みやび通信

好きなゲームについて色々書いていきます。たま~に攻略記事あり。

2018年に遊んだPS4新作ゲームランキング

2018年に買ったPS4の新作ゲームは13本。

良かったと思う順番に並べ、簡単なレビューも書いてみました!

 

 

1.レッド・デッド・リデンプション

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最高傑作。

このゲームを的確に表す言葉がまだ見つからない。かつては映画こそが総合芸術であったのに、RDR2はそれを乗り越えようとした。そしてそれはある程度うまくいっているように見える。比べるものがないから批評の刃が欠ける。ゲーム自体に批評性があり、ゲーマーごときの駄文では追いつけないのだ。このゲームの中には確かに1980年代のアメリカが存在し、我々はその中で翻弄されるしかない。別の人生をシミュレートするという堕落的な側面はRDRにインスパイアされた人気ドラマ『ウエストワールド』の中でも言及されている。一度プレイしただけではほんの断片しかこのゲームを理解できないだろう。ロックスターの核の部分がむき出しのアナーキーで繊細な世界。

 

2.デトロイト・ビカム・ヒューマン

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クアンティック・ドリームの、不評だった要素を進化させる根気と思想が結実していく様を見てきた感慨深さ。未消化感はまだまだ進化しそうな期待感に変わる。

ストーリー重視のように見えて実は凄くインタラクティブ性が高く、それが設定や世界観を支えているという「ゲームにおける物語の提示」のお手本のような作品。

グラフィックの進化による退廃的で無機質な美の中で人間性に葛藤するアンドロイドが獲得するもの...ブレードランナーから続くサイバーパンクのゲーム的解釈としてもトップレベルの傑作。

 

3.モンスターハンター・ワールド

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ガラパゴスからの脱出。再構築・再解釈における取捨選択は世界標準を見事にとらえてシリーズに新しい息吹を吹き込んだ。後半の息切れ感はあるものの次回作への期待は膨らむ。無料ダウンロードコンテンツのサービスもこれまでに考えられなかったほどに好感触。ライト層が長く遊べる配慮もあり、完全な新生を遂げた。

 

4.ファークライ3 クラシック・エディション

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ゲームやってる奴なんて全員臆病なクソ野郎だ!でもそれを作ってる俺らの方が狂ってるぜ!お前らはどうしてPTSDにならないんだ?じゃあ主人公に地獄を見せてやるよ!勝手に殺しあえよ!まともなキャラなんか一人も作らねえからな!…という開発者の気概が最高潮に達した大傑作の完全版。

 

5.ジャッジアイズ 死神の遺言

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長年育ててきたオリジナルキャラの存在感を颯爽と超えていく木村拓哉のスター性。アップデートされて洗練されていく神室町の景色がまた違う顔を見せる。主流から解放されたストーリーは生き生きと新しい歴史を紡ぎ、その一方で洗練されたゲームデザインが土台を支える。傑作。

 

6.ファークライ5

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アメリカの田舎をドライブし、釣りや狩りを楽んでいるうちに主題を見失いそうになってしまう。それ程ゲーム自体が良く出来すぎていてファークライの持つ先鋭的かつ前衛的な主題が見えにくくなっているのも確か。レジスタンスや動物の仲間とのコミュニケーションも作り込まれていてほのぼのしてしまう。それぞれの部分部分が個別に優秀すぎて全体の焦点がぼやけてしまっているのが残念だが傑作であることに変わりはない。

 

7.ライフイズストレンジ ビフォア ザ ストーム

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前作の前日談。完全な一本道どころか前作で知ってしまった事実は何も変えることが出来ない。プレイヤーが何をしようが「知っている未来」へ突き進んで終わる。動かせはするが決して触れることが出来ないティーンエイジャーたちの青春は無垢で残酷。

 

8.シェンムーⅠ&Ⅱ

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奇しくもRDR2発売の年に再発されたシェンムー。日本だけ売り上げの低いRDR2と同じ道を辿り日本のゲーマーにクソゲーの烙印を押されたシェンムー。鈴木裕のビジョンに時代はまだ追いついていない。それでも今このゲームを見直すには絶好のタイミングであることには違いない。名作は色褪せない。

 

9.北斗が如く

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SEGAの新人チームによる如く派生作品。ケンシロウの声が桐生一馬なだけでストーリーもオリジナルという完全に企画倒れな迷作。それにしてはがんばっている部分が多く見られて惜しいと感じる所があるだけに残念。名越さんが原作を全く知らなかったりDLCも適当だったりする割には自信満々だったのが謎。得体が知れない。

 

10.探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ

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いつも通りの神宮寺...のはずが肝心のUI含むデザインが酷く丁寧さに欠ける部分も。話もオリジナル部分のボリュームが少なく印象が弱い。おまけのレベルをはるかに超えた大量の過去作リメイクにも困惑。DS時代の話はおもしろかったが、それはあくまでガラケーやDSのサイズに合った話であって、PS4でプレイするのはさすがにつらいものがある。...というのはなんとなくわかっていたが、ただ単にシリーズのファンなので買った。

 

11.絶体絶命都市4Plus

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ファンにとっては実に8年の歳月を待ち焦がれたシリーズ続編。

前作『巨影都市』からの大幅なグレードダウンは否めない。ファンにとっても何かと消化不良な後味の悪さを感じさせる結果に。良さはもちろん、愛すべき部分も多くあるのだが...それだけではもうダメなのかもしれない。ボリューム不足が欠点を際立たせてしまっているのが残念。

 

13.ザ クワイエットマン

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音声なしの配信から一週間で音声アリを配信するという全く新しい試み。だがストーリーが陳腐で音声があってもよくわからない。伝えたいものがないものを作品とは呼べない。宣伝も足りず商品としても弱く、早急に歴史の彼方に消えていくことだろう。だが私がこのブログをやめるまでは語り継いでいきたい...そう思わせる何かはあった...ような気がしなくもない。

 

13.ドラゴンクエストビルダーズ

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発売日に買ったのに全く遊べない不良品(最初のパッチが一週間後)。こういうものは評価しちゃいけない。

子供たちに販売促進してクリスマスに売りつけるというテロ行為。その光景はまるでゲルショッカーの戦闘員育成教室のようである。

人喰い鮫がいるのに観光シーズンだからといって海開きを決行した『ジョーズ』の市長と何ら変わらない。

ちゃんとプレイできるようになったら作品としての感想は書くが今現在はゲーム未満のゴミでしかない。マジでふざけるんじゃねえよ...と、私は言いたい。

 

 

以上、全13作品の紹介でした。

ほぼ全て発売日に購入しました。振り返ってみるとどれも魅力的で素晴らしい作品だと思います。最後の以外は。

今年の収穫としては『ファークライ3』に出会えたことが大きかったです。オープンワールドゲームが好きなのに見逃していました。本当にすごい作品。

『RDR2』『デトロイト』『ビフォアザストーム』『絶体絶命都市4』など、数年前から楽しみにしていたゲームがたくさん発売された年でもありました。

時間がなくてやりたくてもやれなかったのは『コナン アウトキャスト』『スパイダーマン』あたりですね。

2019年もまた多くの素晴らしい作品と出会えることを楽しみにしています!!

