2020年1月29日に公開されたドラゴンクエスト10の大型アップデート『魔界大戦』の感想です。
スケジュールを見ると4月の終わりか5月頭あたりにバージョン5.2が来そうな感じですが、実際はコロナウイルスの影響で5.2は6月3日になりました。
アプデを延期せざるを得なくなり、5月が空白になってしまわないよう急遽用意されたイベントが「アストルティアミッション」で、全部で10個あるお題をクリアしていくごとに報酬が用意されていて、全部クリアすると「エックス君の像」が貰えるというもの。
「邪神の宮殿」「万魔の塔」「同盟バトル」の3つが達成されず。しかし「七不思議」が一部で少し盛り上がったりしたようで、多人数バトルが苦手な層は楽しめたのかもしれません。
ストーリー
新キャラクターとして、マデサゴーラの孫にあたるペペロゴーラが登場しました。ストーリーの前半はペペロゴーラに振り回される感じで、後半はタイトルにもある「魔界大戦」という名の地味な小競り合いに巻き込まれて行きます。
キャラクターズファイル
ドラクエ10のストーリーはキャラクターズファイルのような形式で展開した方が良い気がします。メインストーリーで大風呂敷を広げてもシナリオを書ける人がいないのだから、大まかな展開をプロに発注してキャラクターズファイルの中で少しずつ進めて行く月間連載のようなものにすれば永く楽しめるものになるのではないかと思いました。
過去作でいうと『ドラクエⅦ』、最近のものだと『ドラゴンクエストビルダーズ』のような形態ですね。今回の『ヨい超しの絆』も非常にわかりやすく、既存のキャラクターと紐付けることにより世界観に幅を持たせられているように感じました。
ブラウザ版
ブラウザ版のオープンベータテストが2月5日から20日間実施され、実際私もPCとスマホで試してみましたが、まともに遊べるものではなかったです。
以前は3DS版でもプレイしていましたが、ラグが酷く安定感がないのでパーティーを組んでバトルするのは非常に困難でした。職人やイベントなど、バトル以外の用途で使ってみるのはアリかもしれませんね。
バトルコンテンツ
アプデ日に追加された「輝晶獣」についてはこちら👇に詳しく書きました。
miyabi-game.hatenablog.com
輝晶獣の炎上が収まらない中での聖守護者の闘戦記第4弾「剛獣鬼ガルドドン」もいまいち盛り上がらず。そもそも輝晶獣問題の中にキャラクターの強化要素が含まれているので、輝晶獣問題に落胆した層が新しいバトルコンテンツを歓迎しにくい状況が出来てしまいました。
新しく追加された報酬がドレスアップ用の武器だけだったことも盛り上がりに欠けた要因の一つとして考えられます。
コロナウイルスの影響
※超ドラゴンクエストXTV #17(2020/5/19)はリモート配信で行われた。
世界中に拡散したコロナウイルスは人々の生活形態を変え、それによりあらゆる業界に転換と推進を促しました。
ゲーム業界に与えた影響も様々ですが、NintendoSwitchやOculusQuestが品薄となり、中古ゲームショップからごっそりゲームが消える現象が見られました。
スクエア・エニックスやレベルファイブなどの日本のゲームメーカーも去年発売された準新作を含む人気ゲームのDL版を半額で提供するなどのセールを実施。
オンラインゲームでいえばカプコンの『モンスターハンター:ワールド』(4620円+税)がPS4で急遽フリープレイに。拡張コンテンツ『モンスターハンターワールド:アイスボーン』(4,444円+税)も半額に。
PS4版『ファイナルファンタジーXIV スターターパック』(税込2420円)が無料、Switch版『エレメンタルナイツR』(税込2,852円)の100円セールなど、各MMO陣営も柔軟に対応。
そんな中ドラクエ10は…
現バージョンを含むオールインワンパッケージ発売!!!
