みやび通信

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ドラゴンクエストビルダーズ(PS4)

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ドラゴンクエストビルダーズ

2016年1月28日

スクウェア・エニックス

PlayStation 4Nintendo SwitchPlayStation Vita、 PlayStation 3

 

PS4版『ドラゴンクエストビルダーズ』のプレイ後の感想です。

ネタバレはありません。

 

体験版のインパク

後発のswitch版より前に世界累計110万本というヒットを記録した本作ですが、発売日の約1週間前(1月22日)に配信された体験版は本作の成功を予感させるに足りるものでした。

全4章からなるドラゴンクエストビルダーズ(以下DQB)ですが、体験版では第1章が全部ではないけれどかなりのボリュームで配信されたので、このゲームの感触を正確に伝えることに成功したといえるでしょう。

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発売前はマインクラフトのパクリゲーだと思われていたのにも関わらずに実際に体験版に触れることでネガティブなイメージが払拭され売り上げにも大分貢献したんじゃないかと思います。

それほど素晴らしかった。

マインクラフトのゲーム性自体は敷居が低いもののビジュアル的にあまり日本のプレイヤーの中には馴染めない人も少なくなく、そういった層を掬い上げるという意味では単なるパクリ以上の価値を見出すことが出来ました。

 

ドラクエらしさの復権

そもそもこのゲーム発表時に期待値が低かった要因に昨今のドラクエの派生ゲームの乱発があります。

ドラクエの初期からのファンも40代に差し掛かりお金をかなり使ってくれるという環境に甘えた、ドラクエの皮を被せた質の低い商品が現在進行形でリリースされ続けています。

確かにキャラクターも音楽もドラクエなのですが、それらは単にキャラクターとノスタルジーを消費しながら流行りのゲームの劣化版を量産しているようにしか見えません。

リメイクも手抜きでひどいものばかりですし、ナンバリングも8から粗悪なスキルシステムや錬金などの自由度の低いシステムを固定することによってゲームとしての可能性を根こそぎ間引きして「ドラクエドラクエの枠から出さない」延命措置を取っているだけのような気がしてなりません。

ドラクエらしさとは、プレイヤーのノスタルジーに制作側が胡坐をかいて乗っかっているだけのものです。

「中盤からはぐれメタルでレベル上げするよね~」といったプレイヤーの思い出に乗っかってクソゲーでも中盤にはぐれメタル出しときゃ納得するだろ的な傲慢さを感じるし、もしも新しい試みによってそういった「ドラクエのお約束」が失われるとドラクエではなくなってしまうのではないかというゲームそのものに対する自信のなさも窺えます。

しかもそれがナンバリング作品にも顕著なことが心底残念に思います。

 

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DQBはアクションゲームで戦闘のコマンドはありません。レベル上げすらない。

魔法も使えないし勝手に穴を掘ってどこまでも進めるし車にも乗れる。

しかしレビューを見ていると多くのドラクエファンが「久しぶりにドラクエらしいドラクエ」という評価を下しています。

私もそう思いました。

何故か。

答えは簡単で、このDQBというゲームには堀井雄二氏がかなり大きく関わっているという、ただそれだけです。

かつて堀井さんは「ドラクエとは何か?」という問いに「僕が作ったRPGが結果ドラクエになる」と仰っていました。

この堀井さんの想いとファンとの想いがこの30年間全くブレていなかったことが証明されたということだけでもDQBは稀有な傑作と言えるでしょう。

インタビューなどを読むと堀井さんがかなり関わっているような印象を受けますが、実際は他のスタッフが優秀なのか細かいことは不明ですが「でも確実に遺伝子が残ってる。」(押井守)ということが重要。

DQBではモブキャラとの会話や小さなイベントなどが世界観を形成するうえで非常に重要な要素になりますが、ここら辺は初期ドラクエの根幹に関わる要素であるにも関わらず近年の作品では軽視されていたところです。

あと今作はドラクエⅠを題材にして作られてはいますが、ドラクエⅠを未プレイの人でも十分楽しめる内容になっています。

 

マインクラフトとの違い

最初にも書きましたがビジュアル面での親しみやすさが日本人好みだと思うし、さらによく知っているドラゴンクエストのモンスターやアイテムが出てくることで未知のサンドボックスゲームを遊ぶ敷居を下げることに成功しています。

マインクラフトや他のサンドボックス系のゲームとの差別化としてもう一つ重要なのはストーリーによってプレイヤーを一本道に乗せていること。

サンドボックスゲームに限らず日本人が海外のゲームを避けてしまう理由の多くに「自由すぎて何をしていいのかわからない」というものがありますが、これは国民的ゲームの強みですんなりプレイヤーはレールの上に乗せられてしまいます。

さらに今作のようなジャンルに不可欠な建築の要素ですが、これも堀井さんのアイデアで設計図が用意されていて、ストーリーは遊びたいけど建築が苦手な人への配慮も完璧です。

ドラクエという強みを最大限に生かしながらプレイヤーへの配慮も欠かさないDQBは、もはやドラクエそのものであり「マインクラフトのパクリ」というのは偏見に満ちたレッテルでしかありません。

 

ひとつ、細かいことかもしれませんが、初期のDQBのトロフィー取得の条件としてストーリーのタイムアタックが設定されていました。

これは設計図を作った堀井さんのプレイヤー目線の思想とは真逆の発想であり、このゲーム自体とも非常に相性が悪い。

それと上に書いた体験版ですら今作の魅力がたくさん詰まっていたのに、フリービルドモードではそれらのアイデアが全く生かされていません。それどころかプレイヤーを遊ばせるアイデアが一つもなく放置されているような状態です。

建築が好きな人はどんな環境でも勝手に遊べますが、本作の素晴らしい点の一つである「建築が苦手な人でも遊べる」という工夫がどこにも見られず残念に思いました。

堀井さん自身DQBに関して「2作目は難しい」と言うように、すでに発売が決定している2作目へは期待と不安が半々な状態です。

他のドラクエのナンバリング作品でも堀井さんが関わっていない部分が無料アプリ以下のゴミばかりなこともあり一抹の不安は拭えません。

 

 

以上、辛辣なことも書きましたがこの『ドラゴンクエストビルダーズ』は紛れもない傑作です。

久しくゲームをやっていなくて「ドラクエなら・・」と思っている人にはナンバリングよりもこちらを薦めたいくらいです。

古参のファンなら尚更「ドラクエらしさとは何か」を再確認できます。

今作は新しいドラクエのスタンダードになる可能性も十分秘めていますし、いつものスクエニクオリティのキャラゲーに堕落して消えていくかもしれない。

ただ、ドラクエの歴史的に見て、もっと大きく見れば日本のゲームの歴史的に見ても(海外のゲームの日本的な解釈として)重要な位置に置かれている作品だと思うし、今後の展開がとても楽しみな作品でもあります。

 

 

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