みやび通信

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LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶(PS4)

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LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶
SEGA
2021年9月24日
PlayStation5,PlayStation4,Xbox One,Xbox Series X|S

 

『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』は2018年に発売された木村拓哉主演のゲーム『JUDGE EYES:死神の遺言』の続編。

開発は「龍が如くスタジオ」。本作の発売から約2週間後の2021年10月8日に総合監督の名越稔洋氏とゼネラルプロデューサーの佐藤大輔氏がSEGAを退社。

本作は龍が如くシリーズの顔であった名越稔洋氏にとってSEGA時代最後の作品となります。

以下、クリア後の感想です(追加DLC「探偵ライフ充実パック」含む)。

※ネタバレなし

 

ストーリー

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前作では「認知症の治療薬」という社会問題を扱っていましたが、今作でも「いじめ」という社会的なテーマを軸にメインストーリーが展開される。

推理ものを軸としながらもセンシティブな問題に切り込んでいくスタイルはテレビドラマ『相棒』を想起させます()。

主人公の八神が依頼された「いじめ」問題、源田法律事務所の城崎さおりが弁護を担当する現役警察官の「痴漢」、そして横浜の廃ビルで発見された「身元不明の焼死体」。これら3つの異なる事件の点と点を結んでいくことで真相へと迫る展開は非常にスリリングで、プレイヤーの予想を良い意味で裏切ってくれます。

しかし、そうした大きな事件に立ち向かって行く八神の行動原理には大きな不満があります。

物語が中盤に差し掛かるあたりで八神の調査に協力していた学校関係者が殺されてしまうのですが、その事と八神の過去の苦い思い出が結びつき「なぜあの人は殺されなければならなかったのか」という激しい怒りに八神は固執していきます。それはもう、ゲーム内のキャラクターに「またその話かよ!」と突っ込まれるほどにです。

龍が如く7 光と闇の行方』でも主人公の春日が父と慕う人物を殺されて暴走するくだりがありましたが、ちゃんとヤクザにぶん殴られて目を覚まします。

本作での八神は中盤からもう二度とプレイヤーのもとには帰って来ず、こちらはただただ八神の暴走する正義を眺めることしかできません。

しかもその学校関係者を殺した犯人が半グレだったということで、最終的には「八神軍団VS半グレ集団」という、過去の龍が如くパターンに収束してしまっているのが残念。

特に「いじめ」に関しては最初から最後まで軽薄といっていいほどの予定調和で、学校内で発生するサブストーリーのほうが本質を突いていたりするので余計に粗が目立つ。

罪のない人間を守れなかったという八神の怒りと「いじめ被害者の復讐」という問題がストーリーを進めていくにつれ激しくぶつかるのですが、そこではいじめ問題に対する八神の考えも、一人の人間であることと同時に弁護士であることの間に生じる逡巡もぼんやりとしか見られません。怒りの感情で突き進む八神の行動は、ストーリーの過程で立ち上げてきた様々な問題を無理矢理地均ししている印象が強く、実際にストーリーの終盤ではいじめ加害者生徒の扱いが学園青春ドラマ並に軽いものになっています。

これがもし主役が八神ではなく桐生一馬で、学校関係者の殺害ではなく澤村遥の誘拐であったならプレイヤーは感情移入できたであろうし、ゲームのストーリーとしては十分成立していたでしょう。

しかし、元ヤクザで仁義の為なら法を犯すことを厭わない覚悟を持った桐生一馬と八神ではあまりにも本質が違いすぎます。

桐生の愚直な性格と「巻き込まれ型」のストーリー展開、そして反社会的なヤクザの世界を舞台として繰り広げられるフィクションはある種のファンタジー性を伴い、直線的な主人公の行動原理はゲームのレールプレイを余儀なくされるプレイヤーとの共感度が高いものでした。

一方の八神は弁護士資格を持つ探偵であり、法を遵守し、丹念に証拠を積み重ねることで真実に辿り着きます。そうした演出が随所に盛り込まれながらも長い物語の半分を怒りの感情に囚われながら突き進むというのは、このゲームの主人公としてはあまりに内向的で、そのナイーブさ故に直線的な行動力がかえって短絡的に見えてしまうし、さまざまなテーマを扱っているにもかかわらず問題の本質を置き去りにしてしまっています。

キャンセルカルチャーなどの、本作で本当に伝えたかったであろうタイムリーなテーマ選びは良いし、物語を進めていく上での推理ロジックも面白い。だからこそ、細かい描写の稚拙さや主人公の行動原理が焦点をぼやかしてしまっているのが本当に残念。

 

※『相棒season19』の第10話「オマエニツミハ」では、「いじめ」「復讐代行」など本作と共通するテーマを扱っている。『相棒season13』の第2話「14歳」は、「いじめ」を入り口としながら政治的な問題へと切り込んでいる。

 

サブクエス

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学園内で噂されている、ある事件を解決するためには約10種類の部活動に参加して証拠を集める必要があります。この「ユースドラマ」と呼ばれるサブクエストのほとんどに個別のミニゲームが用意されており、その内のいくつかにはレベル上げやカスタマイズ要素があり、とにかく作り込みが異常。

 

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ユースドラマは全体的に質が高く、難易度変更によってある程度融通が利くのが良い。シナリオは喜劇でありながらも各キャラクターの個性がしっかりと出ていて、新マップ「横浜異人町」の背景を立体的に浮かび上がらせるオープンワールド的な要素としても機能しています。八神が高校生たちと触れ合うことで、現代的な問題を楽しく、時にシリアスに伝えるストーリーが素晴らしい。

