2017年1月24日
PlayStation 4、PlayStation VR、Xbox One、Steam
『バイオハザード7 グロテスクVer.』クリア後の感想(ネタバレなし)です。
掛け値なしの傑作
感動しかない。
シリーズ物で「〇〇らしさ」なんて言うと古参の戯言だと一笑に付されるだろうけど今作における大胆なシステムの一新はVR用に開発されたことが好転、どこまで意識したかはわからないが1作目が与えた衝撃を全く新しい体験として私たちにもたらした。
バイオらしさなんて時代によって変わるもの。
初期の1~3が好きな人にとっては4からの路線はホラー要素が少なくて不満だったかもしれないけど、5のようにホラー要素があまりにも少ないと他のTPS・FPSとの差別化が図れず単なるシューティングゲーになると危惧する声も多かった。
いやそれでも国産のビッグタイトルという肩書を最大限に利用してオンラインゲームとして継続していく未来も全然ありだったはず。
度重なる「原点回帰」もキャラゲーとしての未来を着実に固めていたし。
『リベレーションズ』によるゲーム性の原点回帰の手ごたえのなさと『6』の失敗がこのような新生をもたらしたのだとしたら「全てが無駄じゃなかった」とファンなら思える。
恐怖再来
『P.T.』のレベルデザイナーであるJordan Amaro氏の起用にVR対応の「REエンジン」によるフォトリアルな表現。
1人称視点による没入感に画面揺れをメニューから調整できる仕様。
1作目をはっきりと意識してると取れるところとして序盤に大きな建物に閉じ込められるシチュエーションがあるが、初期作よりも恐怖のバリエーションが多い。
むしろ序盤の家で既にこのゲーム性で出来る恐怖演出は全て出し切ってしまっていて後半では多少失速している印象を与えるがたいしたマイナス要因ではない。
とにかく序盤の家での恐怖は他のホラーゲームを圧倒している。
生活空間の不潔さという生理的嫌悪感や、頭のおかしい同居人(家族)という圧迫感。
これらはゲームの進化とフォトリアル・1人称視点がもたらしたホラーゲームとしては最先端の恐怖体験であり、手法やアイデアは映画などの引用ではあるがゲームとして最善の選択をしていて絶賛に値する。
終盤の敵の配置だけ適当な感じがして少し冷めるけど。
バイオ以外の何物でもない
「らしさ」は大事。超大事。
ユーザーがシリーズものにいちゃもん付けるときに多く使われる言葉なのでネガティブな印象を持たれるけど、肝心なのは制作側がナンバリングを作る時に根幹に何を置いてるかが明確にわかることが大事。
それがたとえユーザー側の考える「らしさ」とかけ離れていたとしても説得力を持ってねじ伏せてほしい。
『4』も今回もそれが出来た。
1作目をプレイしている段階で『4』や『7』のようなものを誰が想像しただろうか。
私たちは全く予想できなかった未来を見せてもらっている。
そしてその感触はまごうことなきバイオハザードそのものだ。
公式に「サバイバルホラー」と謳っているバイオシリーズだが今作の「サバイバル」と「ホラー」のバランスは間違いなく1作目のそれだ。
タイプライターがある部屋での安堵感や廊下の角を曲がるときの緊張感など、1作目での体験を全く新しい表現で再演してくれているようだ。
先日開発が発表されたREエンジンによる『2』のリメイクにも期待したい。
『6』で「ゲームそのものがゾンビ化した」と批判されたバイオハザードだが『7』で再び新しい体を手に入れて復活したようだ。
素直に喜ばしいし、手が痛くなるほどの拍手を送りたい。
追加コンテンツ『Not A Hero』はシリーズおなじみクリス・レッドフィールドを操作する後日譚。
普通にFPSとしておもしろい。
今後この路線でいくつかの駄作が作られることが予想されるが温かい目で見守りたい。