 

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ドラゴンクエストビルダーズ2までの道

2016年1月28日に発売された初代『ドラゴンクエストビルダーズ』(以下DQB)はドラクエ派生作品の中でもトルネコやテリワン・イルルカと肩を並べる傑作ゲームでした。

PS3・4とVITAで発売され、結果的に気軽にできる携帯機のVITAの売り上げがいちばん多く、値段は5980円。PS3版6800円・PS4版7800円に比べてお値段も手ごろで、当時はマイクラも携帯機で遊ぶのが子供たちの主流になっていたこともあり初週の売り上げは37万2千本と健闘。最終的には世界累計110万本のミリオンセラータイトルへ。

 

スクエニの自社製ソフトにまともなものなし」というネガティブなイメージを払拭したDQBは「スクエニも一枚岩でない」という社のイメージアップにも貢献。

発案者の新納一哉氏と藤本則義氏の働きの素晴らしさはもちろんですが、DQBの成功の一番の要因は押井守監督の指摘にもある「堀井さんの手腕」によるところが大きく、押井監督は「スクエニの人たちだけじゃこの感じは出ない」と堀井さんを高く評価。

そんな堀井さんですが、DQB発売直後は「これはなんとかうまくいったけど続編は難しい。考えてない」と続編には前向きではありませんでした。

ところが翌年2017年の「ドラゴンクエスト夏祭り」で続編が開発中であることを発表。

その後にプラットフォームがPS4ニンテンドーswitchであることが明らかに。

 

ほぼ同時期に制作されたコーエーテクモゲームスによる派生作品「ドラゴンクエストヒーローズ」は2作目で販売本数を減らしはしたものの堅実な作りでマルチプレイにも対応しDLCも無料で配信。にもかかわらず続編の制作は途絶えてしまいました。

その後コーエーテクモゲームスは今回の『ドラゴンクエストビルダーズ2』(以下DQB2)の開発に加わることになります。

 

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2018年8月29日に発売日発表会があり、発売日が2018年12月20日であることが判明。

同時に有料DLCや各店舗によって異なる特典や様々なグッズの内容も明らかに。

この時点でもう、「いつものスクエニ」です。

一作目による絶大な信用によってごまかされてしまいそうですが、それに乗じて時代遅れのスクエニ商法を展開。相変わらずファンを心底バカにしています。

価格は7800円と前作と変わらないように見えますが、携帯機のVITAを切ったことに加えて準携帯機のようなswitchも同価格。

しかもDLCの第1弾・第2弾のみが入った不完全版は9700円(+税)と強気なお値段。一部のファンをざわつかせました。

 

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9月に行われた東京ゲームショウ2018でもビルダーズの試遊は大盛況。私も一通り会場を周りましたがビルダーズの試遊台は特に混んでいました。さすがドラクエブランド。

 

発売を間近に控えた11月14日の「ビルダーズスクール」という公式配信でちょっとした問題が起きました。

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最近のドラクエナンバリング作品やニーアなどのプロデューサーを務めていた現スクエニ取締執行役員の齊藤陽介氏(左端)が出演。

これはDQB発売から定期的に配信してきたもので、Twitterに投稿された素人の建築をみんなで見て賞をあげて讃えあったりするあたたかい配信。

空白期間においても投稿者の自己顕示欲を満たす役割を果たしていました(私も投稿していました)。

そんな若干排他的な空間にDQBとは無関係の上司が登場。しかも自分がプロデュースしているVチューバーを引っ提げて。ちなみにこのVチューバーは40分遅刻してきました。あと齊藤氏はこのVチューバーに自分の事を「パパ」と呼ばせていました。

元々内輪ノリがひどいと言われているスクエニの配信に別の内輪ノリを持ち込むことによって視聴者は困惑。「あの偉そうな豚はなんなんだ!」と怒り狂う人までいました。

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配信に参加していなかった新納氏が苦言を呈する一幕も。

 

今年2018年もスクエニは絶好調。

聖剣伝説2』のリメイクでは「アプリエラーでアプリ終了中にフリーズし電源が落ちずに電源抜き」や「キャラ喪失」等のバグを頻発。

FF15』は予定していたDLCのほとんどを中止。ディレクターはスクエニを退社するも年末の忘年会配信に出席し、他の出演者にそのことを突っ込まれるも「俺もう社員じゃねえし」とヘラヘラするだけ。

 

そして2018年12月20日、「約束された神ゲー」DQB2が発売されました。

それに合わせて横浜みなとみらいで『ドラゴンクエストビルダーズ2 夢のスライム巨大化プロジェクト』が開催されたので私も行ってきました。

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この企画を調べてみると事前にTwitterでスライムの写真を投稿してもらって盛り上げようとしていたみたいですが、盛り上がった形跡は見られず、巨大スライムとの関係性もよくわかりません。

スクエニのゲームってこういう参加型にするのが大好なのですが、こういうものに参加する人の多くは「バズりてえ」から参加するのであって(なんならファンですらない)今回のような意図が良くわからない企画は見向きもされません。

 

さて、無事にゲームが発売されたものの耳を疑うような情報が飛び込んできます。

同日発売のVジャンプの攻略本に付いている特典をPS4にダウンロードするとゲーム本編までダウンロードされてしまうという信じ難い事態が起こります。

最初にこの報告が5ちゃんねるでされた時には信じる人は誰もいませんでしたが公式の発表により事実だと判明。

さらには続々とゲーム本編のバグ報告が相次ぎます。

私も10時間程プレイしてみて不自然な部分が多くあることに気が付きました。このゲームはフラグの管理が非常に甘いです。

聖剣伝説2』のようなフリーズするタイプのものではなくて、プレイヤーの操作(フラグ立て)に干渉するような根本的な作りの甘さから生じているので「進行不可」が発生し早急に対応出来ない種類のバグのようです。

しかもこのゲームにはセーブが一つしかないのでこちらで予防策すら取れない。気が付いた時にはもう手遅れです。しかも親切なオートセーブ付きで、いちいちオートセーブされてしまうのですが別にいくつか前のオートセーブ地点に戻れるわけでもなくて、ただ単にオートセーブされるだけという謎仕様。セーブを全くしないでいきなり電源を落とした時以外には全くの無意味な代物ですが、一体これはなんなのでしょうか。

セーブが一個しかない理由も不明。

 

まずこれ、子供向けに販促展開していたということ。

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ドラクエが基本懐古厨向けとはいえ今作は子供たちにも遊んでほしくて地方のイオンとか周ってイベントとかやってたんですよ。さも任天堂の仲間のような顔をして宣伝していたわけですから商品としての品質管理がいちばん大切なはずなのですが、それが全くできていない。

「おもしろい」とか「おもしろくない」っていう作品の評価なんて個人によって違うんだからどうでもいいんですよ。

「おじさんたちはマリオの友達だよ~」みたいな感じで近付いた子供たちに大量の不良品を高価な値段で売りつけて返金もしないっていう。

しかもクリスマスにね。

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その挙句がこれ。

連休〜のくだりで炎上。

ちなみにこの時点でゲーム開始序盤(モンゾーラ島)のバグだけでもこれだけ出ています。

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このガイドを見ながら余計な事を一切せずに進めれば序盤は乗り越えられます。

中には女の子2人のうち間違った方に話しかけると進行不可になる爆弾処理のような罠も仕掛けられています。

このゲームには初代から一応フリーモードが用意されてはいますが、ほとんどの人がストーリーモードで自由に建築して満足してしまいます(DQB信者は基本この考えが抜けている)。それはこのゲームの良さで、建築が苦手な人でもドラクエの世界の中で遊びながらゆるく楽しめることがマイクラとの差別化になって評価されていた部分の一つでもありました。

開発者もそういう部分を意識してストーリーを長くしたりマルチプレイを実装したはずなのですが、PS4マルチプレイをしようとすると「フレンドが26人以上いると見つけられずにエラーになる」というバグまで実装。

現在判明しているバグはほとんどが序盤のもので氷山の一角。

スクエニおよびDQBには根強いファンが一定数いてコミュニティのようなものも生まれているので、みんなで呼びかけてバグ報告をまとめたりするのかと思えば、逆にバグに苦しむ人にマウントをとって黙らせる傾向が多く見られました。

 

・ビルダーズ2たのしいいいいいい!!!

