ここでは、現在Nintendo SwitchのG-MODEアーカイブスからVol.17「御堂丸邸事件」までが配信されている「探偵・癸生川凌介事件譚」を、数回に分けてレビューしていく(ネタバレなし)。
探偵・癸生川凌介事件譚は、最近では『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』(2023年)のヒットが記憶に新しい石山貴也氏がガラケー時代に手掛けていたシリーズ作品。
本作は主人公である「生王正生(いくるみ まさお)」が、癸生川探偵事務所との関わりの中で体験してきた様々な事件をゲーム化したもの、という設定になっている。
主な登場人物
尾場九歳
音成孝一
矢口床子
瀬堂小次郎丸
白鷺洲涼二
vol.01 仮面幻想殺人事件
2002年7月1日に携帯用アプリとして配信された探偵・癸生川凌介事件譚シリーズの記念すべき第一作目。
2005年にニンテンドーDSで発売された『探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻影殺人事件』とタイトルが似ているが、別物。
プレイヤーはゲームシナリオライターの生王正生を操作し、癸生川探偵事務所の癸生川凌介(きぶかわ りょうすけ)と、その助手である白鷺洲伊綱(さぎしま いづな)と共に事件に挑む。
とはいえ、癸生川は変わりものなのでほとんど同行することはない。
生王は主に巻き込まれる、というか押し付けられる形で事件と関わっていく。
今回は「タクリマクス」というオンラインゲーム(MMO)に関係する人間が謎の死を遂げた事件を、助手の白鷺州と共に捜査していく。
謎解きにオンラインゲーム特有の「ログイン状態」や「ユーザーネーム」を利用したトリックが使われているのが面白い。本作が配信された2002年に比べると、現在の方がインターネットが身近な存在になっているため、オンラインゲームの知識がなくてもおおよそは理解できるだろう。
オンラインゲームにおける仮面(アバター)と、現実世界の人々の仮面(ペルソナ)になぞらえたサスペンスが展開され、息を呑む。
今後も世話になりそうな鞠浜警察署のオバキューこと尾場九歳(おば こことし)、何を考えているのかよくわからない若い刑事・音成孝一(おとなり こういち)が登場。
捜査対象となるゲーム関係者はやたらと変人が多く、作者の実体験が生かされているのではないかと勘繰ってしまう。
終盤で白鷺州が「わたし、わかっちゃいました」的な事を言い、推理をガンガン進めていくのは焦った。結局最後は癸生川に全ての手柄を持っていかれるわけだが…
主人公が単なる使いっ走りなのが寂しいが、独特ではある。
G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
vol.02 海楼館殺人事件
前作の題材は探偵ものとしてはかなり異色のものだったが、今回は名探偵コナンや金田一少年などでよく見る定番のクローズド・サークルものとなっている。
音成刑事の代わりとして、海楼館という海上に浮かぶ謎の建物で行われるイベントに参加することになった生王と白鷺州。海楼館の主は多摩ヶ原斎樹という、ほとんど人前に姿を現したことがない謎の人物。
海楼館に着いたものの、一向に姿を現さない多摩ヶ原。
多摩ヶ原の部屋を訊ねてみると、そこには身元不明の老人男性の死体が。
海上の建造物に閉じ込められ、外との連絡も取れない状態で次々に起きる殺人事件。
3階建ての海楼館を移動しながら調査し、その構造に仕組まれたトリックに挑む。
この事件のために作られたかのような変わった構造の建物の謎、そして集められた人々の共通点とは?
白鷺州と同室の矢口床子(知床ちゃん)は次作にも登場するジャーナリストで、今作が初出演。
今回もまた白鷺州の推理で犯人を特定し、癸生川が美味しいところを持ってくパターン。
癸生川の登場シーンが毎回大げさで面白い。
G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2「海楼館殺人事件」 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
vol.03 死者の楽園

テーマパーク「シャングリラ」に送り付けられた脅迫状を巡るサスペンス。
クセのある登場人物と共に前作で白鷺州と仲良くなった矢口床子が再登場。
今作も前作同様、かなりオーソドックスな内容。テーマパークの中を行ったり来たりしながら、ひたすら聞き込みをして事件を解明していく。人もそこそこ死ぬし、ジェットコースター関連の謎もある。
本当に、1作目の個性はどこへ行ったのかと思わずにはいられないほど平凡な内容。
ただ、話自体は面白いので、ガラケーで暇つぶしに遊ぶには十分なクオリティではある。
実際、この次の作品ではガラっと趣きが変わるので、各キャラの特徴を十分に把握させる役割を果たしているのがvol.02~03なのかもしれない。
今回の癸生川も、事件をこちらに丸投げしておいて、後半では園内をうろうろして不審者扱いされている。3作目にして全く謎の人物像から変化がないのが面白い。
事件解決までの手順はやはり白鷺州の推理ショーから癸生川の強引な後付けで終わるという、もはや様式美と化したものになっている。要所要所で白鷺州の質問に答えた結果が、クリア後にABCで評価されるようになった。
G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.3「死者の楽園」 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
vol.04 白鷺に紅の羽

今回は白鷺州伊綱が探偵になる前の出来事が語られるため、生王の登場はない。
白鷺州と矢口が白鷺州の故郷である百白(ももしろ)村を訪ね、回想するところから物語は始まる。
主人公となる女性は、百白村へ着くなり何らかの理由で頭を強く打ち付け病院のベッドの上で目を覚ます。どうやら記憶喪失になってしまったようで、仮の名前「楓」として自分が何者で、どのような理由でこの村へ来たのかを探ろうとするが、そこで様々な事件に巻き込まれてしまう。
親身になって楓の手助けをしてくれる女子学生「大鳳院(たいほういん)伊綱」。その姿から現在の白鷺洲伊綱の若い頃かと思われるが、どうやら楓の容姿もこの大鳳院伊綱にそっくりだという。
かなり終盤になるまで、楓こそが現在の白鷺州伊綱の過去の姿なのではないかという疑念を捨てきれなかった。
ゲームとしては、村を探索しながら、村で起きた事件と楓とのつながりを解き明かしていくという流れになっている。
これまでの3作品で大活躍した白鷺州の過去エピソードはとても興味深く、ストーリーも凝っていて面白い。
主人公の姿が見えないという設定を上手く利用してプレイヤーを混乱させる手法はパラノマサイトに通じるものがある。
G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.4「白鷺に紅の羽」 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
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