みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

バイオハザード6(PS3)

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バイオハザード6

カプコン

2012年10月2日

PlayStation 4PlayStation 3Xbox 360Xbox OneMicrosoft Window

 

2009年発売の5から3年後に発売されたバイオハザードのナンバリングタイトル。

結論から言うと、クリア出来ませんでした。

去年発売された7を買ってあるのですが、今まで全部やってきたのに6だけ抜かすのはなんだか気持ち悪いと思い購入しました。

 

ネットの評価は大体正しい

ネット上の評価というのはアンチに荒らされていたりハード対立に巻き込まれたりしてまともな評価が埋もれてしまいがちですが、バイオ6に限っては批判は大体正しかったです。全部信じていいかもしれません。こんなことはすごく珍しいですが。

正直私も5の後の酷評の内容の細かさを見て嫌な予感しかしなかったのでスルーしていたわけですが、まさか未クリアで放り出すとは自分でも驚きです。

このゲームは「レオン編」「クリス編」「ジェイク編」「エイダ編」という複数の主人公を別々に操作していくのですが順番は自由でそれぞれのキャラにストーリーが用意されていていながら交差するという面白い作りになっています。

レオン編から順番にやっていったのですが最初は「あれ?結構面白いじゃん!」と思いました。

やたらQTEが多いとは思いましたが個人的にはそれほど気にならなかったんですよね。

レオン編は初期のシチュエーションっぽい雰囲気のマップや演出なんかもあったりしてファンには嬉しい作り。

しかしそんな評価もクリス編の中盤にはひっくり返りました。

 

マジで酔う。無理。

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レオン編から感じていたのですが、自キャラの表示が大きくて視界がすごく悪いんです。クリス編からは狭いマップの中ではしごや階段をやたらと上り下りするんですが、今作は相棒と二人で行動することが多くて狭い通路なんか行くと画面の半分以上が自キャラと相棒で埋まる。

あと、キャラの体を中心に画面が動くのではしごを上ったり匍匐(ほふく)前進する時にキャラを中心に画面が左右にぐわんぐわん揺れる。

しかも今回演出がやたら多くて小さなムービーをたくさん挟んでくるのですが、ムービーの前後でキャラクターの向きやマップが逆向きになっていたりムービーも無駄なQTEを必ずと言っていいほどやらされるのでストレスがハンパないです。

レオン編では許せてたQTEも他のネガティブな要素と組み合わせることによって一気に駄目な要素に化ける。

ムービーが多いのは嬉しいしQTEも我慢できる。たまに画面が揺れるのも耐えれる。

しかしこれらの組み合わせは本当に最悪。

クリス編の序盤は割と広い場所で巨大な敵と戦うので平気でしたが中盤からは狭いマップで酔いがひどくなって20分プレイするごとに休憩を取っていたので全然進まなくなりました。

結局1週間くらいかけてクリス編をクリアしたのですが次のジェイク編はもっと辛い思いをしました。

今回は体術がかなり強くて弾が足りない時や接近戦では役に立ってきたのですがジェイク編は特に使う頻度が高い。

蹴りを繰り出すたびにキャラを中心に画面が揺れます。

嘘でしょ・・・。

本当に気持ち悪くて何度も挫けそうになったけど30回くらい休憩を挟んで何とかクリアしました。

この時点でもう生活に支障が出るくらいきつくてやめたかったのですが、キャラごとにゲーム性が多少変わるのでそれを期待してエイダ編に挑戦。

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まず揺れる船の上から脱出するところから始まるのですが、ご丁寧にもグラグラ揺れる船の上で匍匐前進させられる時に二重に揺れます。

もう限界でした。

なんとか5つくらいあるミッションの内の1つだけクリアしてゲームリタイア。

プレイするたびに気分がものすごく悪くなって10分やっただけでその後3時間くらい気持ち悪さが持続しました。

もうなんか、思い出すだけでも気持ち悪いです。

私はFPSとかも結構やっている方だと思うんですけど酔ったことはないです。

体質的にゲームに合わなかっただけかもしれないけど、たとえ酔わないとしても欠陥だらけだと思います。

今までゲームでリタイアするほど酔ったのは『人喰いの大鷲トリコ』とこれだけです。

トリコの方は原因がフレームレートとカメラにあるのでゲーム自体を批判する気にはあまりならなかったけど(予算の問題もあるかと。でも酷いとは思う)、バイオ6は過剰な演出を入れて自らゲームを台無しにしている。