・バグがあるみたいだけどゲームとしては良く出来てる!神ゲー

・なんでもバグのせいにしてる人いるなw本当に進行不能になってる人はそこまでいないのでは?

・バグかと思ったら私の勘違いだったw本当にバグが起きてる人は少数なのでは?

・バグ踏まずにクリアしたけど神ゲーだろ。ちょっとは直してほしいところあるけど

・たぶん本当にバグで進めない人は一部で、大多数の人は何か見逃していて進行フラグが立ってないだけなのにバグと決めつけてるだけなのでは?

・ビルダーズ2バグであれこれ言われてるけどほんとに出てくれただけでも嬉しいから公式ありがとうって感じ

・詰んだとか言ってるバカ多すぎて草。犬以外詰みポイントないやろ。ちょっとできなかったら何も考えずに詰んだとか言ってそう

・バグも普通にやってたら遭遇しないから騒いでるのは騒ぎたいだけの人かと。ちゃんとやってたら今回はかなり良く出来てると思うよ

・ちょっと詰まると進行不能バグか?と疑心暗鬼になる(大抵ただの見落とし)

 

これらの人たちの多くは開発者のファンで、開発者のアカウントに「大変かと思いますが頑張ってください」「クレームが多いかと思いますが」などの擁護を展開。配信での芸能人ごっこが功を奏して大量の信者を生み出し、事実を捻じ曲げたり「これってバグかなぁ」と心配する人に「何でもバグって言うな!ちゃんと調べてガイド通りにやったのか?ただの思い違いかもしれないだろ!」と突撃する有様。

ただ騒ぎたいだけの人って?

炎上も全然盛り上がってませんよ。

バグは公式で認められていますし。

「ちゃんと進めたら出来る」と言っても公式のガイドでネタバレを見ながらバグに怯えて進めれば神ゲーなんですか。

実際にバグじゃなくてもフラグ管理が杜撰なせいで進行に影響がない場面でもセリフに不自然な食い違いがいくつも見られ、そういうものに遭遇した時に不安になるのは当たり前だと思います。

「進行不能になってる人が少数ならいい」だったら何にも直す必要もないし、是非今後もこういう作品を作り続けてほしいものです。

そしていつのまにか信者様の中では進行に影響のないバグは「バグじゃない」と脳内変換されています。

発売から5日が経過し、公式ガイドの「バグに遭遇したら最初からやり直して下さい」は「アプデまでプレイを控えて下さい」に変わりました。

完全に、不良品ということです。

返金しようがしまいが一度失墜した信用は容易に取り戻せません。

この年末に多くのファンの時間と金をドブに捨てた事実は消えないでしょう。

 

現在テレビではドラゴンクエストビルダーズ2のCMがガンガン打たれ

来月には公式の攻略本の発売を控え、スタッフさんは大忙しだとか。

ゲームは店頭にて絶賛発売中。

 

こうして私の大好きだったドラゴンクエストビルダーズは死にました。

 

おわり

 

ゲーム好きなら観ておきたい映画『カッコーの巣の上で』~ジャック・ニコルソンとトレバー・フィリップス

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カッコーの巣の上で

1975年アメリカ映画

原作者:ケン・キージー

監督:ミロス・フォアマン

 

あらすじ

軽犯罪を繰り返していた主人公マクマーフィーは頭のおかしいふりをして精神病院に入院することに成功。しかしそこで見たのは独裁的な婦長による厳しいルールの元で人間の尊厳を剥奪された患者たちの姿だった。

電気治療で廃人と化した者やほんの少しの欲求も訴えられない者、マクマーフィーはそんな彼らを焚き付けようとするがうまくいかない。

ある日マクマーフィーは友人の売春婦と協力して彼らを脱走させて船に乗り釣りへ出かける。最初は心を閉ざしていた患者たちだったが徐々にマクマーフィーに心を開いていき、何かが変わろうとしていた...。

 

第48回アカデミー賞5部門を受賞し、主人公マクマーフィーを演じたジャック・ニコルソンも主演男優賞を受賞。社会からドロップアウトし、さらにそこから精神病院にフリークアウトするという複雑な役を見事に演じている。

60年代から始まったアメリカン・ニューシネマの傑作として今でも人気が高い作品。

ロックンロールとアメリカン・ニューシネマで初めてアメリカに若者文化が生まれ、それまでの体制側の作った公序良俗に反抗していく映画の主人公たちは新しい世代のヒーローになった。とりわけ今作のマクマーフィーは自由になろうともがく若者たちの殉教者になった。

 

Blu-rayの特典映像で監督のミロス・フォアマンは「自分自身の体験を作品に込めた」と語っている。

ミロス・フォアマンの出身地はチェコスロバキア、養父は反ナチとして逮捕され尋問を受けて亡くなり、母はアウシュビッツで亡くなっている。

当時の精神病院の劣悪な環境を自身の置かれていた第二次大戦中のチェコに重ね合わせることでこの映画の恐ろしいリアリティは確立されている。

それまでは一般に実態が全く知られていなかった精神病院の実情がテレビのドキュメント番組などで取り上げられて社会問題になり始めていた時期にこの映画は公開された。

そういった当時の精神病院の実情を知ることが出来る作品ではあるが、本質は抑圧された社会で骨抜きになった人達に向かって「立ち上がれ、叫べ」と鼓舞する力強いメッセージが込められている。

その普遍性は時代を越えて人に感動を与える。

 

トレバーとマクマーフィー

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ロックスターのゲーム『GTAⅤ』には3人の主人公が用意されていて、プレイヤーは自由にそれぞれのキャラクターを切り替えながら遊ぶことが出来る。

マイケル、トレバー、フランクリンという3人の主人公の中でも近年のゲーム史上最凶ともいわれるキャラクターがトレバー・フィリップスだ。

カナダ出身(訛りを気にしている)、アメリカ空軍のパイロットを精神鑑定により除隊させられ密売による会社を経営している。平気で人を殺し、人肉すら喰らう。

このような鬼畜キャラにもかかわらず多くのプレイヤーから愛されているのは彼が今まで見たことのないタイプの人間だからだろう。

細かい設定が明かされているにも関わらず、このトレバーというキャラクターには謎が多い。

発達障害気味の仲間を可愛がって仕事を手伝わせていたかと思えば、その彼女を平気で殺したりする。トレバーなりの動機があるのは解るのだが、その真意やゲーム内における彼の役割のようなものが一筋縄では全く見えてこない。

シナリオライターの一人ダン・ハウザーによれば「偽善者でなく狂人」として描いているとのことだが、それだけの理由であそこまで個性的なキャラが作られたとは考え難い。

公式ではトレバーのデザインは声優・モーションキャプチャーを務めたスティーブン・オッグの容姿をベースにチャールズ・ブロンソンの性格から発想を得たとある。

しかしゲーム内のある衣装をトレバーに着せると映画『シャイニング』のジャック・ニコルソンになることが出来てしまうのだ。

トレバーの見た目はスティーブン・オッグとジャック・ニコルソンの中間のようなものなので、シャイニングの衣装を着せた彼はもうジャックにしか見えないほどそっくりだ。

海外の批評家からの指摘にもあるようにトレバーのキャラは『バットマン』のジョーカーとの共通点が多い。

ジャック・ニコルソンのキャリアは『カッコーの巣の上で』のマクマーフィーから『バットマン』ジョーカーまで「既成社会の破壊者」という役が多い。

同じような犯罪者の役でも時代によってヒーローにもなれば狂人にもなる。

トレバーのつかみどころのないキャラは複数のモデルから形成されているとは思うが、その核にジャック・ニコルソンがいるというのは考えすぎだろうか。

私が『カッコーの巣の上で』を観てトレバーを想起したのはゲーム内でのマイケルとトレバーの会話がずっと引っかかっていたからだ。

 

