【前回までのあらすじ】フレンドの魚子「しぃ」のキャラデリの真相を追うみやびは幾つかの証言を検証することでついに真相へと辿り着いた。しかしそれは巨大なコミュニティやドラクエ10のゲーム性が複雑に絡み合う中で起こってしまった悲劇であった。
「みやびさん…報告書は全て読ませてもらいました。こんなに細かく調べてもらってありがとうございました」
みやび
「いえいえ、これが仕事なので。しかし…やはりというかなんというか、ゲーム関係の事が原因でしぃさんが苦しんでいたというのは共通のフレとしてもとても残念です」
「ですね…僕も彼女は彼女であっちの大きなコミュニティで仲良く楽しくやっていると思って疎遠になっていたわけですし」
みやび
「あまり自分を責めないでください。彼女が自らそうしたことです」
「はい。でも彼女は最期…ひとりぼっちだったんですね…」
みやび
「・・・・・・」
「そういえば昨日、ほかの共通のフレから聞いたんですが」
みやび
「何ですか?」
「彼女はキャラデリする前日、3時間ほどずっと一人で希望の丘にいたそうなんです」
みやび
「希望の丘!?なんでそんなところに一人で…」
「わかりません。ただ昔の彼女は冒険日誌なんて全然書かなかったんですけど、たった一度だけ書いたことがあってよく憶えてるんですが、その内容が「希望の丘にいると落ち着くので、たまに一人で行ってボーっとしている」みたいな日誌だったと記憶しています」
みやび
「なるほど…そうだったんですか」
「とにかく今回みやびさんに依頼して本当に良かった。報酬のゴールドは郵便ポストに入れておきました。また何かあったらよろしくお願いします」
みやび
「はい、喜んで。では私はこれで」
みやび
「おや、盗み聞きかい?泣き虫ボーイ」
プク助
「あ…すみません…でも…」
みやび
「何?」
プク助
「ぼく…どうしても…その…」
みやび
「ん?」
プク助
「き…希望の丘に行ってみたいんです!…そうしないとなんか…終われない気がするんです!」
みやび
「ふっ…わかった、じゃあ今から行こうか。それですべて終わらせよう。いいな?」
プク助
「あ…ありがとうございますっ!!」
プク助
「しぃさんは最期の日…希望の丘で聖守護者に誘われるのを待っていたんでしょうか」
みやび
「ログイン表示していたということはそうかもしれないし…ただ一人になりたかったのかもしれないな」
プク助
「あんなに大きなコミュニティの中で孤立して誰にも誘ってもらえず…きっと寂しくて悲しかったでしょうね…」
みやび
「ほんのわずかな過ちが結果的に大きな波紋を広げ、それが自分に返って来てしまったんだな。それでも自分から人に声をかけることは最後まで出来なかった。もしかしたら沢山の人にあやまりたいという気持ちでいっぱいだったのかもしれない…しかしそれも八方塞がりの状態で出来なかったのではないだろうか」
プク助
「今回の登場人物の中には誰も悪い人がいなくて…だからこそ自分を責めてしまったのかも…」
みやび
「・・・・・・」
プク助「着きました…」
プク助
「こんなところに…一人で3時間も…」
みやび
「・・・・・・」
みやび
「!?」
プク助
「!?」
しぃさんは消えてしまった。
今はただ風の音だけが希望の丘に響いている。
私にはその風の音がまるで
しぃさんが「ごめんなさい・・・ごめんなさい」と、
そう言っているように聞こえた・・・。
プク助
「え・・・」
おわり
主な登場人物
【みやび】みやび探偵事務所所長。神宮寺三郎シリーズをすべてクリアしているアストルティアの探偵ガチ勢。江戸川乱歩とエリック・ドルフィーをこよなく愛する。虫と猫が嫌い。 pic.twitter.com/egXF4uE97k
— みやび通信 (@miyabi_game01) 2018年6月24日
【プク助】みやび探偵の助手。運転や雑用などをそつなくこなす。『名探偵コナン』の単行本を友達から借りパクしたままアストルティアの世界へ逃げ込んできたドサンピン。すぐ泣く。 pic.twitter.com/aD8YQA9KJG
— みやび通信 (@miyabi_game01) 2018年6月24日
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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