアル的にもエロ・グロ描写が多く、苦手な人は注意が必要。


ゲームシステム

基本的には九条館と事件現場を往復しながら調査・探索していく。
その際、複数いる印を持った仲間(しるしびと)から一人を相棒として選ぶ。

場所の往復には時間経過がないので場面によって自由に切り替えることが可能。特定の人物を連れていないとクリアできないものもあるため、探索途中の相棒のセリフに含まれるヒントを見逃さないようにしよう。


探索はマップを移動しながら行うのだが、全体マップもなく、わかりにくい操作は慣れが必要。
突然現れるジャンプスケア的な怪異の演出もスケールが小さくてわかり辛い。
エピソードは全6話から構成されているが、チュートリアルを兼ねた1話目の出来がそこまで良くないのが残念。2話目以降はストレスがかなり軽減されるので、1話目で合わないと思った人も投げ出さずにがんばって欲しい。

 

探索の合間には「デッドリーチョイス」というパートが挟まれる。デッドリーチョイスではその場に応じた3つの選択肢が提示され、失敗すると魂ゲージが削られ(時間によっても減少)、ゲージが0になるとゲームオーバー。
中には一度間違えただけで即死するものもあり、事前に手に入れた証拠を記憶しておくことが重要となる。
全体的に即死が含まれる選択肢が多く、この手のアドベンチャーゲームにおける本作のリプレイ性は、逆に緊張感を削いでしまっている感もあり微妙。

 

探索で手に入れたアイテムを駆使して進めて行くと怪異とのバトルになる。
バトルでは制限時間がなく、八敷と相棒の行動をアイテム選択から決定する。
これもかなりシビアで、即死あり。
アドベンチャーゲームとして考えると煩わしい要素に感じるが、RPG的な解釈をすればそれなりに楽しめるものになっている。ただ、改善の余地は十分あるだろう。

 

王道のオリジナリティ

本作の怪異は、この手のシナリオメインの作品としては意外と珍しい、純粋な怨みによる霊障がほとんどを占める。元となる事件に対してもそこまで深堀りせず、主人公視点の本筋(印に関するもの)のみにスポットが当てられている。
そこには、科学的な分析も民俗学的な考察も見られない。
流行り神』のようなものを期待すると肩透かしを喰らうが、これまでのシナリオ系にある語りと、3D鬼ごっこ系の緊張感のあるホラー演出が上手く掛け合わされていて独特の感触を持つ作品となっている。
全5話(+1話)から成る個別の創作怪異が主人公の物語に集約されていくシナリオは秀逸で、霊障に苛まれる東京都H市を中心とした閉鎖世界は実に魅力的だ。

 

感想
序盤こそいくつかの不満と不安を抱えたままプレイしていたが、2話3話と続けていくうち、徐々にゲームの世界に引き込まれていった。
一枚絵のエログロ表現には危うい部分もあるので、今後行き過ぎないことを願う。
怪異に特化し、一本の作品として完結しているのでホラー作品としての間口も広い。
Vita以外のバージョンには無料で追加されている第6話も、本編に登場した魅力的なキャラクターたちが勢揃いしていて楽しい。それでいてシナリオも手抜きなくしっかりと面白い。
新規IPとしては上々の出来で、続編にも期待が高まる。

 

 

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