バイオ6はおそらく三半規管のない人たちが作って沖の船上でテストプレイしたんじゃないかと思います。

もう、そう考えないとあとはプレイヤーに対する悪意だとしか思えない。

 

他もいろいろと酷い

本当はもっと「バイオらしさ」とか「ホラー要素」とかで語りたかったけどクリアできなかったのでストーリーの全容もわからなかったしどうでもよくなりました。

酔わなかったら普通に前作5くらいには面白かったはず。

4を受け入れた時点で今の路線にあまり否定的なことは言いたくないし。

ゲームで一回でも酔ったことある人には動画推奨。

私はもう見る気もしないけどストーリーだけ追いたい方は動画がいいですよ。

あと、スキルシステムとかガジェットとかの新要素もうまく機能してない。

車やジェットスキーなどの乗り物系も酷い。

なんか多少の爽快感とか操作の気持よさとかがあればよかったんですが、ものすごく不自然に障害物が交互ぎゅうぎゅうに配置されていたり、しかもそれが即死ゲーだったりするから「はやく終わってくれ」としか思えませんでした。

ファミコンのゲームでもこんなのクソゲーだと思う。

発売日に買った人のレビューを読むと本当にいたたまれない気持ちになります。

悔しかっただろうな・・・辛かっただろうな・・・。

カプコンはもうこれ以上バイオファンを苦しめないでほしいです。

 

 

このゲームってなんかすごくがんばってるようには思うんです。

でも空回りしてるってレベルじゃないんで良いところが全部隠れてしまっている。

体質的に酔わない人だったらもう少しポジティブな要素を見つけられたり、オンラインプレイも楽しめるかもしれないけど私はそこまでたどり着けませんでした。

バイオハザードは大好きなのでクリア出来なくてとても残念です。

 

 

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ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム(PS4)

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ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム

Deck Nine Games

2018年6月7日(日本語版)

PlayStation 4Xbox OneMicrosoft Windows

 

『Life Is Strange』の3年前、16歳のクロエとレイチェルの友情を描く前日譚。

 

未来は変えられない

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今作に限ってはネタバレも何もあったもんじゃない。私たちは3年後のクロエとレイチェルがどうなっているか知っているのである。

そしてその後のクロエがどうなるかも・・・。

プレイヤーはクロエを操作してゲームを進めるわけだが、すぐに自分が何も変えることが出来ない事に気が付いて無力感を味わうことになる。

前作のように時間を巻き戻す能力もない。

選択肢はいくつも出てくるけど、どういう選択をしようがクロエとレイチェルの仲は深まるばかりだ。

何も変わらない。

前作を知っている俯瞰的な目で見れば、彼女たちは急勾配の坂を転がり落ちていくばかりで私達プレイヤーはかろうじて触れることはできても止めることが出来ない。

これが映画と違うところはこの「かろうじて触れている」という感触。

プレイヤーがいくらクロエの手をつかんで違う未来に導こうとしても彼女はその手を振りほどいて「あの3年後」へ全力疾走するばかりだ。

クロエが母親や義父の手を振り切ったように。

プレイヤーはある瞬間からクロエと手をつなぎながらも彼女をコントロールすることをあきらめるだろう。

 

父の存在と友情

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クロエもレイチェルも高校の同級生たちも、みんな父親という存在に縛られている。

まるで呪いだ。

クロエとレイチェルはアルカディア・ベイという街を捨てることでその呪いが解けると信じている。

自分という存在を全肯定してくれて守ってくれる父親の不在。

そんな父親の秘密や嘘を疑っては思い悩む。

でもそんなクロエが最後の最後にはレイチェルのために大きな嘘をつかなければならない選択を迫られる。

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どちらを選んだにせよクロエは何かを背負い込んで大人になっていく。

自分がレイチェルを守る存在になりたいから。

だがそんな友情が他人の手によってめちゃくちゃに破壊される未来も変えることが出来ない決定事項なのだ。

 