新たなTVCMをガンガン流し、更には超人気ユーチューバー「はじめしゃちょー」にドラクエ10を遊んでもらうというキッズ勧誘企画(公言はしていない)を実施。
はじめしゃちょーの影響は凄まじく、一時は初心者サーバーが毎日「こんざつ」状態になるも、契約が(おそらく)バージョン1までだったようで、ネルゲルを倒して即引退。それに伴いファン達も蜘蛛の子を散らすようにフェードアウト。
SwitchとPS4でバージョン1~2を無料(もしくは低価格)にするだけで大きな効果が出せたように思うのですが…
現実世界とのリンク
コロナウイルスの影響で、多くの人が今まで目にする機会がなかった情報に触れることになり、これまでネット上で起きていた様々な問題が可視化され議論の対象に。
特に00年代ネット論客(ホリエモンとかひろゆき)的な逆張りや、相手の言葉を感情論と設定した上での正論。今回の糸井重里発言(※1)に見られた曖昧な肯定感の肯定により批判を封じ込める同調圧力。無責任な自己肯定感を与えることによる単なる人集めであったりマッチポンプ的な炎上商法など。
※1.コロナ禍における政権批判の中での「わかったことがある。新型コロナウイルスのことばかり聞いているのがつらいのではなかった。ずっと、誰かが誰かを責め立てている。これを感じるのがつらいのだ。」というTwitterでの糸井重里氏の発言が同調圧力を促すと一部で批判され炎上。批判した者はネット右翼から「ブサヨ」の称号を与えられた。
これらがマスに対して一定の影響力を持てるという錯覚から、実際に影響力を持ってしまうというポピュリズムの危険性と、そこに至る過程がある程度可視化されたのではないかと。
で、ドラクエ10のマジョリティの客層が30~40代として、さもそういった層の代表のようなツラをした00年代ネット論客の下位互換的なストローマン論法の使い手が幅を利かせていたのではないかとこれまでずっと感じていたわけです。
そういった中身のない正論を用いてネットで人を集めるとどういうことになるかというと、必然的にオルト・ライト(ネット右翼)の溜まり場になります。
それはランキング上位にあるまとめブログのコメント欄を見れば明らかで、配信者の中でも00年代ニコニコ動画全盛期の価値観から脱却できない「若い老害」が目立ちます。
彼らがこのコロナ禍における問題についてどんな発言をするのか注視していたのですが、総じてだんまりを決め込んでいる(※2)わけで、「ネトウヨの飼育係」であることがバレれば多くの客層(お友達)を失うという自覚があるのでしょう。
※2.すぐに全記事を削除するブログや、7日間でタイムシフトが見られなくなるニコニコ生放送のような閉じた空間内では生き生きと謎理論を振りかざす様子が多く見られた。
ドラクエ10のバージョン2期辺りから頻繁に見られるようになった「運営はがんばってる」という謎の運営目線による意見もコロナ禍における「安倍さんもがんばってる」という根拠の崩壊により相殺されるでしょう。
相互監視と密告、批判と誹謗中傷の違い、ポジティブなワードによる同調圧力など、これまでドラクエ10という、ある意味一つの国ともいえるMMOの世界で見過ごされてきた問題が現実の問題とリンクすることで、より噛み砕いて考えやすく・伝わりやすくなったと思います。
長年にわたり批判を弾圧し続けた結果、現在のドラクエ10では「おさかな券」や「おにく券」が普通に配られ、虫とカビにまみれたマスクを有難がってマイノリティを排除する世界が一部のSNS上で成立しているわけですが、そこらを仕切っている人達の影響力なんて実際には取るに足らないものです(とりあえず新規を増やす要素はない)。
一部の有名(になりたい)プレイヤーによる「アンチ」と「信者」という価値の二極化工作でパイを奪い合う不毛な争いは一刻も早く終わって欲しいです。
ほとんどのプレイヤーはただのドラクエ好きの一般人で、認知しているブログなんてせいぜい「極限攻略」くらい。そういった一般層を「情弱」としてネット上で晒す行為に正当性があるとは思えませんが、Twitterでのいいね稼ぎやブログのPV稼ぎにはこういうセコい手法が今でも頻繁に用いられています。
今回また久々に課金して10時間ほど遊びましたが、いろいろ細かい部分が改善されていて更に遊びやすいゲームになっていると感じました。
コロナ問題がノイズフィルターとなり様々な意見も発信しやすくなったと思うし、外の意見に惑わされず、ゲーム内で自分なりの楽しみ方を見つけて遊んでいれば良いと思います。
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