ちなみにもう一人の主人公マイケル・デサンタは、ベテランの銀行強盗でかつてはトレバーと一緒に悪事を働いていた。現在は承認保護の下でロスサントスの高級住宅地で家族と豪邸に住んでいる。趣味は映画鑑賞。

家族とはうまくいっておらずカウンセリングを受けている。

承認保護の取引条件として、かつての仲間には自分が死んだと思わせて悠々自適な暮らしをしていたことに加えて凶悪なトレバーに自分の生存を知られることを最も恐れていた。

そんな二人であったが政府の使いっ走りとして再び一緒に組んで犯罪行為をすることに。マイケルと再会したトレバーは苛立ちを見せながらも協力することになった。

 

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「この世は皮肉に満ちてんだ。時代の病さ」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「言いたいことはわかる」

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「わかってねえよ。他の連中と同じだな。ちいとばかし稼いでクソ野郎と化した」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「知らんのか?元々クソ野郎なんだ」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「違うな!お前は大した野郎だった。でも今じゃこの町と同じ抜け殻だ!」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「黙れってんだ!正しい道徳観を持つクソ野郎なんているか?お前は完全にいかれてるから許されてるとでも?」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「俺は正直なだけだ、偽善者め」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「ああお前はヒーローさ、他の誰よりもな」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「そうかい、じゃあお前の胸を切り裂いて本当のお前を見つけてやるぜ」

 

~その後の車中での会話~

 

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「お前の生き方について考えてた。誰もがお前にレッテルを張ろうとする...「凶暴」とか「イカれてる」とか「友人」とか「業界の先導者」とか...ある意味分類できないのに。だが一方では...考えてみろ...お前が住んでるのは」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「サンディ海岸だよ成金野郎。近くに腸内洗浄クリニックがなくて悪かったな」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「だろ、じゃあどうしてここに?」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「ここはへき地だ。全てから切り離されてる現実的かつ本質的な場所さ。ここがアメリカさ!質素な人間が残ってんだ」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「もしここが高級化したら?」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「ファッキンムーブ!(どこかに移るだけさ)」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「そうか、ならその服装はなんだ」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「それがどうした?着るのもなんてどうでも良い」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「いや違うな、どうでもよいならサイズの合う清楚な服を着るはずだ。お前は変わった服しか着ない、少し奇抜な」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「店で売ってる服を着てるだけだ、何だよ?」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「センスがないわけじゃないトレバー、センスと正反対なんだ」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「スタイリストにでもなれよ」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「それにタトゥー、髪型、変な音楽、おかしなオモチャ、ドラッグその他もろもろだ」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「一体何の話をしてるんだ?」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「お前は...ヒップスターだ!」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「なんだって?」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「お前はヒップスターだ」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「ヒップスターは大嫌いだ」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「否定か、典型的だな」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「ヒップスターは大嫌いだ。面白半分に食ってやりたいぜ」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「ヒップスターはヒップスターが嫌いだと言いたがる」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

「俺は本当に大っ嫌いなんだよ!」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「自己嫌悪はよくあるヒップスター病だ」

f:id:miyabi-game:20181218165628p:plainトレバー

ビーンマシーンや銀行家から離れて暮らしてるからか?」

f:id:miyabi-game:20181218165737p:plainマイケル

「お前は高級化していく。じきにスキニーデニムが姿を見せ、次にカフェラテ、次に銀行家だ。そしてお前は別の場所でまた最初からやり直す。お前は典型的なヒップスターじゃないかもしれないが、ヒップスターが目指す姿だ。トレバー、お前はヒップスターの原型なのさ」

 

ここで言うヒップスターとは「意識の高いファッションオタク」のような意味で、マイケルがトレバーと正反対のレッテルを張ってからかっているように見える。実際トレバーの反応はそのようなものだ。

しかしマイケルの真意は最後の「お前は典型的なヒップスターじゃないかもしれないが、ヒップスターが目指す姿だ。トレバー、お前はヒップスターの原型なのさ」というセリフにある。

現在使われているようなヒップスターの概念は90年代からのもので、60年代には「ヒッピー」と呼ばれていたものだ。

 そして60年代のヒッピーと呼ばれる若者にとっての3大聖書とされているものが『ライ麦畑でつかまえて』『オン・ザ・ロード』『カッコーの巣の上で』なのである。

不良で映画好きのマイケルがアメリカン・ニューシネマを知らないはずがなく、トレバーの中に『タクシー・ドライバー』のロバート・デ・ニーロや『カッコーの巣の上で』のジャック・ニコルソンを見出して皮肉と憧憬を込めたジョークでからかっているのだ。

 

マイケルがトレバーの中にかつてのヒーローを見ていたとしたらこれほど会いたくない奴もいなかっただろう。

結局の所トレバーがどういう人物なのかはやはりよく分からない。

しかしマイケルの視点から見たトレバーはヒッピーの原点であり、腐敗した社会にとっての破壊者であり、かつての自分がなろうとしていたものだ。

マイケルがトレバーに会いたくなかった理由は彼が危険人物なのはさる事ながら、トレバーの存在そのものが「お前はどうしてのうのうと生きていられるんだ?本当に今この現状に満足しているのか?」という問い掛けそのものだからだろう。

マイケルにとってのトレバーは精神病院の患者達にとってのジャック・ニコルソン演じるマクマーフィーであり、トレバーというフィルターを通して見るロスサントスは巨大な精神病院なのだ。

 

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シェンムー 一章 横須賀(PS4)

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2018年11月22日にセガから『シェンムーⅠ&Ⅱ』が発売されたことで数年ぶりの再会。

今回は改めて『シェンムー 一章 横須賀』をクリアまでプレイしてみた感想を書いてみたいと思います。

 

もともと私はゲーム自体は子供の頃にドラクエなどに少し触れたくらいで、中学生以後は全くゲームとは無縁の生活を送っていました。

そんな私が大人になって再びゲームを始めたのがXBOX360だったのですが、それからゲーム文化に興味を持って昔のゲームやゲーム関連の書籍を買い漁ったりして今に至ります。

シェンムーを初めてプレイしたのは今から6~7年前だったのですが、その時の衝撃はかなりのもので、それ以後シェンムーは私にとって特別なゲームの一つになりました。

 

2018年現在でも自分の好きな日本のゲームといえば考えるまでもなく『マリオ64』『ゼルダの伝説 時のオカリナ』『シェンムー 一章 横須賀』になります。

基本的に2Ⅾのゲームはあまりやったことがないのでどうしても3Ⅾのゲームを中心に考えてしまうのですが、特にオープンワールドのゲームを好き好んでやっている中で上記の3作品を超える国産ゲームには未だにお目にかかれていません。

ゲームが2Ⅾから3Ⅾになる際において「どうあるべきか」を宮本茂と鈴木裕という二人の天才が提示したこの3作品は現在でも超えることの出来ない金字塔としてそびえ立っています。

2016年に出た大傑作『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』も『時のオカリナ』に比べると海外のオープンワールドゲームの顕在化のように思えるし、今年出た『RDR2』で初めてシェンムーの萌芽を確認できたという感じでしょうか。

 

シェンムーだけが...