ボーナスエピソード:さよなら

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ここではさらに時間を巻き戻しマックスが引っ越す日の出来事が綴られる。

意外な事実も知れるので是非プレイしてほしい。

マックスはクロエをパンク少女扱いするけど、ユースカルチャーに影響されてネットにもどっぷり浸かっているマックスの偏見にも思える。

クロエは辛い現実に連続で晒されながらもまっすぐ生きようとしていて、それでいて誰にも触れることが出来ないような純粋さがあって見ていて苦しくなる。

今回のストーリーのどうしようもなさはクロエのまっすぐな性格そのもので、前作のマックスには他者の考えを取り入れたり良い意味でも悪い意味でも空気を読む柔軟さがあるので選択肢の幅が広がっていたように思う。

 

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』は前作の成功とクロエというキャラがあってこその独特で類稀なゲームに仕上がっている。

それは重くて弱くて歪な形ではあるが前作のファンが共通して持つ世界観を補完したというその一点だけでも価値のある作品になった。

 

 

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俺と一緒に

砦まで歩いて

海が段ボールで

できてるかどうか確かめよう

血とターペンタインの空気を感じる

こころのなかである種の変化が起こる

君がこの街で見る唯一の存在になりたい

 

本当かどうかわからない

君がそれに値するかどうかわからない

君なのかどうかわからない

俺はこの身を捧げようとする

本当かどうかわからない

だけど復活祭の日には帰ってくるよ

君がこの街で見る唯一の存在になりたいから

 

太陽が君の目にさし

君の船は沈んでいく

一億匹のハエが

俺の考えてることを知っている

血とターペンタインでハイになり

あのサルが後ろから君を襲うのを見つめる

君がこの街で見る唯一の存在になりたい

 

(MazarineStreet-BonesAway)

 

 

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ドラゴンクエストビルダーズでいろいろ作ってみた!

PS4版の『ドラゴンクエストビルダーズ』(以下DQB)でいろいろ作ってみました。

私は建築が苦手なんですけどDQBのかわいらしいブロックを見ているとくだらないアイデアが溢れていろいろ作りたくなっちゃうんですよね。

自分のスクリーンショットを見ながらDQBの魅力も伝えられたらいいなぁと思います!

(制作時は全て2016年です)

 

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なーんにも思いつかないときは取りあえずドット絵で!

・・と思ったら高さが足りませんでした(;´Д`)

このゲームの高さは一番深いところまで掘ったところから31段までのようです。

気をつけましょう!

簡単な絵ならドット絵ツールでドット化出来るので使ってみるのもイイかも。

 

 

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水上のレストランです。

屋根を作るのが難しくて失敗しています。

お店は小物などを並べるのがとても楽しくてテンションが上がりますね~。

 

 

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小さなテラスのあるレストランです。

中に食事を用意しておいたのでお客さんが来店しています。

 

 

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服屋さん・・・ていうかGAPですね、はい。

中には装備品を飾って、外には休憩所も用意しました。

 

 

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なにも思いつかないけれど複雑な建築はめんどくさいからやりたくねぇという気持ちが強すぎて単純なものを敷き詰めて何かアイデアが降ってこないかと待っているところです。

結局何も降りて来やしませんでした。

当時はツイッタースクリーンショットを公開していたので多少のバズりてぇという気持ちがあったのでしょう。

無駄な時間を過ごしました。

 

 

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回転寿司です。

巨大なお寿司の周りに敷かれたレールの上をトロッコで回ります。

 

 

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任天堂バーチャルボーイです。

一番下のスライムはバーチャルボーイドラゴンクエストの戦闘画面ですね。

そんなものは存在しないんですけどね。

 

 

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ゲーム『ライフイズストレンジ』内にある学校です。

このゲームは本当に売れてほしかったんです。海外では人気のあるゲームなんですが日本で売れないと続編の日本語版が出ない可能性があるので。

フォロワーも少し増えてきた時期なので少しでもゲームの宣伝になればと思い作りました。

 

 

