私だけいれば問題ないよね
SEEC
2020年6月18日
iOS、Android、Nintendo Switch
switch版『私だけいれば問題ないよね』全ルートクリア後の感想です。
開発の株式会社SEECは主にアドベンチャーノベルゲームをスマホアプリで制作している会社で、今作もスマホアプリなら無料でプレイできます。
初配信は2017年8月10日。
※バッドエンド画面1枚(葛藤の項)以外ネタバレなし
オープニングから不穏な空気
ゲームを起動すると「すべては僕が選択した結果だ」という文章の後に血まみれの女の子が⁉
確かにゲームの紹介文には「ちょっと病んでる女の子からのメッセージ あなたはどう返信する?」とは書いてありましたが…
ちょっと病んでる女の子
最初に攻略できる「かすみ」ルートを進めて行くと序盤からかなり怖いことを口走っていて焦ります。
このゲームでは6人の女の子と仲良くなることが出来ますが、皆何らかの現実的問題や心の闇を抱えており、総じて思い込みが強くいつ爆発するかわからない空気を醸し出しています。
一部当て嵌まらない娘もいますが、ざっくり言えば「メンヘラ」気質。
「ノンスタイル井上が女にモテているのはおかしい!」という疑問を持ったアンガールズ田中さんが井上さんを問い詰めたところ「メンヘラとAV女優からしかモテていない」という事実が判明したという出来事がありましたが、つまりそういう事です。
このゲームは謂わば『転生したらノンスタイル井上だった件』と言っても過言ではないでしょう。
嘘をつかれたり、酒の席で言ったことをネチネチと追及されたりしてモチベーションが下がりそうになりますが、どの娘も本当にかわいくて基本的に根は良い娘ばかりなので一般的なギャルゲーとは違う緊張感があり、一人一人に愛着が生まれやすい。
イラストの綺麗さや一人当たりの尺の長さも絶妙で、スキップ機能が快適なのも素晴らしく、キャラクターボイスがない事もこのゲームでは良い方向に作用していると思います。
ゲームの流れ
ゲームパートは「LIME(自室)」と「デート(外出)」に分かれていて、選択肢により相手の好感度を上げていきます。「LIME」というのは、LINEと似た機能のSNSです。
選択肢はかなりの数が用意されていて、あまりに的外れな事を言うと好感度がマイナスにされてしまうこともあります。
好感度が低い状態で最後まで進めるとあっけないエンディングを迎え、80%以上に高めておくと分岐が発生し2種類のエンディングのどちらかを選択することが出来ます。
会話はそれぞれの女の子の個性が生かされて、SNSならではの仕掛けなんかもあったりして楽しいものになっています。
葛藤
面白いゲームのイラストって、絶対全部集めたいじゃないですか。
好きなキャラクターには幸せになって欲しいし。
でも、イラストをコンプリートするためには2種類のエンディング、つまりバッドエンドにも到達しなければならないわけで…
で、このゲームの特徴としてメンヘラ女子の暴走の果てにオープニングのような血まみれの悲しい結末になるのは目に見えているわけで…辛いです。
最後の選択肢が女の子の告白を受け入れるか/突き放すかの2択なんですけど、最初はやっぱりずっと親交を深めてきた女の子を裏切れないからハッピーエンドをどうしたって選びますよね。
で、そこでもう終わりたいんですけど...もう一つの結末はいってみればこのゲームの売りでもあるし、ゲーマーとしては興味あるんですけど、でもやっぱり見たくない。
結局6人全員のハッピーエンドを見た後、2日ほど間隔を置き頭をリセットして臨みました。
もう、ね。最悪ですよ。
でもこのゲーム、かなりリアルな所を突いていると思います。
世の中結構メンヘラって多いだろうし、「メンヘラ=かわいい」説もあるし、モテ状態でありながら危険信号を受信し続けている男性って割といるのでは?
ギャルゲーのハーレム設定を上手く生かしたアイデアで、なかなか他のゲームでは味わえない葛藤があり、それがちゃんと面白さに繋がっているのが素晴らしいです。
まとめ
ちょっと変わったギャルゲーや、ギャルゲーに多少のリアリティを求める人は確実に満足できる良作。
ゲームシステムも単純だけど練られていてストレスは感じないし、絵も綺麗。
バッドエンディングに関しては、実は全員が不幸になるわけではなく救いのある話もあるのですが、欲を言えば全エンディングを解放したらもうひとつストーリーが解放されるとかの大きな救いがあればもっと気持ちよく終われたかな、と。
私はゲームの残酷表現に関してはほとんどの場合肯定派ですが、やはり好きな女の子をわざわざ振って彼女たちが傷付くのを見るのは結構しんどい…
微妙に別々の女の子同士がバッティングするシーンがあるのですが、そういうのがもっと見たかったです。
しかし、これで基本無料(iOS、Android)というのは信じられないクオリティ。
続編があればまた是非遊んでみたいです。
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