今でこそ「オープンワールドの先駆け」として紹介されることが普通になったシェンムーですが、過去の雑誌などで見る評判は概ね「クソゲー」、よくて「伝説のクソゲー」といったところ。

確かに今回改めてプレイしてみて思ったのは「操作性の悪さ」や「上手くいったところでたいして気持ちよくもないQTE」だったり、数年前にプレイした時と同じ欠点を反芻してしまいました。

格闘アクションにしても鈴木裕さん自身がバーチャファイターのエンジンを使っていて、前からシェンムーとは合わないと思っていた」と言っているほどで、開発者が合わないと思っているものがプレイヤーに受けるはずもなく。

ゲームの批判に最も使われる言葉の一つに「ゲーム性」がありますが、これは大体アクション関連を指す場合が多く、そういった意味でシェンムーが批判された事には納得がいきます。

一方の任天堂のマリオやゼルダはアクションを中心に作られているのでゲーマーからの評価が高いんですよね。

でも私にとってシェンムーは決してマリオやゼルダに劣らない名作だという想いがずっとあって、それゆえにシェンムーに対する思い入れも強くなっていったのですが、今回のプレイでその確信はより強いものになりました。

 

3Ⅾゲームの未来

鈴木裕さんについて調べると学生の頃から三次元CGを研究していて、セガに入ってからも世界初の体感ゲームハングオン』や3Ⅾ格闘ゲームバーチャファイター』を大ヒットさせたりと、3Ⅾに対しての造詣の深さやノウハウ・実績共に世界最高レベルの人物だったことが窺えます。

そんな彼がシェンムーで目指したものが「日常」で、『シェンムー 一章 横須賀』は今プレイしても日常系のゲームとしては唯一無二の完成度を誇っているのですが、実際ゲームで評価されるのはアクション系の操作性だったり冗長なストーリーだったりしてほとんどのプレイヤーが「楽しみ方がわからない」状態に陥ってしまったのではないでしょうか。

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「当時のビデオゲーム開発者にとって”プレイヤーが何でもできる作品を作る”ことは、”何もできない作品になる”とも言えて、タブーの領域だったんです」(鈴木)という言葉通りになってしまったとも言えます。

特定のジャンルにおいて何か新しい変革が起こる時というのはいつも時代の追い風が吹いていないとダメで、ゲームだったら最近ではスマホが普及したことによるソシャゲの爆発的な流行などは記憶に新しいですよね。

そういう意味ではシェンムーが受け入れられる時代っていうのは待っていても永遠に来ないと思うんですよ。

だからといって客の需要に応えているだけではそれはただの商品であってゲーム文化全体が消費されて終わってしまうので誰かがやるしかなかった。

これはアタリの失敗からゲームを復活させた任天堂はなおさら意識するところでしょうし、この頃の任天堂FPSを日本に定着させようとしたりとかなり先の未来を見据えていたことが64のラインナップを見ても明らかです。

結果的にニンテンドー64ドリームキャストPS2に惨敗という形になってしまいましたが、2018年現在の任天堂は64時代の『どうぶつの森』や『スマッシュブラザーズ』などのIPによって躍進し続けています。

一方のシェンムーですが、ロックスターの『GTAⅢ』に影響を与えたと言われているものの、両者を比べるとあまり似ているように見えません。

ロックスターをはじめとして多くの海外のゲーム開発者がシェンムーの名前を出しているにもかかわらずなかなか実感として影響を感じられないのはシェンムーレベルの冒険が出来る環境が整わなかったことや、シェンムーの理念を換骨奪胎するまでのオリジナリティの確立に時間がかかってしまったことが原因なのではないでしょうか。

スピルバーグが『ジュラシックパーク』を撮ることになった理由が『シンドラーのリスト』を撮る資金調達のための口実だったというのは有名な話ですが、ロックスターが最新作『RDR2』でシェンムー的な「プレイヤーが何でもできる」世界を実現出来たのは正にそういうプロセスを踏んできた結果だったのではないでしょうか。

現在の3Ⅾゲームの多くが64やドリキャスが提示した未来の途上にあり、私たちが今でもコンシューマゲームのAAAタイトルで遊べるのもこういった先人たちが失敗を恐れず挑戦した結果なのは間違いありません。

 

ドブ板のリアリティ

シェンムー 一章 横須賀』の、いやシェンムーの魅力のほとんどがこのドブ板のリアリティに集約されています。

このゲームは主人公の芭月涼が父親を殺されるところから始まり復讐の旅に出るというとてもわかりやすく単純な話です。

私は初代『ドラゴンクエスト』に近いと思うのですが、その大きな理由として「単純明快な本筋の上で主人公のキャラを過剰に説明せずに周りの人たちとのコミュニケーションによってプレイヤーに理解させる」という共通点が見られます。

ゲームの多くは数人の主要キャラクターの過剰な設定や練り込まれたストーリー展開によって連続テレビアニメのような見せ方をしていますが、シェンムーにはたいしたストーリーも過剰な個性を持ったキャラクターも存在しません。

これはゲームの持つインタラクティブ性や自由度を生かした結果に獲得したリアリティによって不要になったのかと。

ここで言うリアリティとは「リアルよりもリアリティ。そのために誇張する」(鈴木)という言葉通り、あくまでも単なる現実の模倣ではなくてゲームとして操作した時に感じられるリアリティの事で、それは2Ⅾのドラクエに比べてはるかにハードルの高い挑戦だったと思います。

ドラクエの場合はストーリー重視のファンには初期作品の評価がそんなに高くないのですが、それは容量の問題で長いストーリーを展開出来ないという理由から、苦心の末にモブキャラたちの短いセリフから主人公の目的や世界観を説明せざるを得なかった事が、結果的に個性的で独創的なセリフを生み出して後のストーリー重視の作品よりもゲーム内の世界に深みを持たせていました。

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主人公の芭月涼には血のつながった家族はいませんが近所やドブ板の人たちと話すとみんなが彼を知っていて優しく接してくれます。

この「疑似家族」で得られる効果は血のつながった家族を描くよりも広がりのある温かみを演出することが出来ます。『RDR2』のキャンプもそうですね。

これは山田洋二監督『男はつらいよ』シリーズや60年代のテレビホームドラマで使われていた戦後民主主義性善説を土台にした構造で、特別なキャラクターを作らないかわりに通常よりも多くの登場人物を描き、その中での関係性によってドラマを作っていきます。

この手法は現在『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』でも使われていて、大げさなストーリーを作らなくても人と人との関係性を視聴者が把握することによってほんの小さな出来事の中にも広がりのあるドラマを見出すことが出来るのです。

これを初めてゲームで実現したのがシェンムーで、200人以上いる登場人物を作り込むことによってゲームの中に生きた世界を作り出しています。

プレイヤーが住民たちの個性に触れれば触れるほど世界は生き生きと浮かび上がり、その中で起こる些細な出来事に一喜一憂してしまいます。

しかしこの民主主義の大前提である「話し合いだけで問題を解決する」を律儀に守ることでシェンムーのアクション要素は大幅に禁じられました。『RDR2』においても暴力が禁じられているのはキャンプ内のみで、『龍が如く』では全てを暴力で解決するスタイルを取る事で所謂アクション的な意味での「ゲーム性」と引き換えにシェンムーの持っていたリアリティを失っています。

 

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住民一人一人にしつこく話しかけたり行動を把握できるようになってくると案外単調に思えてくるのですが、後半に自分が倉庫で働くようになると「朝起きて働いてガチャガチャしてコンビニ行って帰る」という住民に負けないくらい単調なNPC的な生活を送ることになりゲーム内世界との一体感がハンパないです。

この感覚は『ドラゴンクエストⅣ』のトルネコ章で、実際に自分が延々と武器屋のカウンター内で商品を売り買いするだけの生活をすることによって自分がドラクエの世界の一部になったかのように感じてしまうという体験と似ています。