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ゲーム内に「超激突マシン」という乗り物があるんですよ。

ストーリーの第3章に出てくるボスの「ようがんまじん」はこのマシンに乗って倒すんですけど、それの教習所です。

DQBではYouTubeニコニコ生放送を使って公式のコンテストが何回か行われていたんですが、これはそのコンテスト用に作りました。

ゲーム内にあるものからアイデアを膨らませるという誰にでもわかりやすいものを目指しました。

今思うとこれを作った後で完全にブロック遊びに飽きました。

 

 

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ガリガリ君が夏の暑さで溶けています。

頭の中にあるアイデアを具現化したときの無感動さに自分自身驚きを隠せませんでした。

 

 

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もはや末期。

第2次世界大戦当時にナチスが色んな所に基地を作っていたんですけど、チャンネル諸島という場所には変な形の基地をいっぱい作っていて、結局使わないで逃げ出してしまったんです。

だから未だにちゃんとした使用目的がわからない建造物が多く残されているんです。

私ももうDQBで何かを作ることに何も意味を見出せなくなってきたのでチャンネル諸島のこういった建造物にわけのわからない共感を感じて作ってしまいました。

 

 

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バッティングセンター。

ただもう「バイク王」の看板を「メダル王」にしたいだけという、ただのダジャレ。

楽しくレストランを作っていた日々が嘘のように心が死んでいます。

 

 

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もはやこれが何かなんて出来れば説明したくありません。

今回のブログには載せていないものもたくさん作りましたが、最終的に私がこのゲームで楽しかったのは無心になってブロックを積み上げたり穴を掘ったり整地することでした。

レストランとか作っている時も楽しかったです。

やっぱり自分が何も気にせずに夢中になれることを探すのがフリーモードを遊ぶ上での正解だと思います。

皆さんも無理なさらずに自由に遊んでほしいですね。

ちなみにこれは駐輪場です。

 

 

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Life is Strange(PS4)

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Life is Strange

DONTNOD

2016年3月3日(日本語版)

PlayStation 4AndroidXbox OnePlayStation 3Xbox 360iOSMicrosoft WindowsMac OSLinux

 

ゲーム『Life is Strange』の感想です。

ネタバレはなるべく無いようにストーリーの詳細(特に後半)には触れていません。

 

日常系アドベンチャーゲームの傑作

『Life is Strange』を開発したのはフランスのDONTNODというところですが、フランスのアドベンチャーゲームといえば『ヘビーレイン』を思い浮かべる方も多いかと思います。

実際DONTNODの開発陣は『ヘビーレイン』の開発にも携わっているので似たような印象を持つのは当然ですね。

2作を比べると操作性やカメラ視点など、だいぶ違うゲーム性で『Life is Strange』の方が昔ながらのアドベンチャーに近く『ヘビーレイン』で採用された細かい段階的な操作やQTEも省かれています。

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『Life is Strange』には「SFアドベンチャー」という肩書が使われていますが、その理由としては主人公のマックスの時間を巻き戻す能力によって過去を改変出来るということがあります。

こう書くと『シュタインズゲート』のような種類の面白さを期待されてしまうかもしれませんが、SF要素は大まかなストーリーの主軸としてはあるのですが、むしろその周りを囲む高校生たちの日常こそが本作の醍醐味と言えるでしょう。

このゲームでは序盤にマックスが見た巨大な竜巻や学校に貼られている失踪者の捜索届など、SF・ミステリ要素でストーリーが展開していくのですが、そういった事件に立ち向かいながら成長する18歳のマックスの心の揺れがとてもよく描かれていたのが10代の若者の支持を多く得ることができたのだと思います。

 

誰でも入りやすい

伊集院光さんの「昔のアドベンチャーゲームの4択を時間を巻き戻すという能力にしただけ」という指摘は正しい。

あとPS4版では時間を巻き戻すボタンがL2ボタンなんですが、これはプレイステーションでDVD・Blu-rayや動画配信の動画を巻き戻すときと同じボタンなんですよ。

これら昔からのゲームプレイヤー(PSユーザー)に馴染みのあるインターフェイスをSFのストーリーに上手くはめ込んでいるので多くのプレイヤーは自然にゲームの世界に入れるんですよね。

 

