しあわせ荘の管理人さん。
ディースリー・パブリッシャー
2018年1月11日
PlayStation 4
開発元は『ドリームクラブ』などで知られるタムソフト。
当初はVRゲームとして制作されていたものが、発売日の約二か月前にVR非対応とすることが発表され、後日アップデートにより一部がVR対応となりました。
以下、一週目クリア後の感想です。
三ヵ月間の管理人生活
舞台は架空の地方都市「華咲市」にある「しあわせ荘」というマンション。
親戚のおばさんの依頼で三ヵ月間管理人を任されることになります。
三ヵ月間毎朝「見回り」「掃除」「待機」からスケジュールを組んで過ごすのですが、「待機」を定期的に挟まないと疲労がたまっていきます。
上画面の右に見える「ガイド」さんはチュートリアル的な事を教えてくれたり、時にはプレイヤーを励ましてくれる妖精のような存在。
管理人室に待機している時には買い物ができ、マンションに飾る家具や監視カメラを設置することが出来ます。監視カメラはおそらく特定のイベントを発生させるフラグになっているのですが、待機中に管理人室からいつでもチェック可能。
この監視映像、最初はこまめにチェックしていたのですが、何かが起こる気配すらなく、ヒントもないのでただただ無駄な時間を過ごしてしまいました。これはいったい何なのでしょうか。
住人の女の子がいそうな場所に高価なカメラを設置するとプライベートの様子を見ることが出来ますが、だいたい寝ていたり、上の写真のように同じ場所にずっと立ち尽くしているだけで動きはなし。怖いです。
掃除はゴミに視点を合わせることで消していくだけで、約1分の制限時間内になるべく多くのゴミを見つけていきます。
VRゲームとして遊ぶものを何の手直しもせずそのままコントローラーで遊ばなくてはならないため、かなりおかしなことになっています。
見回りでは住人の女の子とコミュニケーションを取り好感度を上げたり、朝早い時間では寝ている女の子にタッチして起こしてあげたりするのですが、当たり判定がよくわからず、成功しても特に何もなかったりするのが謎。
ちなみに、通常版のPS4(DL版)だと上の画面のロード時間が約15~20秒。
女の子との会話中も裏でロードしているのか、セリフとセリフの間が長く、BGMもほとんどないため無の時間が延々と流れます。
こんな感じで三ヵ月間ほとんど変わり映えのない時間を過ごさなければならないのだから地獄です。なんとかクリアしましたが、このままの仕様でVRゲームとして発売されていたらと考えると背筋が凍り付きます。
住人
ユーザーの意見を積極的に取り入れ、当初のデザインからブラッシュアップを重ねて完成された女の子たちは自然なリアルさがあって個性的。
ただ、好感度を上げるのは相当な根気が必要で、一周で三人全員と仲良くなるのは難しい。どれだけ親密な仲になったのかもぼんやりしていてゴールが見えない。最終的に恋愛関係まで漕ぎ着けられるのかどうかが結局分かりませんでした。
「ブラー」という魔法のようなアイテムを使用することで、服を透明にしたり時間を止めたりすることが出来ます。ブラーは掃除のときに落ちていたりお店で買えるチップを調合して作るのですが、やっていて何のことかよくわかりませんでした。
女の子の年齢が18~21歳だったり、一緒にお酒を飲むイベントがあったりと、ちょっと大人のギャルゲーというのが他作品との差別化が図れていて良い点。
エロ要素やミニゲーム含め、バカバカしくて笑える所がディースリー・パブリッシャーのゲームっぽくて良いのですが、ロード時間が長すぎて顔面が無の状態で固まってしまい、うまく笑えませんでした。
好感度を高めて特別なイベントを発生させると図鑑が埋まっていきます。
ただ、読書が好きな女の子に何を読んでるのかと尋ねたら「ネクロノミコン」とかいうふざけた答えが返ってきたりするので、あまり深入りしたくない気持ちでいっぱいでした。
怖い
更衣室まで掃除に行こうとして、ロード画面が白い画面に切り替わり、それをずっと見つめているとガイドさんの「もう時間がないよ~!」という声が。
そう、これは更衣室の壁だったのです。
BGMもない真っ白な画面をずっと見つめていました。
女の子以外のキャラクターが全く作られておらず、人間っぽさを出すためにサングラスやマスクを装着させることで怪しさが倍増。ただのピザ配達員なのに声も無駄に加工されていて不気味なことこの上なし。
たぶん面白いシーンなのだと思うけど、何の説明もBGMもないのでただただ戦慄するばかり。
VRモード
ゲーム内のメニュー画面からVRモードへの切り替えが可能。
静止したキャラクターと背景を組み合わせ好きなポーズをカスタマイズして鑑賞するモードと、本編で見たイベントを体験するモードがあります。
イベントでは下着を透過するブラーは使えず。
しかしこのVRモード、完成度がかなり高く驚きました。
キャラクターの等身は『サマーレッスン』よりもリアルな人間に近く、空間とのバランスも絶妙。
イベントシーンを見る限り、VRゲームとしてかなり完成されていると感じました。
ただ、ゲーム全体の完成度とロード時間の長さを考えるとVRで本編をプレイするのは苦行でしかないでしょう。
まとめ
どう贔屓目に見ても駄作というより外にありません。
三ヵ月の管理人生活は本当に退屈で苦しいものでした。VRモード含め、所々光るものはあるし、新しいVRギャルゲーの誕生を予感させもしますが、そもそも開発者側がゲームの根幹部分で諦めてしまっているように思えました。作りかけのものを提示されているだけで、完成された絵がぼんやりとしか見えてきません。
予算なり、PSの表現規制なり、内外の様々な要因に足を引っ張られて未完成の状態でリリースされたことを考慮しても、それらをすべてクリアしたとして傑作に成り得たかというと、それも微妙。
コミュニケーションに特化したVRギャルゲーからの脱却を図る野心的なゲームデザインながら、そのコミュニケーション以外の部分が足を引っ張ってしまっているのが残念。
VRモードにしても本編を何周かクリアしなければ楽しめない仕様を考えると、やっぱりなんか、色んな意味でどうかしていると思います。
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