 

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初めてシェンムーをプレイした時に「80年代ってもっと物騒な時代だったのでは?」と思ったのですが、実際に調べてみるとテレビドラマで校内暴力などの社会問題が取り扱われていたのは84年頃までで、86年はバブルの雰囲気が強くなってきて、ヤンキー文化とアイドル文化が近付いて浮かれたムードが漂いはじめていて60年代のホームドラマ的な世界を再現するのに丁度適しているような年でした。

 

あと先日実際にドブ板へ行ってみてわかったのですが、想像していたよりもずっと海外の方が多くて人種的に他のどこよりも多様性に富んでいました。

ロックスターがGTAシリーズのコンセプトについて「オープンワールドはそこで想定されるあらゆるものが存在していなくてはならない」ということを言っていましたが、ここで言う「あらゆるもの」で彼らが特に重要視しているものが「人種」です。

ロックスターがオープンワールドで再現しようとしているものは『GTAⅢ』から現在まで一貫して「アメリカ」なのですが、『GTAⅣ』の主人公ニコや『RDR』のジョン・マーストンが体現した移民のリアリティも、雑多な人種をオープンワールドという舞台の中にぶち込むことによって様々な問題を抱えるアメリカの本質を背景として主人公の置かれた状況を明確にしています。

私が『龍が如く』を始めてプレイした時に一番がっかりしたのが「歌舞伎町なのに外国人が全くいない」というところで、ストーリー自体のリアリティを削いで一種のファンタジーとして描いているのが意図的とはいえ残念でした。

こうした人種の多様性をストーリーとはあまり関係のない部分にまで取り入れていることがシェンムーが海外で絶賛されている一因になっているのではないでしょうか。

特に海外よりも表現の規制が厳しい日本のゲームにおいて、社会問題や性表現を抜きにした場合のリアリティの在り方としてシェンムーは「出来ることは全てやり尽くしている」といえるほど多様なアイデアに満ちています。

 

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ゲームの終盤でホットドッグ屋のトムがアメリカへ帰ることを知るのですが、ただのホットドッグ屋です。ストーリーと何にも関係ないしヒントもくれないやつです。

でも、すごく悲しくて寂しい気持ちになります。

この、どうでもいいようなエピソードでプレイヤーの気持ちを揺さぶるためにシェンムーの緻密な世界は作られているといっても過言ではありません。

ばかばかしいと思う。

くだらなくて、意味がないかもしれない。

クソゲーの一言で片付けられても仕方ない。

 

でも、やるんだよ!

 

多くのクリエイターやゲーマーにインスパイアを与えたシェンムー

誰もやってない事、やろうともしなかった事が20年後の現在でも意味を持ち続けている。

シェンムー信者は全員バカなのかもしれない。

でも、バカにしか気付けないことがある。

 

ドラクエは『Ⅷ』からストーリー重視のキャラゲー路線を進み最新作に至ってはついにNPCはただのヒントをくれる木偶の棒と化して歩くこともやめてしまいました。

一方でフランスのクアンティック・ドリームは『ヘビーレイン』で不評だったQTEを進化させて『デトロイト』を作り、アメリカのロックスターは『RDR2』でシェンムー的な自由度を持った世界の中で上質なストーリーを展開させている。

今世界の最先端を走っているのがバカばっかりで嬉しくなります。

最高。

今年シェンムーが再発されたのには大きな意味があるのだと感じています。

その意味を、存在を、来年予定されている三章が発売されるまで噛みしめていたいと思います。

 

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シェンムー聖地巡礼キャンペーン横須賀

シェンムー聖地巡礼キャンペーンが横須賀で2018年12月4日から2019年2月24日にかけて開催されていたので行って来ました!

 

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シェンムー第1章であるドブ板へは京急汐入駅から行きました。

駅前は普通のちょっと栄えた綺麗な街といった印象。本当にここにあのドブ板通りがあるのか!?

 

 

ドブ板

 Dobuita

午後  13:30

 2018/12/08(土)

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少し歩くとドブ板通りの看板が!

外国人の方が多く、古い建物がまだ沢山残っていて昭和感があって気分はもう芭月涼に!

 

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ドブ板のマップを手に入れた!

 

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お花屋さんの前を通ると...あれは!?

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原崎パネルが!

これだけでもう来てよかった。

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案内パンフレットは日本語と英語の2種類がありました。

紙の質も内容も良い!

 

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とても丁寧に作られていて感動しました!

 

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ゲームに登場するようなスカジャン屋やワッペン屋が多く、それぞれ味わいのある佇まいで雰囲気はバッチリ!

撮影禁止のお店もあったのであまり紹介出来ませんが栗田士郎パネルを見つけて興奮!

残念ながら今回芭月涼パネルは見つけられませんでしたo(;△;)o

(どうやらカフェの中にあったようです)

 

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パンフレットによると諏訪大神社という所にシェンムースタンプがあるとの事。

めぐみちゃんと猫のミミの絵が描かれていたのでパンフレットをよく見てみるとゲーム内の山の瀬稲荷のモデルだとの事!

 

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フォークリフトのスタンプ(笑)

 

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フォークリフト推しが強い!

 

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昼食はガイドマップにトムの絵が描かれていたMIKASA CAFEさんで。

トムが伝授してくれる必殺技・トルネードキックにちなんだトルネードトッピングのチーズ!

味も店員さんも最高のお店でした。

 

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キャンペーン参加店舗で500円以上の買い物をすると貰えるオリジナルコースター。今回は2人で行ったので1回の注文で2枚貰えました。原崎と稲さん。やったぜ!

 

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ゲーム世界の1986年との違いを最も感じたのは、tattooのお店がとても多いという事。

むしろそれが怪しさを増してシェンムー感を強めていて良かったです。

 

 

今回の聖地巡礼は大した下調べもせずに行ってしまったのでパンフレットを見て色々逃してしまっていることを後から気が付き少し後悔。

でも大好きなゲームの中にいるような興奮で短い商店街を3時間も散策してしまいました。

日本人だけでなく海外のシェンムーファンもいっぱいいて、みなさんとても行儀が良くて感心しました。

近くファンや出演者によるファンミーティングがあり、その内容の一部も配信されるようなので楽しみにしています!

 

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ドラクエ10~バージョン4.3の感想

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ドラクエ10のバージョン4.3(2018年9月6日~12月4日)の感想です。

個人的にはたまに課金して写真撮ったりチームで釣りとかしてただけで、そこそこ楽しめたし何の不満もないのですが記録として書いておきます。

 

ストーリー

今回は3000年前のドワチャッカ大陸を舞台にしたものですが、今までのように過去のマップとの違いを楽しみにしていたのに、ほぼそのまんま使いまわしなのが残念でした。

再利用と呼べるようなものでもなくて、本当にそのまんま現在のマップを使っているので過去感がなかったです。

それに比べて街は無駄に広く、海外のRPGのようにNPCのセリフが専門的な用語で世界観を説明するのですが、そもそもマップやストーリー自体がそこまで作り込まれていない魅力に欠けるものなので全然頭に入ってきませんでした。ロボットのNPCも多く、みんなカタカナで話すので余計に煩わしかったです。

バージョン4全体のストーリーはちゃんと繋がっていて、ムービーもしっかり作り込まれているのに誘導にムラがありすぎると思います。

前回はテンポが良かったのに今回は本当に酷い。私のようにNPC全員に話しかけたり探索するような人は特に楽しめないかと。

たぶん攻略サイトとか見て無駄なくストレートに進めたほうが楽しめますね。

 