魔法少女まどか☆マギカ』との類似

2011年放映のテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(以下まど☆マギ)と似ていると言われることがありますが、確かに設定はかなり似ています。

『まど☆マギ』の世界は数日後に「ワルプルギスの夜」という最強の魔女によって街が襲われることが確定している世界で、それによって失われる主人公である鹿目まどかの命を救うためにまどかの友達である暁美ほむらが時間を何度も巻き戻してまどか救出に奔走するというお話。

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しかもこの「ワルプルギスの夜」は普通の人には自然災害にしか見えないというのがマックスの見た巨大な竜巻と一緒ですね。

ここまで似ていると『Life is Strange』は『まど☆マギ』の魔法バトルの要素を抜いてアメリカ・オレゴン州の高校生達の日常に置き換えた作品と言ってよいかと思います。

 

18歳の心の機微

主人公のマックスはアート系の学校に通うために5年ぶりに故郷に帰ってきます。そしてゲームはそれから約1か月後の授業中の風景から始まります。

マックスは非常に内気な性格なのですが新しい学校で自分を変えようとしていたり、全然連絡を取らなかった親友に引け目を感じていたりと、同じ経験がなくてもつい共感してしまうような細かい心の機微が表現されています。

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大人になると気にならなくなるような小さなことでも気にしたり強がったり、人を傷つけるようなジョークでしか気持ちを表現できなかったりだとか、マックスと親友のクロエのやり取りを見ていると痛々しくも懐かしい気持ちになります。

 

個人的にはイギリスのロックバンド『The Smiths』を連想してしまいました。

「はにかみ屋っていうのはいいことさ だけどこれからの人生何か言いたいことがある時 はにかんでると言えない時があるんだ だから何かやってみたいことがあったら もし何か挑戦してみたいことがあったら 僕に聞いてごらん 絶対に「ノー」とは言わないから 駄目だなんて決して言わないから」「だってこれが愛じゃないとしたら これは爆弾だから 僕たちを結び付けてくれる爆弾だから」(The Smiths-Ask)。

 

『Life is Strange』のことを思うとマックスとクロエにThe Smithsモリッシーとジョニーマーを勝手に重ねて泣いてしまいそうになります。

マックスが通う学校の掲示板にあるバンド募集の貼り紙の中にThe SmithsNIRVANAの名前があるので、そのせいです。

少し音楽の話で脱線しますが『Life is Strange』のサントラ(日本未発売)にはMOGWAIPJハーヴェイなども参加していてとても豪華。

ゲームの最初でマックスが教室を出るときに聴いているアシッドフォーク調の曲(syd matters-To All of You)から心を持っていかれます。

音楽が本当に素晴らしいです。

 

ディテールが紡ぐリアリティ

まさかゲームの中でThe Smithsの名前を見つけるのも私にとって驚きでしたが、このゲームは冒頭からダイアンアーバスなどの実在の写真家の名前がたくさん出てきたり、マックスのロッカーの中にアンディウォーホルの写真が飾ってあったりと、アート・サブカル方面の情報が詰め込まれています。

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開発者のインタビューを読むと医療器具などの細かいセットなどにも細心の注意が払われているようで、それらが一体となってこのゲームのリアリティを形成しているのだとわかります。

 

 

前日譚の日本版発売も決定しているこの『Life is Strange』の1作目は本当に傑作で、沢山の人にプレイしてほしいです。

 

 

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ゲンロン8~特集 ゲームの時代(単行本)

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ゲンロン8 ゲームの時代

株式会社ゲンロン

2018年6月7日

 

哲学者の東浩紀氏による批評誌『ゲンロン』のゲーム特集。

 いち早く本書を読みたかったのでゲンロン友の会というものに入って入手しました。

ですのでゲンロン誌自体に馴染みがなく相当に難解な展開を覚悟して読んだのですが杞憂でした。

まず冒頭の共同討議「メディアミックスからパチンコへ」では91年から現在に至る日本のゲーム史を具体的な作品を挙げながら総括していてわかりやすかったです。

ゲームに常に注目していてある程度プレイしている人にとってはあまり新鮮さはないかもしれませんが、実際にプロの批評家の言葉で語られることによって問題点が見えやすくなり頭がすっきりしました。

