みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

殺しの館(PS4)

殺しの館
Puppet Combo
2022年4月1日
PlayStation 4Xbox OneMicrosoft WindowsNintendo Switch

 

本作『殺しの館』はアメリカを拠点とするPuppet Combo開発によるインディゲーム。Puppet Comboのゲームは基本的にBenedetto "Ben" Cocuzzaという人物がたった一人で作っているらしい。Benのキャリアは2012年に始まり、バイオハザードサイレントヒルのようなPS1~2時代のホラーゲームと80年代の低予算ホラービデオにインスパイアされた作風を得意とする。多作。


また本作はSwitchから発売されるも、直ぐに発売中止→再発売という経緯を辿ったことでも話題となった。

以下、クリア後の感想。

※事件の犯人に関するネタバレなし

 

ゲーム概要

タイトル画面を見てわかるように、この作者のホラーというジャンルに対するこだわりは相当だ。低予算ホラービデオの特徴として、ポスターやパッケージに書かれているイラストと中身が一致しないことはままあるが、本作もまた例外ではない。

 

ゲームでは85年と88年という2つの年代に起きた事件を体験することになる。

ちなみにこれは「レンタルビデオ」という画質を選んだ時の画像。保存状態の悪すぎるVHS風の映像でゲームを楽しむことができるが、流石に文字が読めないと物語の全容を把握できないので早々に元の画質に戻すこととなった。

 

エリア移動の際のロードでは、初期のバイオハザードでおなじみのドア演出が採用されている。

 

視点は見下ろし型とFPSの2つから選べるが、演出的にも攻略的にも見下ろし型が推奨されているようだ。しかし、見下ろし型は初代バイオハザードのようなラジコン操作を採用しているため非常に扱いづらい。本作は基本的には追いかけてくる敵から隠れたり逃げ回る鬼ごっこ的なゲームプレイが主軸となっているが、操作の難しさが恐怖、というか焦りを加速させる効果を促している。ホラーゲームの演出としては正しいが、プレイする個々のスキルによってはイライラする感情のほうが勝ってしまうため評価の別れるところだろう。

1985年 プロローグ

1985年のショッピングモールを舞台とするプロローグでは、ジャスティンという少年を操作し、襲い掛かってくるイースターバニーから逃げ切ることを目的とする。

イースターバニーはキリスト教における復活祭において、イースターエッグを運んでくるウサギを指す。そのウサギの着ぐるみを着た者が何故ジャスティンを執拗に追いかけてくるのかは不明。壁には行方不明となった少年少女の写真が大量に貼られている。

 

1988年 殺しの館

処刑された連続殺人犯アンソニー・スミスの住んでいた家は、現在では幽霊屋敷として有名になっていた。このパートでは、そこへ取材に来たテレビクルーの音声担当であるエマを操作することになる。

 

ここでまたもイースターバニー登場。館は施錠され、閉鎖された空間の中で次々と殺害される仲間たち。うまく逃げ隠れながら鍵を探して脱出を試みるエマ。

プロローグのジャスティンとは違い、このパートでは武器を使って反撃することができるが、相手に致命傷を与えるには至らず、あくまでも時間稼ぎでしかない。

ここではプロローグよりも尺が伸びているため、セーブ機能が追加されている。尚、セーブするにはアイテム「えんぴつ」が必要。

 

館から脱出する唯一のルートを開くためには、イースターバニーが隠した4つのイースターエッグをバスケットに収めなければならない。

 

イースターエッグによって開かれた地下通路を抜けると、そこは植物用の温室。正体を現したイースターバニーとの最終対決。温室に入ってすぐの場所にあるショットガンを入手しなければ倒せない。敵が武器を振り下ろした後、隙が出来るので一撃喰らわせてからまた逃げるの繰り返し。FPS視点だと逃げている時に敵の動きが確認できないため厳しい戦いになるだろう。ここまでに、ある程度ラジコン操作に慣れておくと攻略しやすい。

 

エピローグと感想

イースターバニー撃破後にエピローグとしてもうひと展開用意されているのは意外性があって良かった。ゴア表現の連続と操作性の悪さからくるストレス空間から無事脱出できたことをゲーム内で実感させる演出が施されているとは気が利いている。こうやって油断させてから最後の最後にはホラー映画オマージュで物語を締めることも忘れない。

プレイ時間は全体を通して約2~3時間と映画サイズに収められてはいるが、複数の展開と緊張感により満足感は高い。

正直言うと、この手の疲れるゲームを積極的に好んでやろうとは思わないが、本作『殺しの館』は、そういった諸々のネガティブ要素を演出としてうまく取り入れることに成功している。本作は、ローファイホラーゲームというジャンルに大きく貢献した作品として、今後語られていくことになるだろう。

ホラーというジャンルを好む人間を絶対に裏切らない傑作。

 

 

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