ドルボードレースGP

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これは最高。

私がレースゲーム好きなのもありますが、マップに沢山の人が集まることが出来るMMOでこういった企画をなぜ今までやらなかったのか!と思うほど面白かったです。

カスタマイズなどの成長要素は全くないのですが、それでも十分楽しめました。他の用途で見慣れているマップを再利用して沢山の人と遊べる今回のようなコンテンツをこれからも期待したいです。これは経年劣化したMMOに新しく命を吹き込むアイデアとして大正解だったように思います。素晴らしい。

やはりもう、狭い空間の中に少ない人数で組んで何かするっていうのが辛くなってきているんですよね。普通に飽きたっていうのもあるし、最近のモンハンワールドやフォートナイトなどのオンラインゲームを通っていると尚更。

戦闘系に関しては防衛軍にもっとテコ入れしてほしいと個人的には思っています。

 

聖守護者の闘戦記第2弾

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これは結構評判が良かったので挑戦しようとがんばってみましたが結局1回も戦えずに現在に至ります。

これ例えばまず前衛職でやってみたいと思ったら結構レアなベルトと装備が必要になります。前回と違って今回は準備に準備を重ねた人や特別運が良い人だけが挑戦を許されているようなコンテンツで。

私の場合は特にベルトを手に入れる為の邪神の宮殿が嫌いで、レア装備を手に入れる為のゼルメアにも全く行ったことがなかったので完全に詰みました。

それでもどうしても行きたくて、強さⅠだけでも戦いたくて元気チャージを貯めてはゼルメアに籠る日々。

「こんなに出ないのか...」と痛感しました。

フレンドに協力してもらったりして100回近く行ったのですが出ませんでした。

 

考えてみれば初期のエンドコンテンツであるコインボスにしても、お金がない人は行けなくて、普段金策を頑張っている人だけが行けるような仕様でした。

それをぶっ壊したのがりっきーだったんですけど、その後に出た常闇は獲得アイテムの価値と挑戦権の敷居を下げてボスの強さを上げるというコンテンツになっていました。

この常闇によってステータスの価値が所持金からPSや人脈といったものに変わっていき、それからさらに運要素を足して厳選していった結果が今回のスコルパイドなのだと思います。

私のようにお金だけ貯め込んでボス実装の時だけ課金するというプレイスタイルの人間はお払い箱となり、毎月ちゃんと邪神やゼルメアに通っている人の勝利なのでMMOの運営としては全く正しいと思うし、今回に限っては報酬も過去最高に要らないものなので「挑戦権のない不真面目な奴は黙ってろ」という正論を突き付けられたような気がします。

報酬なんていらない、4人で頑張って自分のPSの向上を実感しつつ達成感を得たい...そんな常闇ドリーマー達にとって今回のボスは神コンテンツなのだと思います。

 

人の減り方がエグい

上記したスコルパイドですが、そうは言ってもそこまで全体のプレイ人口から見れば行く人は少数派だと思っていたのですが、実際はそうでもなかったようで。

今までドラクエ10に寄生してコミュニティを広げていった人達の中ではコミュ人数1万超えの配信者も多く放送していたのですが、今回はそういう大手配信者の配信は少なく、そのかわりに小さなコミュニティが点在しているような状況でした。

そんな中でも配信とブログをやっているラグナさんがいち早く最強討伐したことによってブログランキング一位になるという事態に。

これはもう、ドラクエ10関連のブログを見ている層の関心の大半がエンドコンテンツを中心に動いているということですよね。

以前はフォロワーが1万人いようが普通のプレイヤーにとってはドラクエというビッグネームの陰に隠れてほとんど無名状態だったのが、今では2000人程度で有名人のような扱いになっています。

人口が減って先鋭化した小さな点に横の繋がりが出来て活性化しているように見えます。

人口が減ると多様性がなくなり皆が同じようなものを求める状態になるので、運営側もユーザーの望むものがわかりやすくなって商品としては作りやすくなるはず。

去年まではこういった層を無視して新規獲得に奔走しているように見えたのですが、今後どうなっていくのかが客観的に楽しみではあります。

しかしラグナさんのタイムラインを見てみると、スコルパイド討伐以降はほとんどドラクエ10配信はしていないようです。私のフレンド欄を見ても過去最高に過疎っています。

前回の聖守護者の時は文句を言って引退する人を何人か見たのですが、今回のこの静かにフェードアウトしていく感じはやはり報酬の弱さと多様性の喪失によるものなのではないかと個人的には思いますね。

 

いじめがエグい

まんまる堂さんというドラクエ10界隈でだけ有名なブロガーがいて、その嫁のすずめさんという人がいたんですけど、この人をドラクエ10のネット民総出で潰すという出来事がありました。

すずめさんはまあ余計なことを言いがちな人で、ドラクエ10で相方作ったり加工した自撮りをTwitterに載せたりと、他の主婦プレイヤーとそんなに変わらないようなただの「どこにでもいるようなちょっとアレな人」だったわけですが、夫が有名なブロガーで、相乗的に上がった知名度を利用して自分もブログを始めてしまったことによってロックオンされてしまったんですね。

まんまる堂というブログにはいつもかわいいイラストが載っていて、それも含めて人気があったのだと思うのですが、そのイラストを描いていたのがすずめさんで。

大体ドラクエ10関連の絵をネットに上げてる人の絵って、いわゆるオタクっぽい同人絵なんですけど、すずめさんの描くものにはそういった手馴れた人特有の臭みがないヘタウマみたいなやつだったんですね。すずめさんにしか描けないみたいな独特な個性もそんなにないんですけど、他のイラストの中にあると非常に目立つし親しみやすいものでした。

アルビノ的な悪目立ちと同族嫌悪によって絵描きオタク界隈からも最初からよく思われていなかったと思うんですけど、それに加えて夫の知名度を利用して金稼ぎしようとしているということで、もうあとはすずめさんが何かやらかし待ちみたいな状態になって。

 

ドラクエ10のネット民の多くは炎上とかをまだ面白いと思っていて、面白いイジリ方も出来ないのに常にターゲットを探して水族館のイワシみたいに回遊しています。

昔のニコ生の雑談放送みたいで懐かしいですけどね。でもそれなりに人気のある配信者でもちゃんと信頼関係を築いた上でイジったりしてるわけで。

イジること自体は全く面白くないんだけどリアリティショーのような悪趣味でやっているんでしょうね。子供なんかが見様見真似で友達にプロレスの技かけて大怪我させたら面白いも何も大問題ですけど、そういうことがわかってない人たちがいっぱいいて、しかもみんな結構いい大人っていうのが痛々しいです。

そもそもイジって良い案件なのかが疑問です。

この一件は結局「ネットをやっちゃいけない人がやった結果、当然のことが起きた」だけなんですけど、ブログやTwitterなどでキャラ名を晒している人にとっては逆にこういったいじめに加担する人間だということが晒されてしまう結果になってしまった訳で、実害を訴えている人もいますが自分がすずめさんにしたことが跳ね返って来ているだけの場合がほとんどのように見えました。

普段は「ただの趣味です」みたいな無関心を装って活動している人達の嫉妬や情念、業のようなものが露見していった非常に興味深い出来事でした。

この炎上の結末は、すずめさんのドラクエ内での相方の娘(と思われるアカウント)が出てきて5ちゃんねる民がみんなで焚き付けるというどうでもいい感じの終わり方でした。

上の方で「フォロワー2000人程度で有名人」と書きましたが、正確にはロックオンの射程に入ったということで、一度目を付けられたら過去の行いから根掘り葉掘り掘り起こされてとことん追い詰められる資格を得たということで、怖いですね。

 

 

