What Comes After
Mohammad Fahmi
2021年8月19日
macOS,Microsoft Windows,Nintendo Switch,Mac OS
『What Comes After』は、『Coffee Talk』の作者によるアドベンチャーゲーム。
プレイヤーは主人公の女の子「ビビ」を操作してストーリーを体験することになります。横スクロールの移動と任意による会話だけで進められるゲームはインタラクティブに乏しく、内容もかなり短め。大きなイベントを廃し、乗客一人一人の会話を丁寧に描く事のみでプレイヤーの心理に働きかける演出は、かなり地味ではあるものの作品のテイストには合っていると思いました。
ビビの乗り込んだ電車は人の魂を死後の世界へと運ぶものでした。ビビはそこへ誤って乗車してしまったため死後の世界へは行けず、電車が現世に引き返すまでの間に魂たちとの会話を通して自分自身と向き合っていきます。
何故このような作品が生まれたのかについては作者の意図を汲まなければ全体を把握できず、混乱してしまう人も多いと感じたので、ファミ通2021年9月号に掲載されたMohammad Fahmi(モハメド・ファーミ)氏へのインタビューを以下に全文引用させてもらいます。
ー本作の特徴やテーマは?
ファーミ 『千と千尋の神隠し』の列車のシーンに大きな影響を受けています。私はあのシーンがとても好きで「もし千尋があの電車の中を歩き回って乗客と話をしたらどうなるだろう?」と考え始めました。あの影のような人物たちには、それぞれの物語があるように思えたので、本作がいまのような形になりました。正直なところ、私たちはこのゲームを作ることで生活費を得る必要性もありました。そこで、かなりシンプルなゲームにすることに決めました。そのため、このゲームではプレイヤーができることは歩くことと話すことだけなのです。テーマとしては、本作は自分を愛することや生と死についての重いテーマを扱っています。また、本作は私の友人に宛てたラブレターでもあります。その友人は、いつも自分は他人の重荷でしかないと思っていて、よく人生を終わらせようと考えていました。その友人に「人生は生きる価値があり、あなたは自分の頭の中のモンスターと戦っているだけなのだ」ということを思い出させるために作りました。
ーもっともこだわっている点は?
ファーミ 限られた環境、限られたプレイ時間の中で、どうやってできるだけ多くの物語を伝えることができるかということだと思います。短い体験時間では、それぞれの物語を十分にカバーできていないと思う人もいるかもしれませんが、それぞれの物語の続きと理解の仕方は、プレイヤーの手に委ねられるべきだと思っています。
ー日本のユーザーに向けてのメッセージをお願いします。
ファーミ このゲームは、私と私の友人にとって、とても重要で個人的な部分を含んだゲームであり、私たちにとって多くの意味を持っています。このゲームをぜひ楽しんでいただければと思っています!
©KADOKAWA CORPORATION 2021
感想
作者の個人的な体験と友人に対する切実さがゲーム全体に流れる空気を覆い、静けさの中にも力強いメッセージを受け取ることが出来ます。ストーリーはプレイした個々の体験や心理状態に委ねられるので、涙を流す人もいれば退屈に感じる人もいるでしょう。
ただ、こういったテーマを持つ短編を低価格で配信することは個人的には大歓迎で、もっと増えてほしいタイプのゲームではあります。
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