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木村拓哉を操作してコスプレ姿で動きまわるのは単純に楽しく、ベタなギャグも絶妙にマッチしていて笑えます。暴走族やボクシングジムの会長など、本作のみの出演ではもったいないほどの個性的なキャラクター達は一見の価値あり。

学園以外にも神室町エリア含め多くのサブクエストや、前作にもあった「ドローンレース」や「VRすごろく」、新ゲーム「エアセリオス」他、賭場やゲームセンターなどの施設も充実。

 

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八神探偵事務所にあるSEGAの「マスターシステム」では懐かしのゲームで遊ぶことが出来ます。ROMの入手方法は景品だったり道に落ちていたりと様々で、ゲームを満遍なく遊んでいくことで新しい遊びが次々と増えていくので止め時が見つからない。

 

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追加DLC「探偵ライフ充実パック」に入っている「ガールフレンドストーリー」では3人の女の子と付き合えるだけでなく、そこに付随したストーリーでは前作のサブクエストをプレイした人にはお馴染みのキャラクターが数多く登場し、分厚くて濃い内容となっているので買って損はないと思います。

これらの尋常ではないサブクエストの量と高いクオリティの前では本編が霞んでしまう。それほどまでに面白く、満足感のあるものでした。

ただ一つ不満点を挙げるとすれば、全ての要素を遊んでもらう為に「遊ばなくてもよい」という選択肢が削られてしまっているということ。

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特に「ユースドラマ」は軸となるストーリーを引っ張りながら全ての部活動をクリアすることでエンディングへと到達できるわけですが、部活動の中には格闘ゲームやロボット操作など、普段ゲームをあまりやらない人には難易度が高く感じるものが多く含まれ、回避するルートがない。

これまでのシリーズであれば、ポケサーを極めたい人や、より歯ごたえのある戦闘を楽しみたい人へ向けて専用のサブクエストと、モチベーションを高めてくれるオマケ的なストーリーがセットとなっていましたが、本作の「ユースドラマ」では「ミステリー研究会」のストーリーの続きが見たいのに苦手なミニゲームを我慢してやらなければならない状況が発生しやすく、「せっかく作ったんだから全部遊んでほしい」という開発者側の意図を押しつけがましく感じてしまう人もいるでしょう。

『北斗が如く』で、リンという女の子と仲良くなるためだけにバッティングや闘技場をたらいまわしにされた記憶が蘇りました。

 

探偵シミュレーション要素

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前作では浮気調査やピッキングなど、サブクエスト含め地味な依頼が多く、それらが普段の探偵業の陰の部分を際立たせることでメインストーリーが光るというのが素晴らしいと個人的には思っていたのですが、どうやら多くのユーザーからは「地味すぎる」と不評だったようで大幅に変更されていました。

一緒にお散歩できる「探偵犬」やSNSによる情報収集が加わりましたが、前作と同様に探偵業の地道な捜査という本質は残しつつ能動性を増しているので良い変更であったと思います。

 

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他にも、乗り物としてスケボーが加ることで広い異人町を気持ちよく移動できるようになりました。都会では基本的に公道を走ることは禁止されているスケボーですが、あくまでゲームであることと、『名探偵コナン』で一般的となった「探偵=スケボー」というイメージを大胆に取り入れた素晴らしいアイデア

 

感想

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名越さんのSEGA最後の作品ということで、気合入りまくりの特大ボリューム!総プレイ時間は100時間にも及びました。まさにこれまでの龍が如くシリーズでやってきたことの全てを注ぎ込んだという感じで、集大成と呼ぶにふさわしい内容。はりきりすぎて『北斗が如く』要素まで入っていましたがシリーズファンにとっては些末な事。

 

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書ききれませんでしたが、バトルに関しては前作からブラッシュアップされ、よりゲーム初心者にとっても遊びやすいものになっていました。血の量が少なくなったり、相手を殴らず気絶させるだけで倒せるようになったのも大きな変化。

龍が如くを含めれば長期的なシリーズの最新作となる本作ですが、過去作の良い部分を引き継ぎつつ新しいチャレンジを試みる姿勢が素晴らしい。

八神の行動原理については色々批判しましたが、名越さんの考えるヒーロー像というのは初代『龍が如く』から一貫しているように思います。もちろん八神というキャラクターは龍が如くとは切り離して作っているに決まっているのですが、それでもやはり八神の中の一部に桐生一馬的なヒーロー像が乗っかってしまっているように感じてしまいました。

今回はそれが裏目に出た感がありますが、今後も名越さんが仕掛けるであろう新しい試みには期待しかありません。

龍が如くスタジオの新代表に就任した横山昌義氏によれば「『龍が如く』だけではなく、『ジャッジアイズ』シリーズも大事にしていくつもりです。」(ファミ通.com 2021.11.20)とのことで、今後の展開がとても楽しみ。

そして今後期待するものとして個人的に推したいのが、今作で初登場を果たし、最も重要な役割を果たしたともいえるキャラクター「天沢鏡子」...そう

 

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天沢!!!

 

龍が如くという、現実と同じ時間が流れるシリーズにとって「成長するキャラクター」は不可欠!そして澤村遥不在の今、その役割を担うに相応しいキャラクターこそ天沢なのではないでしょうか。

ということで、天沢の今後の活躍に期待しています!

 

 

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