補遺ではゲームの外側の生身や環境にまで話が飛んでいて面白かったです。

さやわか氏による論考「ボタンの原理とゲームの倫理」ではそこからさらに任天堂が何故switchであのようなコントローラーの形状を採用したか、ボタンによる反応とコミュニケーションの考察等、ゲーマーであるほど逆に見過ごしやすい問題を取り上げていて目から鱗でした。

 

ローカライズ事業に携わっているスペイン人のイバイ・アメストイ氏へのインタビューは、日本にあこがれて日本で仕事をしている人から見た現在の日本のゲームに対する意見がかなりストレートに語られていて耳が痛いですが、この記事こそ日本のゲーム開発者・ユーザーに是非読んでほしいです。

現在の日本のゲームの質が落ちた理由は、ゲーム側がユーザーの質に大きく引っ張られすぎてガラパゴス化してしまったという一面があるかと思います。

ではなぜそうなってしまったのか?という問いに本書はかなり答えてくれます。

 

個人的に加点減点方式のレビューは購買の指針にはなるけれど、そればかりではツマラナイので本書のような批評はもっとたくさん読みたいです。

あとこの本はゲームを全くやったことのない人にも読まれるのが良いですね。

付属の年表に載っているゲームをつまんでいくだけでもかなり刺激になると思います。

昔から「映画や小説に詳しい人のゲームの感想が聞きたい!」と思っていたので本書によってそういった広がりが出来ることにも期待したいです。

 

 

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ドラゴンクエストビルダーズ(PS4)

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ドラゴンクエストビルダーズ

2016年1月28日

スクウェア・エニックス

PlayStation 4Nintendo SwitchPlayStation Vita、 PlayStation 3

 

PS4版『ドラゴンクエストビルダーズ』のプレイ後の感想です。

ネタバレはありません。

 

体験版のインパク

後発のswitch版より前に世界累計110万本というヒットを記録した本作ですが、発売日の約1週間前(1月22日)に配信された体験版は本作の成功を予感させるに足りるものでした。

全4章からなるドラゴンクエストビルダーズ(以下DQB)ですが、体験版では第1章が全部ではないけれどかなりのボリュームで配信されたので、このゲームの感触を正確に伝えることに成功したといえるでしょう。

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発売前はマインクラフトのパクリゲーだと思われていたのにも関わらずに実際に体験版に触れることでネガティブなイメージが払拭され売り上げにも大分貢献したんじゃないかと思います。

それほど素晴らしかった。

マインクラフトのゲーム性自体は敷居が低いもののビジュアル的にあまり日本のプレイヤーの中には馴染めない人も少なくなく、そういった層を掬い上げるという意味では単なるパクリ以上の価値を見出すことが出来ました。

 

ドラクエらしさの復権

そもそもこのゲーム発表時に期待値が低かった要因に昨今のドラクエの派生ゲームの乱発があります。

ドラクエの初期からのファンも40代に差し掛かりお金をかなり使ってくれるという環境に甘えた、ドラクエの皮を被せた質の低い商品が現在進行形でリリースされ続けています。

確かにキャラクターも音楽もドラクエなのですが、それらは単にキャラクターとノスタルジーを消費しながら流行りのゲームの劣化版を量産しているようにしか見えません。

リメイクも手抜きでひどいものばかりですし、ナンバリングも8から粗悪なスキルシステムや錬金などの自由度の低いシステムを固定することによってゲームとしての可能性を根こそぎ間引きして「ドラクエドラクエの枠から出さない」延命措置を取っているだけのような気がしてなりません。

ドラクエらしさとは、プレイヤーのノスタルジーに制作側が胡坐をかいて乗っかっているだけのものです。

「中盤からはぐれメタルでレベル上げするよね~」といったプレイヤーの思い出に乗っかってクソゲーでも中盤にはぐれメタル出しときゃ納得するだろ的な傲慢さを感じるし、もしも新しい試みによってそういった「ドラクエのお約束」が失われるとドラクエではなくなってしまうのではないかというゲームそのものに対する自信のなさも窺えます。