人が多い時期にはこういった派閥や事件も小さすぎて気にならなかったんですけど、今ではまるで一つのコンテンツのように一人のプレイヤーを消費して使い捨てることを楽しみにしている層が一定数いて、それが決して少数派ではなくなってきているという。

人が少ないのも実際は課金者が減ったというよりは一人一人のイン時間が減っただけだと思うので、明日のバージョンアップでどれだけ人が戻ってくるのかに注目したいと思います。

 

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絶体絶命都市4Plus -Summer Memories(PS4)

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絶体絶命都市4Plus -Summer Memories

グランゼーラ

2018年11月22日

playstation4

 

絶体絶命都市4Plus -Summer Memories』クリア後の感想です。

2周してエンディング3パターンとトロフィーコンプリート出来ました。

 

今までのシリーズとの違い

これまでの絶体絶命都市はアクションアドベンチャーでしたが、今作はシミュレーションアドベンチャーの色合いが強いものになっています。

震災や余震によって発生する様々な物理的被害から逃げ回る前作までとは打って変わって「震災によって発生する人的トラブル・復興に向かう人々」に焦点が当てられています。

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そしてこれまでと同様に主人公は特別な力を持ったヒーローでもなんでもないただの一般人なので、そういったトラブルを目の前にしても成す術がなかったり、小さな人助けをしながら街中をうろうろすることになります。

まず一番初めに目的を決める選択肢が提示されるのですが、これが今作における非常に重要なテーマになっていきます。

前作までは「沈みゆく架空の島」を舞台に人工地震などの陰謀が渦巻き、そういった謎を解明して島を脱出するという話でしたが、今作では正に自分の住んでいる町と地続きの都市で起きた災害を描いており、そのため著しくリアリティを欠くような表現は抑えられています。

 

1周目の感想

エンディングは二つのルート(飛行場と避難所)に分かれていて、私は避難所を選んだのですが、非常に消化不良で後味の悪いものでした。

以下ではその1周目の率直な感想を含めてのレビューになります。

 

悪い点

・エラー多発

まずこれはゲームとして根本的な問題ですが、エラーで落ちることが何回もありました。前作『巨影都市』でもそうだったのですが、これはゲームプレイの没入感を激しく削ぐので今後解消してほしいところ。

正直、この問題が解決しない限り今後も作品としてまともな評価をされることはないように思います。

 

・シミュレーションとしての弱さ 

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上で「シミュレーションアドベンチャー」と書きましたが、この「シミュレーション」のプレイヤーキャラに直接依存するような部分があまり作り込まれていません。

食欲や排泄、喉の渇きなどのパラメーターが存在しているにもかかわらずペナルティが一切ないので緊張感がなく、アクション要素もだいぶ少なくライフが減ることも滅多にないので食料やトイレのような施設の存在が希薄になってしまっています。

絶体絶命都市2』で身体が濡れるとキャラが凍えて、火に当たると回復するというようなシステムの方がプレイに緊張感を持たせることが出来て良かったと思うし、パラメーターアイコンが存在することによって序盤の混乱を招く事にも繋がっています。

 

・キャラクターの作り込みの甘さ

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これは特にIT社長の霧島とインチキ宗教団体の教祖についてそう思いました。

ですが正直今までの『巨影都市』を含めたシリーズを通して思えばこれくらいで良い気もしますが(霧島に限ってはやはり掘り下げ方が中途半端に感じてしまう)。

むしろキャラクターの掘り下げよりも少なさにこの不満は起因しているのかもしれません。短いエピソードの中にも因果応報がきちんと描かれていれば多くのプレイヤーは納得できたはずです。

ですがこれは終盤の胸糞展開の事を言っているわけではないのであしからず。

 

・前日譚がない

後日譚は追加DLで配信されるという話ですが、やはり本編にも前日譚は欲しかった。こういったパニックものでリアリティをある程度底上げする装置としての前日譚というものが必須だったように思います。ムービーでも良いので。

主人公のものでなくても、舞台となる街が震災前にどのような環境だったのか知っていると震災によっての変化が感じられて良かったかと。

「あの人は震災前は優しかったのに」というようなセリフが出てきますが、そういう事をもっと知りたかったです。

 

良い点

・死を含む震災による不幸を単純な美談にしていない

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この一点で本作が他の数多の感動ポルノと一線を画している作品だとわかります。

終盤の胸糞展開に拒絶反応を示している人はただ単に耐性がないだけ。

ほとんど同じ状況の震災パニック映画『アフターショック』では主人公が震災に乗じて脱走した囚人に殺されたくなくて彼女の隠れ場所を吐いて目の前でレイプされたのを見届けた後で火だるまにされて殺されます(その後彼女も射殺される)。

エンタメとして何か使命を持って作るならば、あらゆる悲惨なことも想定しなければ人の役には立たないし心も動かさない。無事普段の生活に戻れたら感動話も聞けるかもしれないけど被災地は死体の山で人々の心の余裕もなくなってるわけで。

本当に悪趣味な嗜好で作られたものもあるけど、このシリーズがそういった類なものでない事は過去作をやればわかるし、開発者自身が震災の被災者だという事からも明確です。ただ単に死やそれに対する現場での関心の薄さを露悪的と捕らえるならば、それはその人の許容範囲や価値観の狭さが原因なんですよ。

今までのシリーズにも死体は出ているし、他のゲームだって山ほど敵とか殺しているわけで、そこを掘り下げた瞬間に拒絶するのは「汚いものは見たくない・関わりたくない」っていう逃避でしょう。

 

・外国人問題

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これは海外のゲームやドラマ・映画なんかでアメリカが舞台の時に被差別者は必ずカナダに逃げようとするんですが、それはたいてい南北戦争のメタファーなのだけど、そういった知識のない人や南部の歴史修正主義者達によく批判されがちなんですね。

今作の外国人差別も過去の日本の被災地や戦時下でも実際にあったことなのに某掲示板なんかの今作の批判の中には「外人があんなに良い奴ばっかのはずがない、火事場泥棒みたいなのばっかだろ」という意見をいくつか見ました。そのまんまゲーム内の避難所の日本人のセリフとして使えそうです。素晴らしい。

 

・真エンディング

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これは2周目の飛行場ルートである条件を満たすことで見ることが出来たのですが、このエンディングによって今作の評価は格段に上がりました。

このエンディングではある女性の笑顔を見ることが出来るのですが、それだけで全てが救われたような気がしました。

ただの一般人である主人公、やれることはやれるだけやった。出来ないこと、どうしようもないことの方が多かった(今作では選択肢による大きな変化も期待できない)。でもそれらが無駄じゃなかったとちゃんと思わせてくれるエンディングでした。そして最後にもう一回冒頭の選択肢が提示され、自分の認識の甘さや「これは私の物語だったんだ」と気が付く。

前作までの「陰謀暴いて女の子助けてヘリで脱出」みたいなものはゲームにおけるカタルシスの一側面でしかなく、今作もまた「ゲームでしか体験できないこと」を実現していて、ちゃんとプレイする価値のある作品になっていました。

だから、異色作ではあるけど問題作ではない。

1~2作目にある良い部分を削ったことによる恩恵は全く受けていないのでそこは普通にマイナスですが、それまである程度進行に影響のあった選択肢が全く武器として役に立たなくなってしまった事も最後の最後で納得できました。

 

今までのシリーズとは視点(路線)を少しずらした今回のストーリー展開は、古参ファンにとっても個人によっては様々な違和感や問題を感じさせるものになってしまいましたが、私は良作だと思います。

絶体絶命都市という皮を被った多様な異色ジャンルのゲームをこれからも作り続けてほしいですね。

 

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