みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

俺の有休恋物語(Switch)

俺の有休恋物語
qureate
2023年5月18日
Nintendo Switch、Steam

 

本作『俺の有休恋物語』は、qureateによるCEROレーティングマークのD区分(17才以上対象)の恋愛アドベンチャーゲーム
qureateは株式会社アートアンフから美少女ゲームブランドとして独立し2018年に創業、2021年に設立。
代表取締役は元ディースリー・パブリッシャーのゲームプロデューサーでもあった臼田裕次郎氏。
主にNintendo SwitchとSteamで作品を発表していて、ここ4年で14作品をSwitchで配信。際どいエロ表現を売りとしていますが、去年Switchで配信予定だった『マッサージフリークス』が発売前に配信延期になったのは記憶に新しい。代表作はタワーディフェンス系の『デュエルプリンセス』(2022年)や脱出系ホラーの『廃深』など。
個人的には去年配信された『ノゾムキミノミライ』をプレイ済み。

 

『ノゾムキミノミライ』(2022年5月19日配信)

『ノゾムキミノミライ』は就職氷河期世代の女子大生「臼井咲千(うすいさち)」の部屋に住み着く座敷童となり、彼女をより良い未来に導くという『ROOMMANIA#203』(2000年)にギャルゲー要素を掛け合わせたような異色作でした。操作性など諸々上手くいっていなくて全然面白くはなかったんですけど、ゲームシステム自体にはかなりそそられるものがありました。
臼田氏のこれまでのプロデュース作品を見てみると、料理とパズルを掛け合わせた『THE 熱血!炎のラーメン屋』(2014年)とか、とにかく何かと何かを掛け合わせることに異常なこだわりを感じます。
何というか、信頼はあるけどハードルも低い。臼田氏のようなクリエイターこそ常人には発想できない奇ゲー珍ゲー、あるいは大傑作を生みだすのではないかというクソゲーファンタジーが特定のゲーマーの中にはあるような気がします。かくいう私も『ノゾムキミノミライ』のプロモーションを見ただけで胸が躍り速攻で予約購入。本作『俺の有休恋物語』のギャルゲー×ぼくなつという合わせ技も、若干想像できはするものの、それでも何かが起こりそうな予感がして迷わず予約購入してしまいました。

 

本作は、仕事に疲れ果てた主人公が昔住んでいた田舎で2週間の有休を過ごすという話なのですが、別に主人公の実家があるわけでもなく、前方から偶然揃って歩いてきた幼馴染の3人の美少女の家に転がり込むことになります。少女たちの両親は既に亡くなっていたので、4人だけの束の間の共同生活を送ることに。

 

3人の少女にはそれぞれ好感度のパラメーターがあり、「釣り」「畑仕事」「ゲーム」をすることで個別に上げていくことができます。主人公はこのど田舎に現金500円しか持ってこなかったので、釣った魚や畑で取れた野菜、道に落ちている昆虫を駄菓子屋で売って金策。お金の使い道は主に「釣りの餌」や「野菜の種」といった消費アイテムとゲーム代、あとはqureateのキャラクターがデザインされたコレクション性の高いメンコ。メンコは一枚でも持っていれば駄菓子屋のゲームコーナーで本作中の登場人物たちと対戦可能。メンコバトルのテンポの悪さは若干ぼくなつっぽさを感じさせてくれます。

 

駄菓子屋にはメンコ以外にも「モグラたたき」や「スーパーボールすくい」などいくつかのミニゲームが用意されていますが、これが結構良く出来ていて面白い。ついついゲームばかりに夢中になってゲーム好きヒロイン「響」の好感度だけが爆上がりしてしまいました。

 

好感度が上がるとイベントが発生。このイベントを期限内に達成していくことがトゥルーエンドの条件となっています。9日目に分岐が発生するので、それまでに全員分のイベントを見てセーブしておくと楽に全てのエンディングを見ることができます。

 

ぼくなつ要素よりもギャルゲー要素が強めで、登場人物も少なく、寄り道する意味があまりないので攻略自体は割と簡単。ストーリーも特に猟奇事件に巻き込まれたりループしたりロボットに乗るということもなく、淡々とした日常描写に終始。ゲーム開始当初こそヒロインたちのお色気演出に気を取られますが、ある程度慣れてくると釣りやアイテム拾いなどのゲームプレイが中心となっていく。とはいえ、基本的にはヒロインのイベントを回収していくだけで、主人公の成長要素がないので、二つのゲームジャンルが乖離することによる若干の気持ち悪さは拭えず。

 

エロ要素は主にドラゴンボール亀仙人そっくりのタヌキが担っており、特に大したエピソードも用意されていないので後半は空気。タヌキを喜ばせるための女性下着が道端やカフェの中に落ちているのは不自然すぎて面白いけど、ネタとしては出オチ感が強いので、やっぱり後半空気。
ただ、こうしたギミックに飽きる前に有休が終わってしまうので、ゲームとしては最後まで十分楽しめました。エロ表現はハプニング的なイベントの一部でしかなく、良くも悪くも印象の薄いヒロインたちとのひと夏の青春を楽しむことを目的としたゲーム。『ノゾムキミノミライ』と同様、プロモーションの時点で全て出し切っている感のある作品ではありますが、ゲームとして最後まで楽しませようという配慮がなされているのは好印象。

あと、亜舞音エンドのウエディングドレスのデザインには笑わせてもらいました。

 

 

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