しかもそれがナンバリング作品にも顕著なことが心底残念に思います。

 

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DQBはアクションゲームで戦闘のコマンドはありません。レベル上げすらない。

魔法も使えないし勝手に穴を掘ってどこまでも進めるし車にも乗れる。

しかしレビューを見ていると多くのドラクエファンが「久しぶりにドラクエらしいドラクエ」という評価を下しています。

私もそう思いました。

何故か。

答えは簡単で、このDQBというゲームには堀井雄二氏がかなり大きく関わっているという、ただそれだけです。

かつて堀井さんは「ドラクエとは何か?」という問いに「僕が作ったRPGが結果ドラクエになる」と仰っていました。

この堀井さんの想いとファンとの想いがこの30年間全くブレていなかったことが証明されたということだけでもDQBは稀有な傑作と言えるでしょう。

インタビューなどを読むと堀井さんがかなり関わっているような印象を受けますが、実際は他のスタッフが優秀なのか細かいことは不明ですが「でも確実に遺伝子が残ってる。」(押井守)ということが重要。

DQBではモブキャラとの会話や小さなイベントなどが世界観を形成するうえで非常に重要な要素になりますが、ここら辺は初期ドラクエの根幹に関わる要素であるにも関わらず近年の作品では軽視されていたところです。

あと今作はドラクエⅠを題材にして作られてはいますが、ドラクエⅠを未プレイの人でも十分楽しめる内容になっています。

 

マインクラフトとの違い

最初にも書きましたがビジュアル面での親しみやすさが日本人好みだと思うし、さらによく知っているドラゴンクエストのモンスターやアイテムが出てくることで未知のサンドボックスゲームを遊ぶ敷居を下げることに成功しています。

マインクラフトや他のサンドボックス系のゲームとの差別化としてもう一つ重要なのはストーリーによってプレイヤーを一本道に乗せていること。

サンドボックスゲームに限らず日本人が海外のゲームを避けてしまう理由の多くに「自由すぎて何をしていいのかわからない」というものがありますが、これは国民的ゲームの強みですんなりプレイヤーはレールの上に乗せられてしまいます。

さらに今作のようなジャンルに不可欠な建築の要素ですが、これも堀井さんのアイデアで設計図が用意されていて、ストーリーは遊びたいけど建築が苦手な人への配慮も完璧です。

ドラクエという強みを最大限に生かしながらプレイヤーへの配慮も欠かさないDQBは、もはやドラクエそのものであり「マインクラフトのパクリ」というのは偏見に満ちたレッテルでしかありません。

 

ひとつ、細かいことかもしれませんが、初期のDQBのトロフィー取得の条件としてストーリーのタイムアタックが設定されていました。

これは設計図を作った堀井さんのプレイヤー目線の思想とは真逆の発想であり、このゲーム自体とも非常に相性が悪い。

それと上に書いた体験版ですら今作の魅力がたくさん詰まっていたのに、フリービルドモードではそれらのアイデアが全く生かされていません。それどころかプレイヤーを遊ばせるアイデアが一つもなく放置されているような状態です。

建築が好きな人はどんな環境でも勝手に遊べますが、本作の素晴らしい点の一つである「建築が苦手な人でも遊べる」という工夫がどこにも見られず残念に思いました。

堀井さん自身DQBに関して「2作目は難しい」と言うように、すでに発売が決定している2作目へは期待と不安が半々な状態です。

他のドラクエのナンバリング作品でも堀井さんが関わっていない部分が無料アプリ以下のゴミばかりなこともあり一抹の不安は拭えません。

 

 

以上、辛辣なことも書きましたがこの『ドラゴンクエストビルダーズ』は紛れもない傑作です。

久しくゲームをやっていなくて「ドラクエなら・・」と思っている人にはナンバリングよりもこちらを薦めたいくらいです。

古参のファンなら尚更「ドラクエらしさとは何か」を再確認できます。

今作は新しいドラクエのスタンダードになる可能性も十分秘めていますし、いつものスクエニクオリティのキャラゲーに堕落して消えていくかもしれない。

ただ、ドラクエの歴史的に見て、もっと大きく見れば日本のゲームの歴史的に見ても(海外のゲームの日本的な解釈として)重要な位置に置かれている作品だと思うし、今後の展開がとても楽しみな作品でもあります。

 

 

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Hyper Light Drifter(PS4)

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Hyper Light Drifter

2016年

Heart Machine

PlayStation 4Xbox OneMicrosoft WindowsLinuxMac OS、 Ouya

 

 

今作の主人公は不治の病にかかっていて、治療法を探すためにドリフター(放浪者)となって古い遺跡のある島(忘れられた島)を探索します。

 

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ストーリーには謎が多く、考察するのも楽しそうですが私はまずこのゲームの感触に感動し、入れ込んでしまいました。

宣伝の謳い文句には「懐かしのドット絵」のような表現も使われていますが、実際プレイしてみると懐かしさよりも新しさのほうが大きく感じられます。

 

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懐かしさという表現も当てはまらないこともないのですが、レトロゲームファンを意識しているというよりは表現としてドット絵を採用しているように思えます。

アンビエントなBGMとも相まって非常に幻想的な感触を視覚・操作と共に体感することが出来ます。

 

 

ゼルダの伝説がもたらしたもう一つの未来

私がゲームに興味を持った一つの理由に、技術の進化とともに新しい発想が生まれるんじゃないかというワクワクがありました。

ゲームを作るコンピューターの進化にクリエイターが常に新しい発想を提示していくことによって予測のつかない遊びや表現が生まれるんじゃないかという期待。

 

しかしゲームの歴史も長いので、長く続いているシリーズ作品というのはこういった技術の進化によって作品の根本的な良さやファンに愛されている要素を失っていくというリスクをはらんでいます。

2017年に発売されたゼルダの新作『ブレスオブザワイルド』ではそれまでのシリーズの定石を覆すような仕様にオープンワールドという大胆な変化にもかかわらず往年のファンを納得させるという偉業を成し遂げてしまいました。

しかもこれが一回目じゃなくて64時代の『時のオカリナ』でも成功させているわけですから凄いシリーズなんですよね。

これはゼルダの伝説というゲームが、どんな時代においてもプレイヤーが発見したりキャラクターを動かす喜びというゲームで得られる根源的な快楽を最新の技術を使いながらも丁寧に紡いできたからに他ならないのだと思います。

 

『Hyper Light Drifter』はインディーゲームなんですが、インディーゲームというのはある程度技術の進化から距離を置いた場所に存在していることが許されているんですよね。

玉石混交な世界ではありますが、今作は長い時間と予算をかけて制作されていることもありゲームとしては一級品。

ゲーム性はもう完全にゼルダを意識して作られているのですが、おそらくドット絵にこだわっていることも含めてファミコンゼルダ1作目やスーパーファミコン神々のトライフォース』を強く意識して作られているのでしょう。

しかし今作はただのゼルダオマージュに留まらずに独自の進化を遂げています。

ファミコンスーパーファミコンの時代ではたどり着けなかったドット絵の新しい表現・進化に加えて操作のスピード感やマップ移動のストレスからの解放など。

それによって何が起こったかというと、私自身このゲームをしばらくプレイしていて自分自身の感覚を疑ったほどですが、『ブレスオブザワイルド』をプレイしているような錯覚に陥ってしまいました。

 

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たくさんの遺跡を巡り謎を解いて世界を放浪する。

その発見の喜びや、感じられる広さなどは間違いなく『ブレスオブザワイルド』で得た感動と一緒でした。

 

時のオカリナ』とも、携帯機で出た初期作に近い作りのゼルダとも全く違う感触。

『ブレスオブザワイルド』としか例えようがないのです。

ドット絵のゼルダを独自に進化させて『ブレスオブザワイルド』に近いものが出来てしまうとは・・・。

いかにゼルダの初期設計が完璧だったかということも思い知らされましたし、それらを完全に理解して今作を作った制作者にも脱帽です。

 

『ブレスオブザワイルド』云々というのは私の個人的な感想・感動ですが、今作『Hyper Light Drifter』は決して古臭くなく、新しい体験をプレイヤーにもたらしてくれる傑作であることには間違いありません。

是非プレイしてみて下さい!!!

 

 

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